第五話 天国情報《トゥルーアンドフォルス》
さて、そろそろ先に進まないとな。
もう太陽も頭の上。どこか一番近い街で、今がどの時期で、『HEAVEN』はどうなっているかも聞かないと。
と、やはり瓦礫を踏みしめて歩こうとするのだが……
「う……いてえええ……」
「あああ……」
「誰か…たすけてぇ」
……ものすごい罪悪感。
罪悪感? 何それそんなの持ってたんだ。って言う人いると思うけどさ、持ってるからな!?
まったく、後ろであんなあからさまに呻かれたら助けるしかないだろ。
自分で言ってもお人よし過ぎだろ、俺って。
~治療中。少々お待ちください~
大体は手加減して、気絶しない程度にやっただけなので、
俺の能力を使って傷ぐらいは塞げた。
でもさ、次の問題が出たんだよな。面倒だよ……。
『ありがとうございます!!!!』
……何このボス的存在な俺。
「あ~、何だ? 別に良いって」
『いえ! このご恩、一生掛けてお返しします!!』
…………この揃い様。なにこれ怖い。
とまあ、そんな感じで、結局折れたよ。
俺がだよ!!!!
「で、街どこよ?」
歩きながら、後ろに十人ほど連れて問う。
「ああ。この跡地から一番近いのは……」
答える男が、地平線の彼方を指して答える。
その先には、街のようなものが見える。
「あれです」
結構近いな。こちらに戻って来たばかりの時は見えなかったからな。
でも待てよ?
少し疑問が引っかかる。
俺は、その疑問を解消するために、男の一人に聞いてみた。
「なあ、跡地って?」
その男が、「何で知らないんだろう?」といった顔をしたあと、
答えたその言葉が、俺は信じられなかった。いや、予想はしていたが、やはりショックだった。
「跡地って言ったら、アレですよ。三年前の事件で崩壊した『HEAVEN』の、で―――――」
「何だとッッ!!!???」
つい掴みかかっていた。
その男が苦しそうにしているのを見て、冷静さを取り戻そうとする。
「はぁ……すまなかったな。で、話しを続けてくれ」
「は、はい。
それで、………………」
そこから聞かされた内容は、驚愕のもので、同時に嘘と欺瞞に満ち溢れていた。
曰く、『HEAVEN』は、世界を能力者のみで統一しようとする組織。
表向きは、人間との共存が目的と言い張っているが、実際露呈したのは、
……『UnInstall』の戦力強化による軍備の統一。
そして、人口的に能力者を作り出す研究を進めていた、総隊長の無骸零。
最初は、人間軍からの、膠着状態による発砲。
能力者と言っても、所詮人間。一人の能力者の死によって、部隊内の反人間派が突撃。
そこから戦争が激化。
度重なる、人間軍からの攻撃にさらされ、遂に能力者達は、虐殺事件のあった跡地から退き、
新たな場所に街を作っている……らしい。
…………この話しから推測するに、100%、裏で『HUMAN』が動いている。
そして、多分戦争の詳細は知らないが、その引き金を引いたのも、
「HC-R」
「え? 何ですか?」
「あ、いや、なんでもないさ。さ、さっさと行こう」
さて、どうするか……。
この緊迫した状況の中でも、
昼空に舞う鳥達は優雅にその美しい声を披露していた……。