第二話 突然始まるデスゲーム
ひょんなことから異世界に来てしまった僕。バカな神様は実は僕だった。なぜなら、きた世界というのは過去に殴り書きをしてゴミに出した小説の世界だったからだ。ここから始まる無理難題はすべて過去の自分から向けられた罰である。……と思うことにした。
レオンと見つめあい、恋愛ならどちらかがきゅんとしている時間を過ごしていると、先ほどのお仲間さんがやってきた。
「おーい、レオンどうしたの……え?その人誰。」
レオンの目がようやく外れ、仲間のほうを向く。
「知り合い。」
そうざっくり説明した。声をかけたのは赤髪の女性。僕の設定では確か”アンナ”と名付けていた気がする。元気で明るく、仲間思いのいいやつだ。
しかし、僕は気づいた。アンナは僕のことを知らないらしい。なんなら、後ろの方々も。
くそ、よりによって一番厄介な主人公にバレているとは。いやそれよりも、こういうのも乗り越えられるのが傍観者だろう。
僕はコホンと咳をして挨拶をする。定番中の定番、モブの挨拶を。
「初めまして。僕は理人。リヒトと呼んでくれ。」
名前しか明かさず、それ以上は語らない。これこそモブとしてのマナーだ。そんな自分に謎の誇らしさを感じていると、レオンが肩に手を置いた。
また、何かをたくらむような笑みを浮かべている。
「こいつが例の創作者。」
おい、言うなよ!
そう思ったのもつかの間、三人がじっと僕を見つめた。
「これが?」
「俺らを放置した……」
「創作者。」
いや、顔面偏差値が高すぎる。
アンナは見ての通り。元気で優しい女性がもてないわけがない。
それから茶髪の男性確か名前は”ケイル”。ケイルさんはガタイがよく、酒好きで声がでかい。そんな彼が背の低い僕のためにわざわざしゃがんでいる。優しいんだよ、子供相手に。
あれ、僕子供だと思われてない?
最後に水色の女性”ルマ”。小柄でおどおどしたような”守りたくなる女性”。そんな女性がジト目でこちらを見ている。かわいい。
そんなこんなでしばらく睨まれた後、アンナがボソッという。
「こんなに若いの?てっきりおっさんかと。」
その言葉に思わず僕は口走った。
「おっさんて……。」
「だって、六年だよ。六年!待ちくたびれたよ!」
むっと口を膨らませてやや怒っているアンナ。まったく怖くはなかった。アンナの隣にいるケイルもコクリとうなずく。
ルマはなぜかつんつんと僕の頬をつついている。うん、何もかもかわいい。
水色の髪が揺れ、しばらくして気が済んだのかふんと鼻を鳴らした。
「……おそい。でも仕方ない。学生だもんね。」
その言葉にアンナとケイルはしぶしぶうなずいた。そうだ、彼女らは事実よりも効率を重視する。ここでうだうだやっている暇があるなら、きっと今すぐ換金に行きたいだろう。
そういう設定が生きてるのに、なぜかほっとする自分がいた。
しかし、あと一人は納得しないかのように肩に手を置く。はい、あの主人公のレオンです。
「でも……責任取ってくれるよな?」
貴方は悪役ですか?というほどの低い声に、強まっていく肩の力。周りもその配下のように「そうだそうだ。」とブーイングをしている。
ここを断っても、受け取ってもきっと結末は同じだ。逃げ場はない。
僕はしぶしぶうなずいた。きっとモブにはもう戻れないと感じながら。
さて……と動き出そうとしたとき異変が起きた。例のあの炎を吹くドラゴン。ずっとこのあたりをぐるぐる飛んでいたと思えば、なぜかこちらを見て近づいてきているのだ。
「……創作者様。あれは?」
「見ての通り、ドラゴンですけど?」
しかし、様子がおかしい。というか、シナリオを覚えていない僕にとっては死が迫っているのと同じことである。周りの木々たちは恐怖におびえるように風でなびいていた。
うん。これ絶対来るやつだ。
僕は立ち上がり、思わず腰に手を当てた。そしてレオンに声をかける。
「ねぇ、今レベルどれくらい?」
レオンは腕を組み直して言う。
「……十七レベだが?」
「あー……。じゃあ無理だ。皆さんは?」
アンナ、ケイル、ルマは「同じく、十七」と口を揃えていった。僕は額に手を当てて思い出す。
たしか……いや、物語の定番としてはじめの敵はラスボス級につよい。だから、逃げるしか選択がないのだ。
「これは、完全に詰んだ。チェックメイトだよ……みんな。ごめん。」
その言葉にみんながさあっと静かになっていく。ムッとしていたアンナは口をぽかんと開いた。ケイルも右に同じく。ルマはというと、バッと立ち上がって杖を手に取った。
「い……いや……まだやれるでしょ。」
その声は震えている。
いや、マジでごめんって。いや、ごめんで済むなら衛兵はいらないって誰かが言っていた気がする。僕の世界で言う警察だが。
いや、ふざけてる場合じゃない。自分の書いた世界で自分の書いたキャラクターが死ぬかも知れないんだ。
僕は羞恥心を捨ててある行動に出る。今さら僕も驚いていた。
僕は土下座をしながら言う。
「この敵、まずは逃げないと死ぬんだ!今から逃げてください!こんなシナリオで放っておいてしまい申し訳ありませんでした!!!」
いや、どんな謝罪文だよ。
まあ、一旦そこはスルーするよ。今は僕も巻き込まれている。僕はシナリオの外側にいる存在だ。この子たちが助かっても、僕が死んだら意味がない。ならば、傍観者らしく創作者らしく、ここは生きるしかないのだ。
みんなの声を聞く前に僕は顔を上げて言う。
「とにかく、僕についてきてください……!」
声が震える。こんなふうに皆の前で、リーダーみたいな発言をするのは初めてだった。これが火事場の馬鹿力ってやつだろうか。なぜか胸が熱い。
責任を持つ。これが、今の僕にできる最大の懺悔だった。
反対されるかと思っていたが、一番はじめに僕に気づいたレオンがコクリと頷く。そして、僕の味方をするように指示を煽ってくれた。
「いくぞ。今信じられるのは創作者様だけだ。」
「……そ、そうですよ。」
相槌がこんなに弱々しい。心臓がバクバクとうるさかった。ほれに、プレッシャーがいつにもまして、僕の心に突き刺さる。元から自分の意見を口にするのは苦手だった。
分かったことがある。いや、理解したという方がいいだろうか。
無理やり押し出した自分の言葉を実行するのはどうも緊張するみたいだ。
深く呼吸をして僕は立ち上がる。そして、指をドラゴンに差した。覚悟ならさっき決めたからできるはずだ。
「あのドラゴンは洞窟には入れない。その大きい図体もそうだけど、炎のドラゴンだから酸素がないときついんだ。だから、洞窟に潜るよ!」
その言葉をドラゴンが聞いたかのように動く。先ほどよりも勢いを増してこちらにやってきていた。熱気で木々の葉が燃えている。
ケイルが言った。眉をひそめて、言葉を詰まらせながら。
「躊躇してる暇はない!リーダー、どうする?この創作者様のこと信じるか?」
そりゃそうだ。六年も放置していた僕のことを信用できるわけがない。それに、僕もあまり自信がない。燃やした設定集なんて。
でも、次の瞬間手を引かれた。
「どうせ案なんてないんだ!信じるしかないだろう。行くぞ、リヒト。洞窟へ。」
そういったのは、冷静沈着で有名のレオンだった。僕の手を強く握りしめて、いつもの静かで、冷めきった口調ではなく頼れるリーダーの声をしていた。
それに、僕の目がキラリと光ったのは、きっと気のせいじゃない。
勢いで書くと、日本語というより語彙力がなくなることに気づきました。
どうも、作者です!
何気なく始めた二作品だったのですが、たくさんの方々に見ていただいて驚きました!
ありがとうございます!めちゃくちゃうれしいです!
ところどころで文章がバグってしまうと思いますが、ええとスルーしてください!
今日は二日連続投稿となりましたが、今後はどうなるか……。
不調子でもどうぞよろしくお願いします!
それではまたお会いしましょう!




