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この今だけは
生きている
何より単純な真実のはずなのに
どこか違う
そう感じていた
「だから私は生きていたと胸を張って言えなかった。」
私の生きるという言葉と
みんなの生きるという言葉
そこにある温度差に失望したし
圧倒的な熱量に憧れもした
「だけど今だけは生きていると言い切れる。」
誰かのために手を尽くすこと
誰かのために戦うということ
ようやくその尊さがわかって
ようやくそれが憧れた熱量だとわかった
「この一瞬、儚い夢のような時間、そこに全てを捧げられる。私は今初めて生きているのだから。」
そう、私は生きている
今だけは誰にもそのことを否定させない