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第十一話 戦場突入《ヘルプユー》

投稿が滞っていた理由は……活動報告をどうぞ。

いや、すみませんでした。

 黒煙が見える。

きっと、この立ち位置……街の内部。開きっぱなしである門の前から、

ほんの数百メートル先は、最前線。


偽の情報に流されている人間軍と、それを殺さずに対応している能力者軍が、

それぞれ兵器と能力をぶつけあっているはず。


対能力者用の兵器というのも中々に興味が湧いたが、今はそんな暇は無さそうだ。


「兄貴。俺たち……あそこに行くんすか?」


一人が不安そうにそう言う。

それはそうだろう。俺だって、多分まだ高一、二程度だし、コイツらだって、実際年齢俺とほぼ変わらないのだ。

いくら能力者であろうとも、『UnInstall』に居なかったならば不安がるのは当然。

ましてや、そこに突っ込んで、情勢をこちらの優勢に傾けさせるのだ。


「そうだ。だが……もし、自身の能力に不安を感じたり、

身体に不調、または異変を感じたりしたら、勝手に退場してくれて構わない。

俺は、別に去った者は咎めないし、また来てくれても良い。

でも俺は……これからもこの戦場に突っ込む。


俺に一生・・着いて来たいなら、今この戦場で着いて来い」


『………………』


「集団心理で動くなら死ぬだけだ。ちゃんと個人の意思で決めろ。

冷たいように聞こえるかもしれないが、お前達を殺したくないからだからな?


俺は行く。返事は聞かない。

来なくとも俺はお前達を臆病者扱いしないし、いつも通りに接する。


じゃあ、だな」


後ろの何か言いたげにしている奴らをほっといて、俺は門を出る。

勿論、門兵に何事かと問われるが、沈黙を突き通す。




切り捨てる。現時点で自分より後ろにいる味方を認識しない。

これより、敵のみに集中する。

何人来ているが知らないが、それぞれが生き残るしかない。



ゆっくり、けれど確実に、

最前線に向かって歩き、『HEAVEN』から百メートルほど離れた地点。


唐突に、


「兄貴。俺ら、どこまでも着いていきますよ」


そんな声が聞こえた。


目尻が少し熱くなるのを感じながら、

背中を任せたとだけ、言う。


右足で踏み切る。


制御するは……馴染みの大気。

創造するは翼。大気でできた、不可視の翼。だがその中には、暴風が吹き荒れている。


「行くぞおおおッッ!!!!!!」


『おおおおおッッ!!!!!!!!!!!!!!』






その掛け声とともに、宙に飛んだ。


幾多もの、銃火器を持つ人間兵と、

黒い迷彩服……つまりは『UnInstall』の制服を着ている奴との間を高速ですり抜ける。


目の前を火花が散る。

それは能力の発火であったし、同時にアサルトライフルのものでもあった。



見えた……。


きっと皆は最前線に来ながら、途中で人間と戦っているだろう。

それで良いのだ。なぜならこちらには……


「これが対能力者用の兵器……かよ。滅茶苦茶だな」


機械だった。ただそれだけ。

機械の塊。


中身は複雑で、俺の右手など比べるまでも無く安っぽく感じるであろう機械が鎮座していそうな、

鋼鉄の銀色に輝く外骨格。


それは、言うなれば人だった。

だが、あきらかに大きさが違うそれは、通常の人間の二、三倍はあった。



これほどまでの兵器を、俺が居ない三年程度で完成させるほどの技術は、

この世界は持っていない。ならばどこか……?


答えは簡単。『HUMAN』だ。

能力者に関する情報だってアイツらだろう。

もっとも、既に死んだ・・・俺の情報が知れ渡っているか知らんが。


「やるか」


その機械の一体が、近くにいる黒い服着た相手と戦っていた。

アイツは……!!


いきなりだな。懐かしい奴に会ったじゃねーの。これで三人目だな。


アインス、聊爾、と来てこいつか。聊爾とは上手くやってんのかね。


戦場でいささか不謹慎だろうが、ついつい思い出に浸ってしまっていた。


気付けば、その味方の女は、歯軋りをしながら機械を睨みつけていた。

風に乗って音が流れてくる。


「ったく……忌々しいね。コイツら機械だから……久しぶりにやっていいのかね」


瞬間、


ドッ!!!!!!!!!!!!


轟音、爆音。

と同時に凄まじい熱気。


そしてふりゆくものは、岩石。しかし、人間には当たらないように調節されている。


その女の地中からは、どろどろとした、オレンジのような赤のような色を持った、

溶岩。


あいも変わらず馬鹿深い場所まで掘削していることで。




その溶岩に飲み込まれ、ところどころに黒い煤をつけながら……っていうか焦げて、溶けてるな。


「……相手が生身じゃなけりゃちょろいよ」


「よ。何か暇してんな。余裕ですかね?」


俺の後ろからの言葉に驚いたのだろうか、擬音語を出しそうな勢いで飛びのく。

そしてこちらを見る目は、段々と驚愕に色染まっていく。


「『大地噴火ランドナパーム』。不知火奏華。久しぶりだな」

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