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スラスト→トラスト ~最強騎士と半透明ヒロイン、嘘にまみれた世界をぶっ壊す旅に出る~  作者: 羽久間アラタ
第1章 落ちぶれ精霊騎士、旅に出る
11/24

第10話 知らぬ、戻らぬ、見えぬ

 *


諸君。これより、訓練を開始する。


 まず理解せよ。この国――いや、この世界は、"瘴気の森"と呼ばれる魔力の泥沼に囲まれている。

 森から湧く魔物どもは、これまでに幾千、幾万の命を喰らい、村を焼き、町を消し、王国すら飲み込もうとしてきた。


 人同士の争いが終わっても、魔物との戦いは終わらぬ。

 賢王エルセリア一世陛下が我らを統合し、精霊の力を借りることをお決めになったのも、すべては『生き残る』ためだ。


 精霊騎士――それは、人ならざる力を以て国と民を守る、唯一の盾である。


 だが、忘れるな。

 精霊との交信は、『死と隣り合わせ』だ。

 軽々しく触れ、軽々しく語りかけ、命を落とした者――体を失った者、心を壊した者、ここにいる誰もがその噂を聞いているはずだ。


 この選抜訓練所が『地獄より厳しい』と呼ばれる理由も、そこにある。

 肉体を鍛え、心を鍛え、『精霊の怒り』に耐え抜く覚悟なき者は、今すぐ帰ってもらって構わん。


 ――それでも前を向く者だけが、いずれ『霊器』を携え、国と民の象徴となる。

 精霊騎士として、立つことができる。


 以上だ。


 ~精霊騎士選抜訓練所 とある日の副所長訓示より~


 *


 よし、超つまんない話で地獄の記憶に無理やり封印を施してやったぜ。頼むからもう出てくんなよ。


(儂は記憶を持たぬゆえ、『普通』が何か理解できておらぬが……それでもお主らが『異常』であることだけは分かるぞ……)

「ふたりとも、おかしい」


 俺たちの訓練所上がりトークに、女子二人は完全にドン引きしていた。

 まあ、基本的にぶっ壊れちゃうからな、あそこに入れられた時点で。

 でも、一応分類上は人間なので。あまりバケモノ扱いはしないでほしかったり。おかしいのは自覚してますので。


「でもさ、何であの時は使わなかったんだ?」

「ああ、"筋力肥大"?」


 あの土砂の山から出てきたトラックスは、サイズが2倍……いや、3倍以上に膨張していて、手のサイズも俺の胴体を握れるくらいの大きさになっていた。

 

 もし、最初の戦いであれを使われていたら――大岩だって受け止められていたかもしれない。


「あれは戦場をミスっちゃってさ。あそこで使ったらそ戦う前に崖が崩れちゃう」


 まあ、結局崩れちゃったんだけど。あはは。と笑えない話をするトラックス。

 うん、まあ、とりあえず、トラックスの方の謎は大体片付いた。あとは――


「で、プリムがブラーク、と」

「そう。ちょっと行ってこい。って」


「……いやいや、じゃあ戦う必要なんてなかっただろ」

「どれだけ落ちぶれたのか。見たい。って」


 あの野郎。今度会ったら絶対にぶっ飛ばす。十倍返しされてもせめて1発くらいは頑張ってやるぜ。震えて待ってろよ。


「いやでも、『殺す気で行け』って言ってたんだよな?」

「女子供は、相手しない。偽善者だから。って」


 だから「私の方が強い」みたいな挑発とかさせたのか。

 きっと、プリムが俺と相性最高なことを知っててわざと送り付けたんだろう。ひどい野郎だぜ。


「でも。楽しかった」

「俺は結構死にかけたけどね」

「俺もねぇ」

(糸目娘の術はもう少し見てみたかったのう。じゃが、まあ、おおむね満足じゃ)


 楽しかったです。という女子たちと、大げさでもなんでもなく死にかけた訓練所組。

 なんというか、不公平すぎやしませんかね。


「そういえばさ。ダリアさん? って今もいるの?」

「いるよ。プリムがお気に入りなんだって」

「え、俺は?」

(その……儂は……あのような大男は……すまぬ)

「えー。あー。い、良い人だって言ってる」

「そうなの? そりゃあ良かった。あれ使うとみんな怖がっちゃうんだよね」


 すまん、トラックス。その心配は見事に当たってるんだ。

 ほっとした表情を浮かべるトラックス。しかし、それとは逆に、プリムの表情がこわばっていた。


「幽霊。こわい」

(儂を幽霊なぞと一緒にするでない!)


 一応通訳しつつ、プリムには「大丈夫、害はないから。今のところは」とフォローを入れておいた。


 "鑑定眼"で存在を知ったといっても俺の情報を介してのものだからな。

 そもそもの俺がこいつの存在をよく分かっていないのだから、その受け取り方は人それぞれ、ということになるのだろう。

 もしかして、戦闘中も結構ビビっていたのかもしれない。


 ――というわけで、まあ何度も繰り返した質問ではあるんだけど、ここらでもう一度聞いてみることにする。


「幽霊じゃないなら、何なんだよ、お前」

(知らぬ)

「いい加減、記憶が戻んねーのかよ」

(戻らぬ)

「なんかないの。景色が浮かんでくるとかさあ。意味ありげな単語とかさあ」

(見えぬ)


 ……ダメだこりゃ。取り付く島もねえ。

 結局、いつもと変わらないじゃないか。


 ……と、思っていたら今回は違った。

 ダリアは、(じゃが)と続けると、謎をますます深める余計な事を言ったのだ。


(あの街で、何か、いや、言葉では説明できんのじゃが……儂は……確かに、何かを感じたのじゃ)

挿絵(By みてみん)


 何か、ってなんだよ……。

 で、またサンダリアか。俺は一体いつになったら旅を再開できるんだろう……。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

☆やブクマして頂けますと作者のやる気が100倍になる!…かもしれません。

軌道に乗ればこちらの作品も挿絵を入れていきたいと思います。

どうかよろしくお願いします!!

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