不幸中の幸い
エマのフルネーム忘れそうになる定期
「もしもし、エマだけど。え?いや貴方が連れてこいと…えぇ……あ、あぁ…僕だってそれくらいわかっているさ……では」
「その感じボスだろ?なんだって?」
「どうやら彼女を連れていかなくてよくなったらしいんだ」
「はぁ?!わざわざ通気口まで通って来たのにか?」
「というわけで、彼女がいないこともそろそろバレるだろうし、僕たちも撤収しようか」
「くっそ…無駄足だったのかよ」
「彼女は地下室の扉の前に寝かせといてくれるかい?」
「なんで俺が…!」
「まぁまぁ」
────
目が覚めるともう見覚えのある天井が広がっていた。初めてこの世界で目覚めたときと全く同じだった。
「あ、あの…」
初めてのときと違うことといえば、みんなの視線がとてつもなく痛いということ。
「あそこで何をしていたんです?」
「えっと…」
私はエマのことを伝えようかと思った。けど、コステロの姿を見てまだそのときではないと判断した。
エマはいわばレオーネの裏切り者ということになる。そんなことマフィアの世界じゃ想像しただけで恐ろしいことになりそうだ。なによりあんなにエマと仲が良かったコステロが悲しむと思った。
「探検してたら眠くなっちゃって…」
ウバルドの視線が鋭く刺さる。めっちゃ痛い怖い何あれ、鬼の形相?般若?
「好奇心旺盛なのはいいことですが、どこでも好き勝手動かれると困ります。あまりにひどいとルカに身柄を引き渡しますよ」
それは切実にやめてほしい。
てっきりどこかへ連行されると思っていたから、目覚めたときに見知った天井と見知った顔と出会えて少し安心した。エマともう1人の名前すらわからない少年がどうして何もせず帰っていったのかはわからないけど、今後はもう少し気を付けないといけないと身をもって実感した。
「明日、急遽ボスの別邸へ行くことになったのですが行けますか?」
「わかりました。」
「私と2人で行く予定ですので。それと貴方にはこちらをお渡ししておきますね」
と、ウバルドから手渡されたものは
「ス、スマホだーー!!!!!」
「ほぼ初期設定なのでご自身の使いたいように使ってください」
嬉しすぎる。ここ最近で1番嬉しい。
私はスマホをゲットした!いろんなステータスが上がった!やったね
「レイちゃんまさか1人で行くとは思わなかったよ。今度からは俺のこと呼んでね」
「ごめんねコステロ、心配してくれてありがとう」
やっぱり見かけによらず、レオーネの人はみんな優しい人たちばっかりだ。
「また明日部屋へお迎えにあがるので、今日はもうゆっくり休んでください」
「わかりました、ありがとうございます」
みんなとおやすみなさいの挨拶をして、自室へ戻った。そのまま自分の部屋のベッドへ横たわる。
なんだかまだ身体が痺れている気がする。
と、なんだか胸の辺りがくすぐったいのを感じた。なんかがひっかかってるような。あぁほら、髪の毛がどこかにくっついてるみたいな。そんな違和感。
違和感の正体を突き止める為に容赦なくほぼ無い谷間に腕を突っ込んでみると、トランプくらいの大きさの1枚のカードを見つけた。
そこには電話番号らしき9桁の数字がかかれていた。
「エマの番号…」
エマと会って話がしたい。コステロのこともそうだし、今誰と何をしているのか知っておきたい。そして、私たちの味方なのか敵なのか。
電話マークのアイコンを押し、電話番号を打ち込んでみる。電話自体はかけることができたが出てはくれなかった。
でも彼に聞いてみないと判断できないと思った。判断材料が少ないからコステロにはまだ何もいえずにいる。
明日はボスの別邸に行くらしい。私はもちろん初めてだけど、実は元のレイちゃんも初めて会うらしい。ということは、父親(仮)の前では私はそのままの仕草や癖を真似しなくてもいいってことだ。
明日でかけるからもう今日は早く寝ようと思った。いくら薬で眠ったからといって、それが毎日の睡眠に変わっているかといわれるとそうではない。
スマホを枕元において電気を消す。
〖こんばんは、レイ。1週間後に一緒にお茶しに行かないかい?きっと君も僕に聞きたいことが山ほどあるだろう〗
このメッセージを見るのはぐっすりと眠った後の翌朝だった。
このあたり自ら大事な情報小出しにしてたりするので、読み直し大事




