表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝不足で無表情の俺が、財閥令嬢に”恋の射抜き”されて学園騒然になった件  作者: 甘酢ニノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/50

3 妹たちの査定会議①

夕飯の準備を終え、四人でテーブルを囲む。


今日のメニューは照り焼きチキン、ほうれん草のお浸し、豆腐とわかめの味噌汁。蒼葉のリクエストで、デザートにプリンも用意した。


「いただきます」


手を合わせて食事を始める。


しかし、妹たちの視線が痛い。三人とも、時々俺の顔を見ては、何か言いたげな表情をしている。


「……何だよ」


「ねえ、お兄ちゃん」


さくらが箸を置いた。


「四条凛音さんって、どんな人なの?」


来た。


「お兄ちゃんのこと、本気で好きなの?」


すみれも箸を置いて、身を乗り出してくる。


「りんねおねえちゃん、かわいいよね!」


蒼葉だけは無邪気に笑っている。


俺は深呼吸をした。


「まず聞いてくれ。あれは誤解なんだ」


「誤解って?」


「だから、俺は告白なんてしていない。ただ、授業中に寝不足でぼーっとしていたら、たまたま視線が凛音の方に向いていて——」


「で、四条さんが勘違いしたってこと?」


さくらが冷静に確認してくる。


「そういうこと」


「じゃあ、お兄ちゃんは四条さんのこと、どう思ってるの?」


「どうって……よく知らないし……」


すみれが不満そうに頬を膨らませた。


「お兄ちゃん、それ失礼だよ。相手は本気なのに」


「わかってる。だから明日、ちゃんと話すつもりだ」


「話して、どうするの?」


さくらが真剣な表情で聞いてくる。


「誤解を解く」


「それで終わり?」


「……それで終わりだと思う」


二人が顔を見合わせた。


「お兄ちゃんがモテるのは嬉しいけどさ」


さくらがゆっくりと言った。


「私たち、お兄ちゃんが無理してないか心配なんだよね」


「無理って?」


「だって、お兄ちゃん、私たちのために毎日頑張ってくれてるでしょ。朝ごはん作って、お弁当作って、バイトして……」


さくらの目が少し潤んでいた。


「もしお兄ちゃんに好きな人ができたら、私たちのこと、邪魔だって思われないかなって」


「馬鹿」


俺はさくらの頭に手を置いた。


「お前ら三人がいなきゃ、俺はとっくに潰れてる。邪魔なんて思うわけないだろ」


「……本当?」


「本当だ」


すみれも心配そうに俺を見ている。


「お金持ちって聞いたけど、四条さん、お兄ちゃんのこと馬鹿にしたりしない? 両親がいないこととか、バイトしてることとか……」


その言葉に、俺は少し胸が痛んだ。


確かに、四条凛音は名門のお嬢様だ。俺のような、親を亡くして妹弟の面倒を見ながらバイトをしている人間とは、住む世界が違う。


「大丈夫だ。そもそも、付き合うわけじゃないから」


「ぼく、りんねおねえちゃんとあそびたい!」


蒼葉が突然叫んだ。


「なんで蒼葉、凛音のこと知ってるんだ?」


「だって、ゆーちゅーぶでみたもん! がくえんのひめさまって、みんないってた!」


「YouTube!?」


まさか小学生の間でも話題になっているとは。


さくらがスマホを取り出して、検索し始めた。


「あ、本当だ。『四条凛音』で検索したら、たくさん出てくる」


画面を見せられる。そこには、凛音の画像や動画がたくさんあった。


「学園のアイドル的存在なんだね」


「すごいお金持ちの家らしいよ。慈善事業とかもやってる」


すみれも興味津々で画面を覗き込んでいる。


「でも、本人は物腰が柔らかくて、誰にでも優しいって評判みたい。あ、これ見て」


さくらが動画を再生した。学園祭の様子らしい。凛音が模擬店で笑顔で接客している。


「普通に焼きそば作ってる……」


「意外と庶民的なんだね」


すみれが驚いた様子で言った。


「料理もできるんだ。お嬢様なのに」


「お兄ちゃんが好きになっても、おかしくないよね」


「だから、好きになってないって」


「じゃあなんで、四条さんはそう思ったの?」


「だから、寝不足でぼーっとしてたら、視線が合って……」


「それだけで好きになるって、四条さん、ピュアなんだね」


すみれがほんわかした表情で言った。


さくらが俺の顔をじっと見つめてくる。


「お兄ちゃん、もしかして嫌なの? 四条さんのこと」


「嫌とかじゃなくて……」


俺は言葉に詰まった。


昨日、屋上で見た凛音の表情が脳裏をよぎる。少し寂しそうで、でもどこか希望を持っているような、そんな顔。『ずっと、誰かに本気で見つめられたこと、なくて』と言っていた彼女の言葉も思い出される。


「まあ、悪い人じゃなさそうだけど」


「お兄ちゃん、顔赤い!」


すみれが指を差して笑った。


「赤くない」


「赤いよー」


「……ふーん」


さくらがニヤリと笑った。その顔は、何かを企んでいるようにも見える。


「とにかく、明日ちゃんと話してくる。それで終わりだ」


「はいはい」


二人は納得していない様子だったが、それ以上は追及してこなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ