14 揺れる心と、確かな想い③
その頃、四条家。
凛音は自分の部屋で、スマホを見ていた。
雨宮くんからのメッセージ。
『明日、放課後、話したいことがあります。
屋上で待ってます。』
その文章を読んで、凛音の心臓が跳ねた。
話したいこと。
何だろう。
もしかして——
凛音の頬が、熱くなった。
「雨宮くん……」
凛音は左手の指輪を見つめた。
明日、雨宮くんが何を話すのか。
期待と不安が入り混じった気持ちで、凛音は眠れない夜を過ごした。
*
木曜日の朝。
俺は、いつもより早く目が覚めた。
今日、凛音に告白する。
その事実だけで、胸がいっぱいだった。
朝食を作りながら、何度もセリフを考えた。
でも、どんな言葉も、しっくりこない。
「お兄ちゃん、今日だね」
さくらが笑顔で言った。
「何が?」
「とぼけないで。告白するんでしょ?」
すみれもニヤニヤしている。
「頑張ってね」
「おにいちゃん、がんばれ!」
蒼葉も応援してくれた。
三人の言葉に、少し勇気が湧いた。
*
学校に着くと、教室はいつもの賑やかさだった。
でも、俺の心は、凛音のことでいっぱいだった。
凛音は、まだ教室に来ていない。
席に座って、待った。
しばらくすると、凛音が教室に入ってきた。
俺と目が合うと、凛音が少し頬を染めた。
俺も、顔が熱くなるのを感じた。
*
午前中の授業は、全く頭に入らなかった。
放課後のことばかり考えていた。
どうやって告白しよう。
どんな言葉を使おう。
凛音は、何て答えるだろう。
不安で、心臓がうるさい。
昼休み、凛音が俺の席に来た。
「雨宮くん、今日も……」
「あ、すみません。今日は、ちょっと……」
俺が断ると、凛音が不安そうな顔をした。
「……そうですか」
「いえ、あの……放課後、ちゃんと話しますから」
「はい……」
凛音が少し寂しそうに去っていった。
田中が呆れた顔で俺を見た。
「お前、緊張しすぎだろ」
「うるさい」
「まあ、頑張れよ」
田中が笑った。
*
午後の授業も、全く頭に入らなかった。
時計ばかり見ていた。
早く放課後になってほしい。
でも、時間が来るのが怖い。
そんな矛盾した気持ちで、授業を受けていた。
そして、ついに——
キーンコーンカーンコーン。
終業のチャイムが鳴った。
俺は、ゆっくりと立ち上がった。
心臓が、うるさいくらいに鳴っている。
今から、凛音に告白する。
この気持ちを、伝える。
教室を出て、屋上への階段を上った。
一段一段、踏みしめるたびに、心臓の音が大きくなる。
屋上のドアを開けた。
そこには——
四条凛音が、立っていた。
夕日に照らされた彼女の姿は、とても綺麗だった。
「雨宮くん……」
凛音が俺を見た。
その目は、不安と期待が入り混じっていた。
「来てくれて、ありがとうございます」
俺が言うと、凛音が小さく頷いた。
「はい……」
俺は、深呼吸をした。
そして、凛音の目を見つめた。
「凛音さん、俺……」
言葉が、喉に詰まった。
でも、もう迷わない。
「俺、凛音さんのことが……」
凛音が、息を呑んだ。
「好きです」
その言葉を、ようやく口にした。
凛音の目が、大きく見開かれた。
「最初は、誤解から始まりました。でも、凛音さんと話してるうちに、気づいたんです」
俺は続けた。
「凛音さんといると、幸せです。笑顔を見ると、嬉しくなります。泣いてると、胸が痛みます」
凛音の目から、涙が溢れ始めた。
「だから……俺、凛音さんが好きです。本当に、好きです」
その言葉を聞いて、凛音が泣き始めた。
「雨宮くん……」
凛音が俺に駆け寄ってきた。
「私も……私も、雨宮くんのことが……」
凛音が俺を抱きしめた。
「大好きです!」
その言葉を聞いて、俺も凛音を抱きしめた。
二人で、しばらくそのままだった。
夕日が、二人を優しく照らしていた。




