15 二人の誓い②
放課後、俺は図書室にいた。
今日は図書委員の活動日だ。柊結衣先輩と一緒に、本の整理をしている。
「雨宮くん、最近すごく幸せそうね」
結衣先輩が微笑みながら言った。
「そうですか?」
「ええ。四条さんと、上手くいったんでしょ?」
俺が頷くと、結衣先輩が嬉しそうに笑った。
「よかった。二人とも、幸せになってね」
「ありがとうございます」
「でも、大変なこともあるわよね。四条さんのお父様のこと」
結衣先輩が真剣な顔になった。
「はい……」
「私、四条さんのお父様のこと、少し知ってるの」
「え?」
「私の父が、四条家とビジネスで関わりがあって……何度かお会いしたことがあるのよ」
結衣先輩が本を棚に戻しながら言った。
「四条家の当主は、とても厳格な人。でも、娘さんのことを、誰よりも大切に思ってる」
「はい……」
「だから、雨宮くんが誠実に、真剣に、四条さんを大切にする気持ちを伝えれば……きっと、わかってくれるわ」
結衣先輩が俺を見た。
「時間はかかるかもしれない。でも、諦めないで」
「……はい」
結衣先輩の言葉が、胸に響いた。みんなが、俺たちを応援してくれている。だから、俺も頑張らなければ。
*
その日の夜、家に帰ってから、俺はリビングで妹たちと話していた。
「お兄ちゃん、これからどうするの?」
さくらが聞いてきた。
「どうするって?」
「四条さんのお父さんのこと」
「……ちゃんと、話をしようと思ってる」
「話をするって、会いに行くの?」
すみれが驚いた顔をした。
「ああ。凛音さんと一緒に」
「大丈夫? すごく厳しい人なんでしょ?」
「大丈夫じゃないかもしれない。でも、やらなきゃいけない」
俺が真剣に答えると、さくらとすみれが顔を見合わせた。
「お兄ちゃん、かっこいい」
さくらが笑った。
「私たち、応援してるから」
すみれも頷いた。蒼葉も、「がんばれ!」と叫んだ。
「ありがとう」
俺は三人の頭を撫でた。家族がいてくれる。それだけで、どんな困難も乗り越えられる気がした。
*
その夜、布団に入ってからも、凛音のことを考えていた。明日は土曜日。学校は休みだ。凛音は、父親と話をするのだろうか。どんな話をするのだろうか。俺に、何かできることはないだろうか。
スマホが鳴った。凛音からのLINEだ。
『雨宮くん、明日、お時間ありますか?』
俺は返信した。
『はい、あります』
すぐに返信が来た。
『明日、お父様に会ってもらえませんか?』
その文章を見て、俺の心臓が止まりそうになった。明日、凛音の父親に会う。告白してから、まだ二日しか経っていない。でも、これは避けられないことだ。いつかは、ちゃんと向き合わなければならない。
『わかりました。何時に、どこで会えばいいですか?』
凛音から、詳細が送られてきた。
明日の午後二時、四条家で。
俺は深呼吸をした。緊張で、手が震えた。
でも、これは俺が選んだ道だ。
凛音を守るために、凛音と一緒にいるために、乗り越えなければならない試練だ。
『わかりました。必ず行きます』
俺が返信すると、凛音からメッセージが来た。
『ありがとうございます。
私、怖いです。
でも、雨宮くんが一緒なら、頑張れます。
明日、待ってます。
おやすみなさい。』
その文章を読んで、俺の決意が固まった。凛音は、俺を信じてくれている。だから、俺も応えなければ。
『大丈夫です。一緒に、乗り越えましょう。
おやすみなさい。』
俺は返信してから、スマホを置いた。そして、天井を見上げた。明日、四条家に行く。凛音の父親と、初めて会う。緊張する。不安もある。でも、もう逃げない。凛音のために、俺は戦う。




