表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝不足で無表情の俺が、財閥令嬢に”恋の射抜き”されて学園騒然になった件  作者: 甘酢ニノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/50

16 半年間の試練③

その夜、家に帰ってから、俺は自分の部屋で考えていた。

半年後の誕生日パーティー。そこで、凛音の父親に認めてもらわなければならない。

でも、俺には社交界のマナーなんて、わからない。どうすればいいんだろう。


ノックの音がして、さくらが部屋に入ってきた。


「お兄ちゃん、何か悩んでる?」


「ああ……ちょっとな」


俺は、冴から聞いた話をさくらに話した。半年後のパーティーのこと。そこで認めてもらわなければならないこと。


「それは……大変だね」


さくらが真剣な顔で言った。


「でも、大丈夫だよ。お兄ちゃんなら」


「でも、俺、社交界のマナーとか、全然わからないんだ」


「なら、勉強すればいいじゃん」


さくらが当然のように言った。


「勉強?」


「そうだよ。半年もあるんだから、その間に勉強すればいい」


「でも、何から始めればいいのか……」


「四条さんに聞いてみたら? きっと、教えてくれるよ」


さくらの言葉に、俺ははっとした。そうだ、凛音に聞けばいい。彼女なら、マナーのことも詳しいはずだ。


「ありがとう、さくら」


「どういたしまして」


さくらが笑って、部屋を出て行った。俺はスマホを取り出して、凛音にメッセージを送った。


『凛音さん、相談があります。

明日、話せますか?』


すぐに返信が来た。


『はい、大丈夫です。

どうしましたか?』


『半年後のパーティーのこと、聞きたくて。

マナーとか、教えてもらえますか?』


少し間があって、返信が来た。


『もちろんです!

喜んで教えます。

明日、放課後に図書室で会いましょう。』


その文章を読んで、俺の気持ちが少し軽くなった。凛音と一緒なら、乗り越えられる。そう思えた。


   *


火曜日の放課後、俺は図書室で凛音を待っていた。しばらくすると、凛音が本を何冊も抱えて現れた。


「雨宮くん、お待たせしました」


「いえ」


凛音が本をテーブルに置いた。マナーの本、社交界の本、会話術の本……様々な本が並んだ。


「これ、全部……」


「はい。雨宮くんのために、選んできました」


凛音が嬉しそうに笑った。


「これから、一緒に勉強しましょう」


「ありがとうございます」


二人で、本を開いた。凛音が丁寧に、一つ一つ説明してくれる。テーブルマナー、挨拶の仕方、会話の作法……覚えることは山のようにあった。でも、凛音が隣にいてくれるだけで、不安は消えていった。


「雨宮くん、すごいです。覚えるのが早い」


「本当ですか?」


「はい。このペースなら、半年後には完璧になりますよ」


凛音が微笑んだ。


「私も、全力でサポートします」


「ありがとうございます」


俺は凛音の手を握った。


「凛音さんがいてくれて、本当に心強いです」


「私も……雨宮くんと一緒なら、何でも乗り越えられる気がします」


二人で、しばらく見つめ合った。そして、また勉強に戻った。半年後、俺は凛音の父親に認められる。その目標に向かって、今日から一歩ずつ進んでいく。


   *


それから、俺と凛音の日々は変わった。授業の合間、昼休み、放課後——時間があれば、二人でマナーの勉強をした。凛音が丁寧に教えてくれるおかげで、少しずつだが、俺も上達していった。週末には、凛音の家でディナーマナーの実地訓練をした。最初は緊張したが、凛音が優しく教えてくれるので、だんだんと慣れていった。


一ヶ月が過ぎた頃、凛音の父親から、俺に手紙が届いた。


『雨宮大樹殿

凛音から、君が真面目にマナーの勉強をしていると聞いた。

感心している。

この調子で、努力を続けなさい。

四条厳一郎』


その手紙を読んで、俺の胸が熱くなった。認められている。少しずつだが、凛音の父親に認められている。その実感が、さらに俺を奮い立たせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ