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十一話 研究所で出会ったモノ

 外には、とりあえず追手の姿はなかった。


 ツェツィーリャの飛行魔法で俺たちが逃げた方角はエキドナたちにみられてはいたが、先生の家はそこから一直線というわけではない。とはいえ、もともと俺たちが逃げ込める先なんて多くないんだから、あたりくらいはもうついてるだろう。


「いそごう。あのスラ子が暴れてくれてるうちがチャンスだ」


 黒スラ子とアカデミー所属の魔物たちとの争いはまだ続いているらしく、今も爆音がおきたり、かすかな振動が地面を震わせたりしている。

 逆にいえば、その音や振動がなくなってしまったときは、それはあのスラ子が自分に歯向かおうという相手をすべて叩きのめしたことを意味する。


 たった一人でアカデミーという組織戦力を相手に勝利。

 文字通り、制圧だ。


 一人対組織で一人のほうが勝つなんて、それこそ竜くらいにしかありえないふざけた話だ。だが、そのふざけた話がいま俺の目の前で実際に起こりつつある。

 あの黒スラ子の力はそれくらい圧倒的だった。いや――スラ子の力、か。


「ちんたらしてたのはてめえだろうが」


 ツェツィーリャに睨みつけられる。

 ルクレティアとヴァルトルーテの二人はもういない。現体制派の生き残りとの接触をはかって、さっさとどこかにいってしまっていた。


「なにやってんの。こっちだよ」


 近くの森から先生が手招きしている。

 先生の家の裏手にひろがる森は、うっそうとした深い森林区域だ。魔物がどんな場所を根城にするかは様々だから、当然のようにそこを住処にする魔物もいて、普通ならとても人間やエルフが通れるようなところじゃない。


 今はアカデミーが混乱しているっていうのもあるし、先生が一緒だから大丈夫だろうけど、昼間でも日がとどかないくらいの森っていうのはやっぱりぞっとしない。そもそも、森っていうのがまず人間の領域じゃない。


「で? その研究棟ってのは近いのかよ」


 さすが森の民と呼ばれるエルフ族らしく、走りにくい足元を気にする様子もなく駆けながらツェツリーリャがいった。


「研究棟っていっても色々だ。そういう研究関連の施設がアカデミー内の一か所に集まってるわけじゃないし、先生みたいに一軒家で気ままにやってるっていう変わり者も多い」

「なら、俺たちはどこに向かってんだ」


 それは俺にきかれたってわからない。俺は隣をいく先生をみた。


「そもそもね、魔法生体なんて特別な研究じゃないんだよ」


 八本の蜘蛛脚を交互に前にだしながら、アラーネ先生がこたえる。


「ゴーレムやスケルトンの製造法式くらい、魔道を習う者にとってはほとんど基礎知識の範疇だ。エルフにだって似たような類はあるだろう? 研究ってのはただでさえ人手をくうし、大事な研究をまもるためにガードマンだって使う。だからこそ魔法生体の研究は古くからされてきたし、一般的でもある。そんな手垢のついた研究、今さら大真面目にとりあげてるほうが珍しいさ」


 まだ家をでてからほんのちょっとしかしてないのに、先生はもう疲れた表情になっている。

 人と蜘蛛の身体をあわせもつ蜘蛛人族は狩猟性の生き物だ。蜘蛛といえば巣をはって獲物がそれにかかるのを待つのが一般的なイメージだが、蜘蛛人族はもっと積極的に行動することも多いから、生まれながらの運動能力だって高い。


 その蜘蛛人族の先生がもうしんどそうなのは、先天的素質を凌駕する後天性の要因、ようするに運動不足の一言につきる。


「私の知る限り、今のアカデミーで魔法生体を主題にしてるのなんて数人いるかいないかだな。黒スラ子ちゃんのことに関わってるのが魔法生体の専門家で間違いないって決まったわけじゃないけど、とりあえず怪しいとこからあたってみるべきでしょう?」

「で、それはどこだよ」

「私みたいに一軒家にひきこもってない、わかりやすい研究施設の建物。そこに、たしか研究室をもってる一人がいる。そこから向かってみれば、いいんじゃないかな」


 先生の提案に、ツェツリーリャは無言のままこちらに視線をくれた。

 とりあえず意思の決定はこちらにまかせてくれるつもりらしい。俺はうなずいた。


「お願いします。ていうか先生、死にそうになってませんか」


 酸欠みたいな顔で、先生がこっちをみた。顔色がすごく青い。


「……うん無理。こんなに走ったの、久しぶり」

「引きこもりすぎでしょう」


 人のことはいえないが、最近は逃げ足だけでも鍛えようとしてたから、まだ余裕がある。


「もう駄目。帰る。マギくん、おぶってよ」

「馬鹿いわないでください。俺が先生をおぶえるわけないでしょ、ツブれます」


 体力にはまったく自信がない俺だが、くわえて蜘蛛人族とはもともとのサイズがちがいすぎた。


「レディに対して失礼だな。君……」


 目立つわけにはいかないから、ツェツィーリャにたのんで飛行魔法をつかうわけにもいかなかった。


 ふらふらな先生をはげましながら目的地へむかう。……あまり知能の高くない魔物たちの巣窟となっている森のなかを、ひたすらに走りつづけてどれほどか。


 森をぬけた俺たちは、目の前に壁のようにそびえたつ巨大な建物にぶつかった。


 その白石の建物には俺も覚えがある。

 独り立ちできない駆け出しの研究者や、それを志す学生たちがつかう共同研究所だった。他の学生に対する授業やなんかもおこなわれるのはここだ。


 黒スラ子がいる場所からはちょっと離れてるから、まだ破壊されてもいない。

 いや、破壊されてないのは、それ以外にも理由があるのかもしれなかった。自分がつくられた場所だから、手をだしていないというような。


「……静かだな」


 アカデミーの活動は昼夜をとわない。普段ならたくさんの魔物の往来があるはずの建物は、外側からうかがう限りなんの気配もなかった。


「講義中じゃない? まあ昔、講義中でもなんでもうるさい人間ってのがいたけどさ」


 それはいったいなにルヴェさんだろうな。


「さすがに外の騒ぎに気づかないはずがありません。逃げるかどうかしてくれてたら面倒じゃなくていいんですけどね」

「罠って可能性もあるぜ」


 いつでも弓をかまえられるように手をかけながら、ツェツィーリャがいった。


「まあ、ありえるよな」


 クーデターってのは少数派のとる非常手段なわけだから、人手はカツカツのはずだ。

 エキドナの息がかかった魔物がどれくらいいるのかはわからないが、余計なところに手をまわす余裕はないはず。つまり、ここにエキドナの手の者がいるなら、この場所は彼らにとっても重要な意味があるという理屈にもなる。


「というわけで、先生」

「……なんだい」


 慣れない屋外活動に全身をぐったりしている先生ににっこり微笑んで、


「偵察にいってきてくれませんか」


 先生が信じられないものを見るようにこっちをみた。


「ほんと君、図太くなったよね。昔の恩師を顎で使おうなんてさ」

「お願いします。ツェツィーリャがいっても怪しいところなんてわかりませんし、エルフがうろついてたらまずそれが怪しいですし」

「君がいけばいいじゃないか」

「俺なら、もしエキドナ派の誰かにみつかった時点で終了です」


 先生は嫌そうな顔でしばらく渋ってから、なんとか了承してくれた。


「じゃあ、いってくるよ。ちょっと様子をみてすぐ戻ってくるからね」

「お願いします」


 ぶつぶつと文句をいいながら、蜘蛛人族の背中は建物のなかにきえていった。

 残された俺とツェツィーリャは近くの藪のなかに身をひそめながら、じっと先生の帰りをまつことにする。


「おい、ぼんくら」


 藪のなかで息をひそめながら、となりから険悪な視線をおくられてきた。


「なんだよ。凶暴エルフ」

「いいのかよ。あの蜘蛛女を一人でいかせてよ」


 どういう意味だ?


「あの女がここの事情に精通してるっつう事情はわかったが、それで『とりあえず、怪しそうなとこにいってみました』で、いきなり本命にぶちあたることなんざ、どれくらいの幸運だよって話だ。十中八九、罠だぜ。ここでなにか見つかろうが、なにも見つからなかろうがな」

「……わかってるよ。そのために、シルフィリアに周りをみてもらえるよう頼んだんだろ」


 というか、ふと思ったんだが室内でもシルフィリアの感知ってきくんだろうか?


 精霊にはそれぞれの属性で縛りみたいなものがあるはずだ。ちょっと前、土精霊をとりこんだスラ子は地面に触れるものであればだいぶ感知がきく、なんていっていたが、


「完全に外気と遮断された空間だとアウトだな。完全な密閉状態なんて代物がある時点で怪しいって話だが」

「そりゃそうだ」

「屋外より視えづらくなるってのはあるだろうよ。……シル、どうだ」

「んー。だいぶマナが乱れてるからサー。どっかで大暴れしてくれちゃってるんだモン。この辺り一帯がもうぐっちゃぐちゃで、迷惑ったらナーイ」


 シルフィリアの声だけがきこえた。近くもなければ遠くもない、不思議な距離だ。


「とりあえず、この建物のなかに怪しそうな気配はないカナー。気配だけだけどサ」

「敵は? 誰もいないのか?」

「生き物はいるみたいダネ。それが敵かどうかっていうのは、サッパリ!」


 精霊の感知の仕方っていうのがいまいちどんなものかわからないから、なんとも状況を把握しづらい。

 とりあえず、風精霊のシルフィリアは大気の流れやそのあたりから、周辺の気配を察知できるんだと認識しておくことにして、


「……とりあえず、特におかしな気配はないんだな? 待ち伏せとか」

「ないネー」

「さっきは? 先生の家でそういう気配はなかったか?」

「別にないネー。多分ネー」

「そうか」


 うなずいてから、ふと目つきの悪いエルフが肩を震わせているのにきづいた。


「なんだよ」

「いいや。最初っから折込ずみってわけか。だからてめえ、さっきあんなこといいやがったんだな」


 にやりと唇をまげて笑う。

 俺は顔をしかめて、


「悪いか?」

「いいや? むしろ安心したぜ。ぼんくらなりに考えてるんだってな。そんなら、ついでにもう一つしっかりそのオツムにきざんどいてもらおうか」


 ぐいと顔をちかづける。ほとんど息もかかるくらいの至近距離から、


「オレはてめえを信用してねえ。俺がヴァル姉と一緒じゃなくて、こっちについてきてる理由、まさかてめえを護るためだとか勘違いしてねえよな」

「あっちについていっても、やることがないからだろ。――こっちにいれば、俺を殺す機会があるかもしれないしな」


 は、とエルフが嗤う。


「そういうこった。あの精霊喰らいには、ムカつくがオレやシルの全力でもまるで通じやしなかった。あいつをぶっ殺すのに、あいつを狙っても無理らしいからな」


 殺意のかたまりのような視線がこちらを射ぬいた。


「あいつを殺す一番の手は、てめえを殺すことだ。そうだろ」


 俺の周囲には、スラ子か黒スラ子だかの気配が今もあるらしい。それが、外敵から俺を護ってくれてるって話だが――その黒スラ子と俺との話次第で、その護りに隙間ができるようなことがあるかもしれない。


 ツェツーリャの意見には全面的に同意ってわけにはいかなかったが、それを相手につたえて納得させる手立てがなかった。


 ようするにこのエルフは、俺が黒スラ子やエキドナに負ける可能性を考えているのだ。あるいは、あっさり懐柔されて向こう側に与するような展開を。

 もしそんなことになった場合、俺に引導をわたす役割をはたすために、ツェツィーリャはこちらに同行している。ヴァルトルーテもそのために寄越したんだろう。


 俺は肩をすくめて、


「好きにしろよ。シルフィリアの感知能力はこっちにも助かる。お互いを利用するだけなら、別に信頼なんていらないだろ」

「好きにするさ。後になって甘えたことぬかされたらうっぜえからな、念をおしといただけだ」


 ギスギスした会話がおわったところで、建物の扉からひょいと先生が顔をだした。


「大丈夫みたい。おいでよ、もしかしたらビンゴっぽい」


 俺はツェツィーリャと顔をみあわせた。

 無言でうなずきあい、ゆっくりと慎重に近づいていく。


 ――建物のなかはひどく静まり返っていた。


 シルフィリアいわく無人ではないらしいが、廊下には誰ひとりとして魔物の姿はなく、講義の声もきこえない。

 俺がアカデミーにいたころは、昼も夜も、ほとんど一日中どこかで騒動がおこっているのがアカデミーの常だったから、静寂なんていうのにはそれだけで違和感があった。外であれだけ騒動がおきてれば普通かもしれないが、


「先生、ビンゴってことは、黒スラ子の研究してた形跡とかでもあったんですか」


 ふりかえった先生は呆れ顔で、


「そんなのすぐ見つかるわけないだろう。だいたい、本人がぷかぷか水槽のなかに浮かんでるとかならともかく、メモも漁らずにどんな研究がされてるかなんてすぐにわかったりしないよ」

「だったらなにが?」

「だから、怪しそうな部屋さ。誰もいなかったし、家探しするなら一人より三人のほうがいいでしょ」


 研究者が、大事な研究室を空けてどこかにいったりなんかするだろうか?

 外は黒スラ子の襲撃でてんやわんやだ。あわててどこかに逃げ出してるってこともありえるが、脳裏にさっきのツェツィーリャの言葉を思い出さずにはいられなかった。


 ――罠。


 その可能性はある。というより罠以外になさそうでも、少しでも可能性があるなら探ってみる価値はある。


 現状、俺たちの立場は苦しい。

 その劣勢をくつがえすなら、多少の無茶くらいはやるべきだった。あの黒スラ子の正体をしるのはそれくらいの意味がある。


「わかりました。いきましょう」


 とにかく、頼みの綱はシルフィリアの感知能力だ。

 ツェツィーリャに視線をむけると、肩をすくめられる。わかってるといいたげな表情だった。



 先生に連れられた一階の一室。

 扉が半開きのまま放置されたその部屋は、まだ新米の研究者にあてがわれる類の決して広くもない研究室だった。


 本と、研究道具が雑にあたりにちらばっていて、特に個性というものはない。研究室なんてたいていそんなものだろうが。

 近くの床には書きかけの魔法陣が途中のまま放置されていた。すぐそこに白墨の欠片が転がっているから、ここの主は部屋をでるまでそちらにかかっていたのかもしれない。


 先生がいったとおり、一目でなんの研究をやってるかわかるような部屋じゃなかった。三人目の黒スラ子が寝そべってたりしたら、それはそれでリアクションに困ったが。


「……とりあえず、研究ノートくらいあると楽ですね」

「ま、こういう部屋のなかでなにかを隠す場所なんてだいたい決まってるでしょ。そう時間もかからないさ」


 たしかに。先生の家みたく埃にまみれてないだけでも、だいぶ捜索が楽ではある。


「じゃあ、俺は隣部屋のほう見てきます。先生とツェツィーリャは、広いこっちを探してみてください」

「りょーかい」

「わあったよ」


 気乗りのしない表情で家探しにはいる二人からはなれて、俺は備え付けの扉から隣部屋にむかった。


 研究室にはたいてい保管室みたいなのが隣接されていて、扱いの難しい薬品や危険物はそっちにしまってることが多い。

 単純に考えれば、大事な書類なんかもそちらに保管されていることが多いはずだが、


「――“いる”ヨ」


 そっと耳元に声がささやいた。


 ぎょっと飛び上がりかけてから、シルフィリアの声だということに気づいた。


 なにが? 隣にか?


 視線で風精霊をさがしてみるが、姿はみえず。それっきり声も続かない。


 ……なにかいるだって? 危険なもんじゃないんだろうな。


 さすがに命の危険がありそうなものならそう注意してくれそうなものだったが、ツェツィーリャとシルフィリアは俺のことをよく思っていないのだから、わざと教えてくれないことだってあるかもしれない。

 途端にビビり性が頭をもたげるが、今さら後ろの二人に探索場所をかわってほしいなんていえるはずもなかった。


 足音をころして扉の前にちかづく。

 そっとドアノブに手をそえて、音のないようゆっくりと沈みこませていく。


 ――いくぞ。覚悟をきめて、扉をひいた。


 蝶番の調子はよいらしく、扉はほとんど無音でひらかれて、少し匂いのちがう空気が鼻にかかった。


 室内は暗くて、なかの様子はうかがえない。

 誰かいそうな雰囲気ではなかったけれど、それ以前に、俺は扉をあけた瞬間からつつまれた奇妙な感覚に注意をとられていた。


 なんだ?

 なにか違う。ほとんど真っ暗なこの部屋は、それまでの部屋とはどこかが違っていた。


 いや、違うというのとはまた少し違う、これは……なつかしい?


 それこそなにがだよ、と自分で自分にツッコミをいれようとしたところで、ぱしゃん、と音が鳴った。

 なにかが水面をたたく音だった。


 ああ、と思いつく。なにがなつかしいのかはわからないが、この部屋とさっきまでとの違いの一つがわかった。


 湿度がちがう。

 さっきの部屋よりも、この保管庫の空気にはひどく水気があった。


 湿気のある保管庫なんてどうなんだとか考えてしまいながら、俺はとりあえずライトの魔法をとなえて、呼びだした灯りを室内にほうりこんでみた。


 弱々しい白光に照らされて、なかの様子がおぼろげながらに明らかになる。


 最初の部屋の半分もない面積に、所狭しと物が押し詰められた雰囲気。暗いせいもあるがひどく圧迫感のある室内の、中央にだけ通り道のような細い空間があいていて、しかしそこにも通行を邪魔する台がおかれてある。


 台のうえに小さな水槽があった。

 どうやら、さっきの水音はそこから生じたものらしかった。


 ふわふわと宙に浮かんだライトが水槽の直上にたどりつき、照らされたその水槽の中身をみて。

 ぽかんと、俺は口をあけてしまった。


 水槽の中身もこちらに気づき、顔をむけてくる。にっこりと微笑んで手をふってきた。


「――なんでだよ」


 相手がこたえられないことはわかっていても、思わず口にでてしまった疑問に、投げかけられた相手は小首をかしげて、口をぱくぱくと動かしてみせる。


 声はない。しゃべれないのだから仕方ない。

 魔法で封じられているとか、そういうのではない。この相手ははじめて会ったときからそうだったのだから。


 そこにいるのは、よく知っている相手だった。


 俺がおかしな顔をしているのを楽しそうに指をさして笑いながら、水槽のなかで泳ぐようにバタ足をみせている、ちいさな生き物。


 ここからはるか遠く。

 自宅の洞窟でシィと一緒に留守番をしているはずのドラ子がそこにいた。



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