表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝不足で無表情の俺が、財閥令嬢に”恋の射抜き”されて学園騒然になった件  作者: 甘酢ニノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/50

4 お嬢様の本気アプローチ①

翌朝、校門をくぐると、いつもの視線が刺さる。


もう三日目だ。さすがに慣れてきた——というのは嘘で、全く慣れない。


周囲の生徒たちが俺を見て、ひそひそと話している。昨日の購買前での出来事が、また拡散されたらしい。


俺は視線を気にしないふりをして、昇降口へ向かった。


「雨宮くん!」


突然、後ろから声がかかった。


振り返ると、四条凛音が小走りでこちらに近づいてくる。長い黒髪が風になびき、周囲の空気が一瞬で変わった。


「「「!!!」」」


校門付近にいた生徒たちが、一斉にこちらを見る。


「あの……昨日のクッキー、食べてくれましたか?」


凛音が俺の前で立ち止まり、期待に満ちた目で見つめてくる。


「あ、ああ……美味しかったです」


嘘ではない。本当に美味しかった。妹たちも絶賛していた。


「よかった!」


凛音がぱあっと笑顔になった。その笑顔は、朝日に照らされて眩しいくらいだ。


「それで、今日は……」


彼女がカバンから何かを取り出す。


二段重ねの、綺麗な弁当箱だった。


「お昼、一緒に食べませんか?」


周囲がざわついた。


「えええええ!?」


「手作り弁当!?」


「四条様が!?」


スマホを取り出す生徒が何人もいる。また撮影されている。


「いや、でも——」


俺は言葉に詰まった。


断る理由が見つからない。いや、正確には、断るべき理由はあるのだが、この状況で断れば、また凛音を傷つけることになる。


「ダメ……ですか?」


凛音が少し不安そうに、上目遣いで俺を見つめる。


——ッ!?


心臓が跳ねた。


周囲の視線が、明らかに「断るんじゃねえぞ」と語っている。特に女子たちの視線が痛い。


「……わかりました」


「本当ですか!?」


凛音の顔がぱあっと輝いた。


「じゃあ、お昼休みに。屋上で待ってます!」


そう言って、凛音は嬉しそうに昇降口へ向かっていった。


残された俺と、ざわめく野次馬たち。


どうしてこうなった。


   *


午前の授業は、全く頭に入らなかった。


凛音と二人きりで昼食。その事実が、頭の中でぐるぐると回っている。


田中が心配そうに声をかけてきた。


「雨宮、お前大丈夫か? 顔色悪いぞ」


「大丈夫じゃない」


「まあ、そうだろうな。四条様と二人きりのランチとか、学園中の男子が羨むぞ」


「羨まれても困る」


「でもさ、お前、ちょっとは四条様のこと意識してるだろ?」


田中がニヤニヤしながら聞いてくる。


「……わからない」


正直に答えた。


昨夜、妹たちに言われたことが頭に残っている。『相手の気持ちに向き合ってあげて』という言葉。


確かに、凛音は本気で俺のことを想ってくれている。手作りのクッキー、丁寧な手紙、そして今日の弁当。


その気持ちに、ちゃんと向き合うべきなのかもしれない。


でも、俺には妹弟がいる。バイトもある。恋愛に割く時間も余裕もない。


そんな俺が、凛音のような令嬢と釣り合うわけがない。


「まあ、とりあえず今日のランチを楽しんでこいよ」


田中が肩を叩いた。


「楽しめるかどうか……」


「大丈夫だって。四条様、すごく良い人らしいし」


そうかもしれない。でも、それが余計に辛い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ