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十話 反抗開始

 暴風の膜に護られて空をかっ飛ぶ。

 人生二度目の飛行体験は、前回のそれと違っていかにも無理やりな感が強かった。


 つくりの雑な馬車や、気性の荒い馬どころの乗り心地じゃない。口を開き続けてればすぐにでも舌を噛み切りそうな乱暴さで運ばれながら、視界が空転する。空の青が下に広がり、森の緑が横に流れて、ふと視界の端に廃墟みたいな一軒家がみえたかと思うと、次の瞬間には目いっぱいにひろがった。


「おい……待、」


 て、と言葉にする前に、正面からぶつかっていた。


 屋根を一発で粉砕し、けたたましい音をあげて家のなかに転がり込む。

 障壁のおかげで痛みはなかったけれど、それが解除された途端、周囲に舞いまくる埃を吸い込んでしまい、たちまち咳と涙の発作に襲われた。


「――乱ッ暴すぎるだろ! このがさつエルフ!」

「うるせえ! 魔法は急には止まらねえんだよ!」

「ツェツィの場合、それ以前の問題だけどネー」


 すぐ近くからシルフィリアの声。

 どこからか吹いた清涼な風が周囲の埃を綺麗に払い飛ばしてくれて、ようやくまともに呼吸ができるようになる。すぐ近くの連れの姿もようやく見えるようになって、


「ツェツィ。私もマギさんと同意見だわ……」

「本当、生まれ育ちが知れますわね」


 しかめ面を並べたヴァルトルーテとルクレティアが、お互いの顔をみあわせる。冷ややかな目線をかわしたあと、ふいとそっぽをむいた。……どうも、この二人も相性がいいわけではないらしい。


 関わるとおっかないから、俺はなるべくそっちはみないことにして、


「シルフィリア。まわりの気配に注意しておいてくれないか。精霊なら、感知できるんだろ?」

「えー」


 ツェツィーリャに寄り添うように浮かぶ風精霊が、小馬鹿にした表情で俺をみた。


「どうしてあたしが、命令されないといけないワケ?」

「頼む。理由はあとで話す」

「そりゃ、“あと”じゃなきゃならねえわけか?」


 ツェツィーリャの鋭い目に睨みつけられる。俺が黙ってうなずくと、ふんと鼻を鳴らして、


「シル。やってやれ」

「エー」

「こいつにいわれんのが嫌ってんなら、オレがいう。周囲の警戒だ、いいからやれよ」

「ちぇ。わかりましたヨー」


 頬をふくらませたシルフィリアが、風と共に消える。あてつけのように残された微風に頬を叩かれた。


「それで? これからどうすんだ。ぼんくら」

「……とりあえず、家主に謝らないとな」


 天井裏をぶち抜いて訪問するっていうのは、いくら魔物の世界でも常識外れすぎる。


「――別に謝らなくてもいいけれどね」


 声がした。

 薄暗い周囲に姿はない。周囲のあちこちに張り巡らされた蜘蛛の糸から、その声は聞こえていた。


「その声はマギくんだな。また来てほしいとは昨日いったが、随分と変わった訪問をしてくれるじゃない」

「先生。すみません、これには理由が――」

「いいから、下にいるから降りておいでよ。話はそっちで聞こう」


 声が途絶える。

 俺は他の連中を振り返って、


「いこう。周りだけ、気をつけておいてくれ」


 念を押すと、微妙な表情で三人はうなずいた。



 昨日も訪れた塵と埃の巣窟は、たった一日でさらに廃墟の度合いを増した雰囲気だった。というか屋根まで打ち抜かれたんだからほとんど廃屋だろうが、それをした張本人たちがいえることじゃあない。


 ほとんど廃墟と変わらないその一軒家の主は、昨日とおなじ埃にまみれた応接間で俺たちを出迎えてくれた。


「やあ。一日ぶり」


 蜘蛛糸のクッションを背にした蜘蛛美人がにこりと微笑む。


「空から落ちてくるなんて、なかなかファンキーだ。それって最近、人間同士で流行ってるの? それともエルフのほう?」

「緊急事態ってやつです。すみません。修理代、弁償します」

「ん、直してくれるんならいいよ。さすがに私の糸じゃあ、雨露はしのげないしさ」


 家を壊されたっていうのにまるで怒った風もなく、あっさりとしている。

 そういう性格なのだった。おおらかというより、自分の研究とその研究対象、あるいは知的好奇心をそそる事象以外には何事にも執着しない。だからこそ、だ。


「それで? なにやら外が騒がしいようだけど、なにかあったのかい」

「ええ。実は……」


 本と埃に囲まれた室内で、俺は今の状況をかいつまんでアラーネ先生に話した。


 突然あらわれた、もう一人のスラ子。そして、それを利用してエキドナがアカデミーの在り方を一変させようとしていること。話をききながら、先生はつまらなそうにしていたが、黒スラ子の話になった途端に目の色が変わった。


「黒いスラ子ちゃん。それはまた、随分と面白そうなことになってるじゃないか」


 獲物を前に舌なめずりするような表情で目を細める。


「ええ。そのスラ子は今、外で他の魔物連中と大立ち回り中です。……すぐに決着がつくでしょうけど」


 先生は、愉しげな上目づかいで小首をかしげた。


「スラ子ちゃんの圧勝で?」


 俺は黙ってうなずいた。


「……正直、どんな魔物だってあのスラ子には敵うとは思えません。このアカデミーは、すぐにあいつに制圧されると思います」

「そりゃ凄い」


 先生が笑った。


「マギくん。君はつまり、このアカデミーで一番強い魔法生体をつくりだすことに成功したわけだ。偶然とはいえ、大したものだよ」


 先生の言葉は素直な賞賛だった。

 先生がこういう人だってわかっていたけれど、それを聞いた他の三人はいっせいに眉を逆立てて、


「ふざけたこといってんじゃねえ。こいつの話聞いてたのかよ、てめえ」


 ツェツィーリャが唸り声をあげた。


「なんのこと?」

「今、てめえらの庭で暴れてるアレは、一番強いだか成功だかで放っておいていいもんじゃねえんだよ。冗談でも誇張でもねえ。てめえら全員、間違いなくやられるぞ……!」

「それのなにが悪いんだい?」


 不思議そうに先生はいった。


「強いものが勝つ。強いものが支配する。それが魔物だ。アカデミーだって同じさ。死にたくないなら降ればいい。降っても許されないなら逃げればいい。逃げられないなら、それでおしまい。それだけだろう?」


 あまりにもあっさりと言い切られて、ツェツィーリャが絶句してしまう。

 価値観の相違。弱肉強食が魔物たちの世界の習いではあるが、今の発言にあるのはそれだけじゃなかった。


 ルクレティアが眉をひそめて、


「誰も彼もが殺されてもかまわないと? 意外ですわね。魔物というのは、そうも潔いものなのですか」

「まず前提が違うんじゃないかな」


 先生が苦笑した。


「その黒いスラ子ちゃんは、別に自分から殺しにかかってるわけじゃないだろう。自分に向かってくる連中を叩きのめしているだけなら、皆殺しなんて事態が起きるわけがないさ。魔物だって、勝てないのに死ににいく馬鹿ばかりじゃない」


 むしろ、と続ける。


「問題はその黒スラ子ちゃんがいったいなにを目的として行動しているのかでしょ?」


 全員の視線が一か所にあつまる。

 重い沈黙。

 はっきりと非難するようなエルフ二人の視線と、目元を笑わせた先生の視線。ルクレティアが冷静な眼差しをこちらにくれているのを感じながら、


「だからこそ、です」


 押し殺すように、俺は言った。


「あの黒スラ子が俺のためにって行動してるんなら、俺が止めます。それを利用しようとしてる相手がいるのだって、放ってはおけません」

「もちろん、個人的な動機やそれに基づく行動にケチをつけるつもりはないよ」


 肩をすくめる。


「それで、私のところに来たのは他に行くところがなかったからってことでいいのかしら」

「それもあります。あと、先生に聞きたいことがあって」

「マギくん。マギくん」


 昔のように、講義中に間違いを指摘する口調で先生はいった。


「君がなにを聞きたがってるかは見当がつくけれど。これでも私も一応、アカデミーの関係者なんだよね」

「俺だってそうですよ」

「身内だからって情報を洩らせるわけでもない」

「アカデミーのためになるなら問題ないと思います」

「それは、どの時点でいうアカデミーかによるさ」


 先生が嗤う。


「アカデミーの在り方がこれから変わろうってんなら、近い将来、そちらを牛耳る側に肩入れするほうがお得じゃない? マギくん、君がいったんだ。外は黒スラ子ちゃんの圧勝だってね。なら、どう見ても旗色が悪いのは君たちじゃないか」


 先生の言い分はもっともだった。

 現に俺たちは逃げ出してきたところだ。現にエキドナにしてやられつつある立場で偉そうなことをいったところで、説得力なんてありもしないが、


「そうとばかりは限りません」


 ルクレティアがいった。


「我々の現状はたしかに芳しくありませんが、決して全てが相手の思惑通りというわけでもないはずです」

「その根拠はあるのかな」

「もちろんあります」


 ルクレティアははっきりとうなずいた。


「私たちがここにいることです」

「というと?」

「エキドナというラミアの女性が、前々から企みを温めていたことは確かでしょう。寡頭制による少数支配というアカデミーの現体制から、絶対者による統治。強力な象徴の元に魔物たちの意思を集結させる。“魔族”ですか。竜を据えようとしていたその頂点の座に、代わりに耐えうる存在として黒スラ子さんを得た。本人の口からあったとおり、今回の行動はそれに対する鍵を手中にする機を狙って起こされたに違いありませんが……それなら、どうして私たちは、今こんなところに無事でいるのでしょうか」


 言葉が周囲に浸透するのを待つように言葉をくぎってから、続ける。


「仮に、これが万全の準備を為して起こされたものであるとするならば。私たちは皆、他の方々のように捕らえられているべきです。実際、スラ子さんやカーラ、スケルさんにタイリンなどは恐らく向こうの手の内にあるものと考えられます。しかし、本命はあくまでただ一人のはずです」


 再び、周囲の視線が俺にあつまる。


「カーラたちの存在が人質になるとはいえ、“鍵”はあくまでご主人様自身のはず。それを逃すなど、策謀としては片手落ちもいいところです。満を持して起こされた企みであるなら、そんな事態に陥ったのはどうしてでしょう」


 視線で回答をうながされた先生が、


「……黒スラ子ちゃんだろう。彼女が君たちを見逃したんじゃなかったの?」

「その通りです」


 ルクレティアがうなずいた。


「つまり今回の件について、主導権をにぎっているのは始めからエキドナさんなどではありません。あの黒スラ子さんということですわ」

「……そうか。そうですよね」


 ヴァルトルーテがうなずく。


「そもそもの事の発端さえ、エキドナさんではないのかもしれないのですね。黒スラ子さんが動き始めたから、それに合わせて決起しただけなのかも。考えてみれば、私たちを一網打尽にするのなら、わざわざ二手にわかれているときを狙わなくてもいいわけですし」

「ご主人様が一人のときを狙うか。戦力分散のために別行動時を狙ったとしても、それでわざわざご主人様がいない方を狙う理由もわかりません。いずれにせよ、事前に練られた計画にしては始動のタイミングがお粗末すぎます」

「なるほどね」


 感心したように先生がうなずいた。


「随分と優秀なブレーンを持っているんだな、マギくん。確かにその通りだ。事前の計画に沿ってというより、なんとかほころびが出ないように推移してるっていうのが実際なのかもしれない。加えて、黒スラ子ちゃんという不確定要素が事の根幹にある以上、どっちが有利で誰が勝者かなんていくらでもコロコロ転がるってわけだ。よくわかった」


 それで、と先生は首をかしげてみせる。


「だからって、私が君たちに協力する理由にはならないよね? どっちが勝つかわからないなら、どっちかが勝つまで大人しくしておこう。別に甘い蜜を吸いたいってのでもないしね」

「日和見を決め込むと?」


 目を細めるルクレティアに、先生は肩をすくめて、


「私はどんな体制がアカデミーを牛耳ろうとかまわない。研究する場所をもらえればそれでいい」

「……あの黒スラ子さんがアカデミーを支配して、今までと同じようにいくとは思いませんけれど」

「ああ、さっきの話に戻った。少なくとも、自分から虐殺してまわってるって話じゃなかっただろう? 彼女の関心はマギくんだけなんだから、そう悪いことにはならないんじゃないのかな。君たちが違う意見をもつのは自由だけどね」

「あなたは。本当にそれでいいんですか?」


 ヴァルトルーテが口をはさんだ。


「あなたの関心は自分自身の保身だけですか。自分の世話になっている組織が無邪気な悪意にめちゃくちゃにされようとしているのに、どうしてそれに抗おうとしないんですかっ」

「魔物に物事の道理を説いてもしょうがない」


 先生は苦笑いをうかべた。


「アカデミーなんていろんな魔物がごちゃ寄せになってるんだから、共通した善悪の価値観や社会的な倫理観を求められても困るよ。エルフっていうのは、自分たちが単一種族で集団を形成してるから、それがどれほど貴重なことかわからない。自分の常識だけで相手を図るもんじゃないよ。こういう場合、まだ人間相手の方が話が通じるんだろう」

「――損か得、ですか」


 ルクレティアの言葉に、先生は微笑んでみせる。


「その通り。実に人間的な論理だろう? 知ってのとおり、アカデミーの在り方は君たちに学んでるところが多々あるんだ」


 金銭という、万人に共通する価値観。種族や立場でどんなふうにだって変容する正義や道理なんかより、そちらを媒介することで物事をすすめていく。

 確かに人間的だ。実際、多種多様な価値観が混在するアカデミーで集団としての機能を保持するために、それはうってつけなんだろう。


「でも……!」


 ヴァルトルーテが続けようとしているが、効果は見込めそうになかった。彼女は善良だが、あくまでエルフとしての論理を理解してもらおうとしているだけだ。そして、それが過去かなわなかったからこそ、エルフ族はアカデミーから手を引いてきたのだから。


「……先生にとっての得なら、あります」


 俺はいった。


「どんな?」

「好奇心」


 先生が黙って口元を曲げた。ひどく蠱惑的なそれは、生徒が会心の回答をだしたときにみせる表情だった。


「先生は、スラ子に興味があったはずです。今回の件は、それを特等席で見聞する絶好の機会ですよ。でも、こんな家のなかにいちゃそれも叶わない」

「なるほど」


 先生が、ゆっくりと蜘蛛糸のクッションから身を起こした。


「つまり取引ということかな? 私が君たちに協力する見返りとして、スラ子ちゃんについての情報を教えてもらえるというなら、確かにやぶさかじゃあない」


 無言のまま、ルクレティアの鋭い視線を横から感じる。


 ……わかってる。

 現状を打破するための協力者は欲しいが、そのために破格の条件を提示して後から困ったことになってもしょうがない。特にスラ子に関わることなら、それだけ取扱いに気を付けるべきだった。


 俺はゆっくりと首をふった。


「これは取引じゃありません。俺から先生に見返りとして渡せるものはありません」


 ただし、と続ける。


「先生が同行してそこで見聞きするものについては、隠すつもりもありません。もしもこれを取引だとするなら、こっちから提示できる条件は、同行を認めるっていうそれだけです」


 先生が驚いたように目を見開いた。

 奇妙な表情になる。甘いものを食べたのか酸っぱいものを食べたのかわからない顔で、下をうつむいた。しばらくしてから、ふと先生の肩が揺れているのに気付いた。


 先生が顔をあげる。その表情は、くつくつと笑っていた。


「それはまた、随分とひどい条件だなぁ。同行を認めてやるから、協力しろだって? マギくん、君も随分と図太くなったじゃないか!」


 八本の蜘蛛足が踊るようにステップをきざむ。笑いすぎて、先生は涙までながしていた。


「ああ、おかしい。ルヴェくんに振り回されて、泣かされてばっかりだったあのマギくんが、まさかそんなことをいいだすなんてね。本当、時間の流れってのは偉大だなあ」


 しみじみといってから、


「それに、さすがに私がどういう性格かよくわかってる。――わかった。君たちに協力しよう。その黒スラ子ちゃんについては、確かにとても興味がある」

「ありがとうございます」


 俺はほっと息をついた。


「それで、私になにを聞きたいの? 多分、アカデミーでやってる研究関係のことなんだろうけど」


 先生に訊かれて、俺はルクレティアに視線をむけた。その話をする前に、一度ここにいる全員で今の状況を整理する必要があると思った。

 察したルクレティアがうなずいてみせる。


「……私達が対処するべき懸案は大別すると二つです。一つは黒スラ子さん。もう一つはエキドナさんとその一派。この両者は結託しているように見えますが、先ほど申し上げた通り、密な連携にあるとはいいがたい状況であることが推測されます。我々にとっての勝機もそこにあるはずです」

「各個撃破ってか? 言うだけなら簡単だろうよ」


 ツェツィーリャが鼻を鳴らした。

 ちらりとそれをみてから、ルクレティアは続ける。


「この二つでも、特に重要となるのは黒スラ子さんの方です。エキドナさんの計画の根幹にあるものが黒スラ子さんの存在ですから、今回の始末はつまり、あの黒スラ子さんをどうにかできるかどうかに尽きます」

「正直、立ち向かってどうにかできる相手とは思えません」


 ヴァルトルーテが青ざめた顔でつぶやいた。

 さっきの光景が頭にあるからだろう。黒スラ子が軽々と集めてみせたマナの総量をみれば、誰だっておなじ感想をもつだろう。


 あれはもう、強いとかそういう次元を超えていた。――竜のように。

 脳裏にうかんだ不吉な連想を吹き飛ばすように頭をふると、こちらのほうをみるルクレティアと目があった。


「たとえアカデミーに残る全員と協力したところで、あの黒スラ子さんを打ち破ることは不可能でしょう。いいえ、戦おうという発想をもつことがまず間違っています。あれはもはや、そういう相手でしょう」


 こちらから視線をそらさないままのルクレティアが、言下に伝えようとしていることに俺は気づいた。

 あの黒スラ子に敵う相手なら、いる。種族。そのなかでもたった一人、間違いなくあのスラ子とも比肩しうるほど強大な知己を俺はもっていた。


 俺は口を横に結んだまま、だまってルクレティアをみつめかえした。そこから何かを読み取ったルクレティアがついと目をそらして、


「……その黒スラ子さんに対して鍵となるのは、ご主人様です。彼女の行動理念にあるのはご主人様であり、そのことはエキドナさんも把握しています。ご主人様に対する人質としてとられているカーラたちの安否も気がかりですが、結局はご主人様があの黒スラ子さんを抑えることができるかどうかにかかっています」

「……あのスラ子は、俺がなんとかする。でも、その前に気になることがあるんだ」


 ルクレティアの後をついで俺は話し出した。


「そもそも、あの黒スラ子はいったいなんだ? それと、俺の知ってるスラ子は今、どこにいる? カーラたちと一緒にいるのか、そうじゃないのか。俺は、この二点がすごく気になってる」


 全身の肌色以外、スラ子とうり二つの黒いスラ子。

 スラ子を姉と呼び、俺をマスターと呼んだあの不定形の生き物はいったいどこからやってきたのか。このアカデミーで作られたというなら、いったい誰が、どうやって作りだしたのかを知る必要があった。


「普通に考えれば、ご主人様の近辺をさぐらせていたエキドナさんが、どうにかしてスライム核の魔法生体を作り出すことに成功したということになるでしょうけれど。せっかく作ったそれを“スラ子”さんにしなければならない理由は、確かにありませんわね」

「そうだ。それに、スライム核ってだけじゃない。今のスラ子の桁違いの能力は精霊をとりこんだうえ、シィから与えられた妖精の羽があってこそ成り立ってる。だけど、さっきの戦闘を見る限り、黒スラ子の能力は生まれたてのスラ子じゃなく、今のスラ子そのものだった。まるでコピーみたいにな」


 俺はヴァルトルーテをふりむいて、


「なあ。俺のまわりには今もスラ子の気配、あるのか?」

「……ええ」


 慎重な表情でエルフはうなずいた。


「あなたと出会ったときから変わりません。ただ……」


 そこで迷うように言葉をきってから、


「その気配がどちらのものであるかは、判別つきません。もしかしたら水色の方ではなくて、黒い方なのかも」


 黒スラ子が? ……いや、ありえるか。


 あいつの言い分はとりあえず、俺の身を案じてくれていた。無意識に俺を護ってくれていたというスラ子のように、あの黒スラ子が似たようなことをしてくれていたとしたって不思議じゃない。


「んなもん、矢で撃ってみればわかるだろうぜ」


 ツェツィーリャがいった。ほとんど本気だったらしく、実際に弓にも手をかけようとしていたが、


「おやめなさい。もしそれで黒スラ子さんの機嫌を損ねたら、今度こそ命はありませんわよ。そうでなくとも――」


 いいかけたルクレティアが、そこで雷にうたれたように動きをとめた。


「どうした?」

「……いえ、なんでもありません」


 ルクレティアが言いよどむなんて珍しい。気になったが、金髪の令嬢は俺の視線を無視するように話を変えた。


「……我々の知るスラ子さんが、もしあちらに捕まっているとするのなら、つまりはあの黒スラ子さんに敵わなかったということです。少なくとも黒スラ子さんの能力は、スラ子さんと同等以上のものだとしてみておくべきでしょう」


 なんだったんだ? まあ、話す気がないなら俺からなにをいったところで話す相手じゃないから、気にしないでおこう。


「ああ。だから、俺はまずそっちを知りたい。あの黒スラ子がアカデミーで作られたのなら、その場所なり研究者なりがいるはずだからな。あの黒スラ子をどうにかするのに成功しても、そのあとに三人目、四人目がまだ残ってるなんてことになったら、それこそ取り返しがつかないだろ」

「ちょっとそれは……冗談になりませんね。本当に、世界が終わってしまいそうです」


 俺はうなずいて、先生をみた。


「先生。研究棟のことはよく知ってるはずですよね。そういう研究の話とか、きいたことないですか?」


 先生は一瞬、考え込むような素振りをみせてから肩をすくめた。


「いいや。知らないな。まあ、研究の内容なんて基本は他所にもらすもんじゃないから、私の知らないとこでどんな研究がされてても不思議じゃないけどね。横の繋がりなんてあってないようなものだってこと、君もよく知ってるでしょ?」

「はい。でも、先生だから思い当たる相手や、場所なんかはあると思います。それを教えてもらえませんか。俺はそれをあたってみたい」

「外のあいつはどうすんだ? 絶賛大暴れ中だが、ほっとくのかよ」


 ツェツィーリャがいった。


「もちろん、放ってはおけない。けど、黒スラ子の前に俺たちが出向くことくらい、エキドナだって予想してるだろう。それを待ちかまえてるだろうし、それにあの黒スラ子がまた俺たちを逃がしてくれるかどうかもわからない。エキドナもな。だから、今度あの黒スラ子の前にでるときは、最後の最後って覚悟でいるべきだ」

「決戦ですね。それなら、その前にやれることはどんなことでもやっておくべきでしょう。なんの手立てもなく突撃しても益はありません。言葉は悪いですが、黒スラ子さんがアカデミーの魔物相手にかまけているあいだに、こちらはこちらで動かせていただきましょう」

「ああ、そうしよう。先生、案内をお願いできますか」


 先生が肩をすくめた。


「外に出るのはおっくうだけど、まあいいか。怪しそうな連中の場所は教えるけど、それがハズレでも怒らないでよね。ああ、それと気に食わないヤツの場所も教えるから、ついでに火でもつけてやってくれるといい」

「そういうのはまた今後、自分一人でやってください」

「ちぇ。いい機会なのに」


 不満そうに口をとがらせてから、先生が蜘蛛脚で立ち上がる。


「よし、いこう」


 俺は三人に呼びかけて、


「――私は別行動をとろうと思います」


 その中の一人がいった。


「別行動?」


 はい、とうなずいたのはルクレティアだ。


「エキドナさんもただ待っているだけではないでしょう。全員が一緒に行動するより、別々に動いたほうが相手の目をあざむきやすくなります」

「陽動か」

「それもありますが、別のこともやっておきたいのです」


 ルクレティアは小さく肩をすくめて、


「私はアカデミーと交渉を試みます」

「交渉だって?」


 いったいこんな状態で、アカデミーを相手になにを交渉するっていうんだ。


「今だからですわ、ご主人様」


 ルクレティアが冷たく微笑んだ。


「あの黒スラ子さんをどうにかして、エキドナさんの策謀を防げたとして、それであとに残るのはなんになりますか? 私たちと一緒にアカデミーにやってきた、スラ子さんと同じ容貌の相手が、アカデミーをめちゃくちゃにしてしまった。その事実だけでは、我々がその共犯者として見られてしまっても仕方がありません。それではギーツの交渉どころではなくなってしまいます」

「ああ、そうか。……そうだな。大問題だ」


 あの黒いスラ子が何者かはともかく、うちのスラ子とほとんどおなじ姿かたちをしているのは確かなんだから。


「はっ。なんの見込みもないってのに、もう終わったあとの話かよ。随分と楽観的じゃねえの」


 ツェツィーリャが皮肉るが、それに倍する冷ややかさでルクレティアは応えた。


「事後処理を終わってから考えるようでは低能というものです。あなた方も、アカデミーを破壊した一味にエルフ族も手を貸していたなどという話になってはお困りではありませんかしら」

「ざけんな。いつオレたちが――」

「終わってからそういう揉め事にならないよう、今から行動しておくべきだといっているのですわ。賢人族などと大層な呼ばれ方をしておいて、エルフというのは随分と想像力に欠けているのですね」

「てめえ……!」

「ツェツィ、やめて」


 ヴァルトルーテが抑えにはいった。


「……ルクレティアさん、それで具体的にはどういう行動をとるお考えなんですか? 交渉というのは、あのラミアの女性を相手にではないですよね」

「恐らく、昨日私たちが面会したような今までの寡頭制の長老格は、エキドナさんに真っ先に抑えられているはずです。すでに殺されているかもしれませんが、まだ一人くらいは存命かもしれません。そちらを探してコンタクトをとってみようと思います。万が一、このクーデターが成功してしまったなら、わざわざ事後処理など考えなくてすむことですからね」

「わかりました。私もそれに同行させてもらえませんか?」

「ヴァル姉!」

「聞いて、ツェツィ。ルクレティアさんのいったように、終わったあとのことは考えておくべきだわ。私達はエルフを代表してやってきてるんだもの。二人だけの問題じゃない」

「そりゃそうだろうけどよ」


 不服そうな妹からルクレティアに目線を戻して、


「私なら、第三者としてあなた方の立場を証明できます。同行させても損にはならない。あなた方の理屈でいえば、こうなりませんか?」

「私はかまいません」


 ルクレティアが俺をみた。


「ご主人様。そのように行動させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」


 俺は顔をしかめた。


 ルクレティアの提案が正しいものというのはわかる。なんとか事態を収拾させたあとでやっかいな責任問題になったりしないよう、前もって調整をはかれるというのなら、そうしておくべきだろう。


 だが、それは結局、エキドナの目につく行為であることには違いない。


 あの蛇人族の女性が黒スラ子を利用してアカデミーを牛耳ろうとしているなら、アカデミーの旧体制なんて残しておくはずがないし、それと接触しようとする相手を見逃すはずもない。

 ルクレティアにだってそれはわかってるはず。


 ようするに、結局は陽動なのだ。ルクレティアの行為は、少しでもエキドナの注意をこちらから離すためにという意図になる。


 俺の内心を読んだように、ルクレティアは薄く微笑んでみせた。


「ご安心ください。ギーツとエルフ族。その窓口になるということなら、生かしておく価値があります。あのラミアの方であればその程度は思いつくでしょう」


 それに、と続ける。


「捕まったなら、それでカーラたちの安否を確認することもできます。そちらのほうがご主人様も安心でしょう」


 嫌になるくらい、こっちの性根を見通されている。


 俺はため息をついた。


「……わかった。二手にわかれよう。黒スラ子のことは任せろ」

「ええ。そればかりはご主人様にしかできないことですから」


 うなずいて、しかめ面のエルフに顔をむける。


「ツェツィーリャ。あんたはどうする」

「――この子はマギさんに同行します。ツェツィ、いいわね」


 答えたのはヴァルトルーテだった。

 ツェツィーリャは不満そうに沈黙していたが、やがて不承不承といった感じにうなずいた。


「わあってるよ。自分の役目くらいわきまえてるさ。そうすりゃいんだろ」

「ええ。マギさん、妹をお願いします」


 精霊の加護つきエルフなんて俺なんかより全然強いわけだが、俺はうなずいた。


「そっちも気をつけて。それじゃ先生、いきましょう」

「わかった。とりあえず研究棟だね。人目につかないほうがいいんだろう? 裏道があるから、そっちからいこうか」


 先生の先導で部屋をでようとして、ふと後ろから手をひっぱられた。

 つんのめってバランスを崩しかけたところを、強引に顔をつかんで振り向かされる。すぐそばにルクレティアの顔があって、息をするまもなく口づけられた。


「……! おまっ……!」


 抗議の声をあげかけるが、無視される。

 そのままもがいたりしているのを見られたらしく、


「なにやってんだ。アホらしい」


 呆れた声をのこして気配が去ったところで、ルクレティアが顔をはなした。


「――ッ、なんの真似だよっ。ふざけてる場合か」

「……本当に大丈夫ですか」


 心配そうな眼差しが、まっすぐにこちらをみつめていた。


「なんのことだ」


 いってから気づく。

 ルクレティアは、他の連中に訊かれないようにいいたいことがあるから、わざわざこんな真似をしたのか。


「黒いスラ子さんのことです。ご主人様、あなたは本当に、あの方をどうにかすることがおできになりますか」


 ルクレティアの表情は真剣だった。


「……できるさ」

「あの方がスラ子さんだとしても、ですか?」


 ルクレティアのいっていることの意味が、一瞬わからなかった。


「なにいってんだ。お前はあの黒いスラ子が、俺たちの知ってるあのスラ子だと思ってるのか? 騙されてるか、エキドナか誰かに操られてるってのか?」

「そうではありません。というより、あのスラ子さんが二人目だろうが三人目だろうと、そんなことはどうでもよろしいのです。この場合に重要なことは、あのスラ子さんが間違いなくスラ子さんであるということなのですから」

「……すまん。意味がわからん」

「ご主人様。あなたはあのスラ子さんをみて違和感をお覚えになりましたか。黒い肌の色以外で」

「あったさ。決まってる」


 そうですか、とルクレティアが息をついて、


「私には、まるで違和感というものがありませんでした」


 いった。


「ですから私は、ご主人様にいわれるまで気づきませんでしたし、そのあとで肌が黒く変わったあとでも、とても本人ではないとは思えませんでした。ただの悪戯かなにかだろうとしか思えなかったのです。今でも少し疑っています。そのくらい、私にとってあの相手は間違いなくスラ子さんそのものでした」


 ……どういうことだ?

 淡々とした口調で告げる相手の真意をたしかめようと、みつめる。


 スラ子と黒スラ子のあいだには、俺にだけわかる違いがあるってことか。自慢じゃないが、人よりすぐれた注意力なんてもちあわせているつもりはないんだが。


「そうであればいいのですけれど。しかし、そうでなかった場合を考えると恐ろしくもあります」

「どういうことなんだよ」


 ルクレティアは弱々しく頭をふった。

 それから、大変珍しいことに話を切り出すかさんざん迷うようにして、


「ご主人様。あれは、スラ子さんです」


 はっきりと断言した。


「だから、違うっていってるだろ」

「いいえ。あれはスラ子さんです。私たちの知るスラ子さん本人ではないかもしれませんが、それでもスラ子さんには違いありません。それを否定する理由がないのです」

「理由?」

「ご主人様のことを第一に考えて、それ以外のことは気にかけない。たった一人だけを世界の中心においた言動。……先ほどあの乱暴なエルフが、ご主人様に矢を射ようとしたとき、私は黒スラ子さんに殺されるからおやめなさいといいました。でもそれは、相手がスラ子さんの場合でもおなじです。彼女はあなたに害をなすものを許さない。そうした在り方こそ、まさにスラ子さんではありませんか」


 俺は一瞬、言葉をうしなって。


「でも、あれは」

「少なくとも、私にとってはあの黒いスラ子さんは、スラ子さんそのものでした。それが私の勘違いであればいいのです。ご主人様にだけわかる差があるというのなら。けれど、本当にそんなものはありますか? あなたはそれを私に説明できますか」


 問われて、俺はすぐに反論しようとして――その言葉がでなかった。


 あの黒スラ子をみて、一目で違和感があった。

 違う、と思った。

 けれど、じゃあ俺はいったいあのスラ子のどこをみてそう思ったのか。それが、まるで頭に考えつかなかった。


「あの黒スラ子さんが、いったい何者なのかはわかりません。けれど、それをあいまいにしたままあの相手をどうこうしてしまうのは、なにか危険な気がするのです。いえ、もっとはっきりとお伝えしましょう」


 ルクレティアがいった。


「ご主人様。もしも、スラ子さんとあの黒いスラ子さんが“本質的に同じ”ものだとしたら。それでもあなたは、あの黒スラ子さんをどうにかすることができますか。どうにかすることができたとして、その後にスラ子さんへ今までと変わらない態度をおとりになれますか」


 俺は沈黙した。

 頭が混乱している。


 あの黒いスラ子は、スラ子じゃないけど、スラ子とおなじものだって?

 なんのことだか理解できず、けれどその反面、全身にはじわりと嫌な汗をかいていた。それがまるで、身体のほうがいわれていることの正確さを理解しているような気がして、ひどく不安になる。


「卑怯な物言いだとは思います」


 ルクレティアがいった。


「あの黒いスラ子さんは、必ずなんとかしなければなりません。その能力も、在り様も、あまりに危険すぎます。けれど、そのことがご主人様とスラ子さんの関係に致命的なものを生んでしまうのであれば、他の手をとることも考えるべきではありませんか」

「他の手?」

「ストロフライさんを頼るのです」


 ああ。やっぱりそれか。


「あの黒いスラ子さんに対抗できるのは竜だけです。そのなかでも飛びぬけて強力なストロフライさんであれば、勝ち目はあるはずですわ」

「……駄目だ」


 俺は頭を振った。


「何故ですか」

「お前がいったこととおんなじだ。あの黒スラ子と、スラ子がおなじ本質の存在だとかっていうなら、ストロフライが黒スラ子と戦うってことは、スラ子と戦うってことになるんだろう」


 それだけは、あの二人を戦わすのだけは絶対に駄目だ。それに。


「それに?」

「……エキドナは、それを期待してるのかもしれない。スラ子って餌につられて、ストロフライが現れるのをな」


 最初は竜に対する交渉材料にするつもりだったとか、そんなことをいってたじゃないか。


「それは……確かに、ありえなくはありませんが」

「ストロフライには頼らない。それこそ死ぬ気でやって、自分にできることがまだなにかある限りは」


 ストロフライに助力を頼むことがあるなら、それでも駄目だったときのことだ。

 死ぬ気で、というよりは俺が死んだ後の話。前にあの黄金竜の少女が約束してくれた言葉の意味はそういうものだと、俺は思っていた。


「……では、ご自身でおやりになるのですか」


 俺は黙ってうなずく。

 決意はかわらない。さっきもいったとおり――あいつの始末は俺がつける。あの黒スラ子が、たとえどういう存在だとしても。


「それに、俺にはどうしても、あの黒スラ子がスラ子とは思えないんだ。うまくは説明できないんだけど、本当にそう思ってる」


 ルクレティアがため息をついた。


「凡庸なくせに、頑固なことですわね」

「心配してくれるのは、ありがたいよ」

「勘違いなさらないでください」


 冷ややかな目つきでルクレティアはいった。


「あなたにはあと五年、死んでもらっては困ります」

「わかってるさ」

「なら結構です」


 不機嫌そうに、ルクレティアは部屋の外にむかって歩き出した。その背中から声がかかる。


「あなたの器量でやれることなど、多くはありません。カーラたちや事後処理のことはこちらにお任せになって、せいぜいご自分のなさるべきことをおやりになってください」

「ルクレティア」


 ものすごく険しい表情の美貌が振り向いた。


「さんきゅ」

「――もし死んだら、どんな手を尽くしてでも生き返して、もう一度私が殺します」


 多分、実際にその通りに行うのだろう不吉な予言の裏側で、こちらの身を案じてくれているのがわかって、苦笑いがでた。



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