表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝不足で無表情の俺が、財閥令嬢に”恋の射抜き”されて学園騒然になった件  作者: 甘酢ニノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/50

16 半年間の試練①

四条家の応接室を出た時、俺と凛音は思わず顔を見合わせた。

信じられない、という表情が、お互いの顔に浮かんでいた。


「認めてもらえた……」


凛音が小さな声で呟いた。その目には、涙が浮かんでいる。でも、それは悲しみの涙ではなく、喜びの涙だった。


「はい……半年間ですけど……」


「雨宮くん……」


凛音が俺の手を握った。


「ありがとうございます。一緒に来てくれて……お父様と、ちゃんと話してくれて……」


「いえ……俺も、ちゃんと伝えたかったですから」


執事が俺たちを玄関まで案内してくれた。外に出ると、秋の涼しい風が吹いていた。門の前で、二人は立ち止まった。


「雨宮くん、送ります」


凛音が言った。


「いえ、大丈夫です」


「でも……」


「大丈夫です。それより、凛音さん、お父さんとゆっくり話してください」


俺が言うと、凛音が少し寂しそうに笑った。


「そうですね……でも、また明日、学校で」


「はい」


二人で、しばらく見つめ合った。そして、凛音が小さく手を振った。俺も手を振り返して、門を出た。振り返ると、凛音がまだ手を振っていた。その姿が見えなくなるまで、俺も手を振り続けた。


   *


駅へ向かう道を歩きながら、俺は今日のことを振り返っていた。四条厳一郎。凛音の父親。確かに厳格で、威圧感のある人だった。でも、娘を思う気持ちは、本物だと感じた。だから、半年という期間を設けたんだろう。本当に娘を幸せにできるのか、見極めるために。


その期待に、応えなければならない。どうすれば、凛音を幸せにできるのか。どうすれば、父親に認めてもらえるのか。考えることは山積みだ。でも、不安よりも、決意の方が大きかった。絶対に、凛音を幸せにする。その想いだけが、胸にあった。


家に着くと、妹たちが玄関で待っていた。


「お兄ちゃん、お帰り!」


「ただいま」


「どうだった?」


さくらが目を輝かせて聞いてきた。


「……認めてもらえた」


「本当!?」


すみれが驚いた顔をした。


「ただし、半年間の条件付きだけどな」


俺が説明すると、二人が顔を見合わせた。


「半年か……でも、認めてもらえたんだから、すごいよ!」


「そうだよ。お兄ちゃん、よく頑張ったね」


蒼葉も駆け寄ってきた。


「おにいちゃん、すごい!」


三人の言葉に、俺の顔が少し緩んだ。そうだ、まずは一歩前進したんだ。これから半年間、ちゃんと凛音を大切にして、父親に認めてもらえばいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ