表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝不足で無表情の俺が、財閥令嬢に”恋の射抜き”されて学園騒然になった件  作者: 甘酢ニノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/50

5 四条凛音・非公式面接①

翌日の昼休み。


俺は購買に向かおうと廊下を歩いていた。今日は凛音からの誘いはない。昨日の弁当のお礼は伝えたが、毎日というわけにもいかないだろう。


「雨宮大樹くんね」


突然、背後から声がかかった。


振り返ると、見覚えのある三人の女子生徒が立っていた。凛音と一緒にいるのを何度か見かけたことがある。


「ちょっと、話があるの」


中央に立つ女子が、腕を組んで言った。ショートカットで、意志の強そうな目をしている。


「逃げないで」


その隣の、茶髪でギャル系の女子が笑顔で言った。笑顔だが、目が笑っていない。


「あの……怖がらせるつもりは……ないんですけど……」


もう一人の、おっとりした雰囲気の女子が申し訳なさそうに言った。


——いや、十分怖い。


「話って……何ですか?」


「ついてきて」


ショートカットの女子が先導する形で、俺は空き教室に連れて行かれた。


   *


空き教室に入ると、三人は俺を囲むように立った。


「まず自己紹介するわ。私は佐伯咲来。凛音ちゃんの友達」


ショートカットの女子が名乗った。


「私は田村杏奈。よろしくね、雨宮くん」


ギャル系の女子がウインクした。


「私は……山本百花です。その……よろしくお願いします」


おっとり系の女子が頭を下げた。


「で、何の話ですか?」


俺が聞くと、咲来が真剣な表情で言った。


「単刀直入に聞くわ。あなた、四条さんのこと、どう思ってるの?」


「どうって……」


「ちゃんと答えて。私たち、凛音ちゃんの友達だから」


杏奈が言った。


「凛音さん……とっても純粋な人だから……」


百花が心配そうに言った。


「だから、軽い気持ちで近づいたなら、今すぐ離れて」


咲来の目が鋭い。


俺は少し考えてから、口を開いた。


「……正直に言います」


三人が息を呑んだ。


「最初は、本当に誤解だったんです」


「誤解?」


「寝不足でぼーっとしてただけで……告白なんてしてない。ただ、たまたま視線が四条さんの方に向いていて……」


三人が顔を見合わせる。


「でも……四条さんは、俺の知ってる『お嬢様』とは違った」


俺は続けた。


「手作り弁当を作ってきてくれたり……家族のこと、ちゃんと聞いてくれたり……」


昨日の屋上での会話を思い出す。凛音の寂しそうな表情。家族と一緒に食事をする俺を羨ましがっていた彼女。


「……良い人だな、って思いました」


本音だった。


三人は再び顔を見合わせた。


「ねえ、咲来」


杏奈が小声で言った。


「この子、本気っぽくない?」


「うん……そうみたい」


咲来が頷いた。


「……あの、雨宮くん」


百花が一歩前に出た。


「四条さん、実は……すごく寂しがり屋なんです」


「え?」


「パパもママも忙しくて、いつも一人で。家には使用人さんたちがいるけど……友達と遊ぶ時間も少なくて……」


杏奈が続けた。


「私たちも、最初は『お嬢様』として近づいたの。正直、ちょっと怖かったし、距離があった」


咲来が腕を解いた。


「でも、凛音ちゃんは、私たちを『友達』って呼んでくれた。遠慮しないでって、何度も言ってくれた」


三人の表情が柔らかくなった。


「だから……もし本気で凛音ちゃんのこと考えてくれるなら……私たちは、応援する」


咲来が真剣な目で言った。


「ただし、傷つけたら許さないから」


「そのときは、私たちが黙ってないよ」


杏奈がニッコリ笑った。怖い。


「あの……でも、凛音さん、きっと幸せになってくれると思います」


百花が優しく微笑んだ。


俺は、三人の言葉に胸が熱くなった。


凛音には、こんなに心配してくれる友達がいる。それだけでも、彼女は幸せなんじゃないだろうか。


「ありがとうございます」


俺は頭を下げた。


「四条さんを……大切にします」


その言葉が、自然と口から出ていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ