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第三話 何でもできる=ポンコツになる

レオンの手を引き、ようやく異世界転移の醍醐味”冒険”が始まった。本に書いたとおり、街は現れるのだろうか。現れたらそれこそ、現実とは思いにくくなるのだけど。

 レオンに連れられて歩くこと数分。自分の体力のなさに驚かされた。もともと、異世界というのは足元が悪く、凸凹しているらしい。しかも丘を越えたら次は山というように高低差が激しくて、一般男子高生である僕にはきつかった。


 結果レオンに背負われる形で移動をしている。軽々と背負われると若干負けた気がするのは気のせいだろうか。


「そういや、創作者。なんで没にしたんだ?」


 ケイルが後ろから声をかけてきた。他の人も「確かに」と口をはさんでくる。言っても言わなくても怒られてしまう。ならどちらがいいだろうか。


 そう考えたときに、誰かが言っていた気がする。とりあえず口にしろとかしないとか。だから僕は再度正直者を演じる。


「小学生の時なのでわかりません。」


 決まった。嘘でもなければそれ以上でも以下でもない。きれいな状態。この人たちにとって僕は若い創作者という項目にさらに”正直者”が加わるだろう。


 しかしそううまくいかないのも人生である。


「小学生?」


 まずそのカテゴリーが彼らには伝わらなかったようだ。目を丸くせざる負えないとはこのことだろうか。いやそんな言葉はないのだけれど。

「こちらの世界で六歳から十二歳を指す言葉です。義務教育といって、勉強を学ばないといけない期間なんです。」

「めんどいな。こっちは実践が主だ。」

 レオンがあきれながらそうつぶやく。もう一人の女性、赤髪の女性”アンナ”もこくりとうなずく。


「座学している暇があるなら、冒険出たほうがわかりやすいわね。」

「そうそう。確かに学校自体はあるけど。しかも義務って。」

 ルマがそうのんきに言う。こちらの世界の話を否定しないでほしいんだけど。確かに学校はめんどくさいと思う人、怖い行きたくないと思う人が存在する。もちろん楽しいとかいう人も。でもそういう経験も含めて人生だと僕は思う。どう活かすか、どう過ごすかは全部学生にかかっているのではないだろうか。いや、なに語っているんだ自分。さて、哲学のような話はおいといて、ふと見えていた景色に変化が起きた。


「お。人が増えてきたぞ。」

 レオンがそうつぶやく。あたりにはちらほら冒険者が見えてきた。ソロ冒険者から何十人といるパーティーまで。そして遠くに街が見えてきた。まるであのノートに書いているものが現実になったように。だが、一つ疑問が残る。今回はたまたまあって、たまたま書いたものが目の前にあるなら説立証にはならないのだ。レオンに試しに尋ねてみる。


「まだ、確証ないんですが……。」


 レオンはじーっと青い瞳をこちらに向けた。


「じゃあ、次の文章考えよう。さっきよりも具体的にかけ。」


 いや、具体的に言われましても。たとえ話がないから何も参考にならない。何だこの人、わくわくさせるプロかよ。そう思いながら僕は再度空っぽのノートを見つめた。


 先ほどの街を見つけたから何の進歩もない。


 僕は具体的に言われたから、とりあえず書いてみる。ずっと馬鹿にしてきた彼に対して。少しはイケメンに痛い目を見てもらおうじゃないか。


【レオンがバナナの皮を踏んで転んだ。幸い、けがはない。】


 書き終えて、今回はみんなに見せないことにした。不審そうな顔をしても無視をする。シナリオをわかっていたら面白くないじゃないか。ということにしておいた。


「それじゃあ、換金行こうな!」


 ケイルが力いっぱい手を上げてギルドへ足を運ぶ。僕らもそれについていく。ふと気づいた。僕、レオンの背中に乗ってね?


 それに気づいた次の瞬間だった。レオンはバナナの皮に気づかずそのまま重い足を踏み込む。そのままつるっと足を振り上げた。


「うわ!?」


 僕はレオンの背中に乗っているため、体制が崩れたことで地面に落下。


「いてっ。」


 そしてレオンはその僕に向かって乗ってきた。

 二人とも叫ぶ。


「うわぁぁぁ!!」


 瞬く間に終わり、瞬く間に結末を迎えた。馬鹿な神様は、どこまでも馬鹿だったようだ。自分ごと、災難に巻き込むなんて。隣にいたアンナとケイルは腹を抱えて笑っている。


「あのレオンが、レオンが……ぷっ、あっははは!」

「そうね、あのレオンが……バナナの皮に、負けるだなんて……ウフフ。」


 その後ろでルマは呆れていた。


「もー。ちゃんと足元見てよ。」


 もっともな意見である。それよりもレオンが重すぎる。筋肉質だからじゃない。鎧も剣も背負っており、大人だからだ。重すぎる。


「……おい、創作者。」

「はい。」


 レオンは大層恨めしそうな顔をして後ろを見た。そして、ニコッと微笑む。その目は笑っていない。


「なんかしたか?」


 その声もどす黒くて低かった。




 僕は案の定、こっぴどく叱られて足が痛いというのを聞かずに歩かされている。完全な自業自得と言うやつだ。

 そんな僕らはようやく目当てだったギルドにたどり着き、無事換金を終えた。僕はまだ冒険者ギルドには加入していないので、入る資格はないと門前払いされてしまったのはここだけの話である。


「さーて、換金も終えたことだし、リーダーあそこいきます?」


 ニヤリと笑うケイルにはきっとあの液体"酒"かあの物体"肉"のことしかないだろう。いや、まてよ。この人柄、もしかしたら女の子が好きな可能性もある。まあ、知ったこっちゃないのだけど。


「そうだな。飲みに行くか。」


 レオンの声に男性陣だけでなく、女性陣のアンナとルマも乗り気だった。異世界人は相変わらず騒がしい奴らが多い。だからこそ、成り立っているのだろうか。

春を迎えて、だんだんと忙しくなってきました。それでも、趣味であるこの活動は続けます。いつかの夢に向けて。

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