緊急事態
最初の頃はたくさん人ばっかり出てくるので出来るだけ差がわかるように書いてるつもりです。つもり…です…。
それからはしばらくコステロとエマとお茶をしながら昔話に花を咲かせた。
コステロが小さかった頃の話、エマの奥さんの話、エマがたまにおっちょこちょいなことをする話。
どれも自分の過ごしてきた日常とは少し違っていたけれど、とても楽しそうなことは伝わってきた。
コステロがふと腕時計を見た。
「あ、やっべ。そろそろ講義の時間だ」
講義?転生した先でもその単語をまた聞くことになるとは思わなかった。というか、聞きたくなかった。
「俺、近くのカレッジに通ってるんだ。日中は普通の学生やってる」
「僕も夜は仕事しながら昼間は俳優をやっているよ」
あ~どうりで立ち姿も仕草も綺麗で!
1つの動きが全部研ぎ澄まされているというか、指先まで意識されてるような動きに疑問を持っていたけどようやく合点がいった。
「じゃあ、俺はちょっと急ぐから!エマも来てくれてありがとう!!」
そういってコステロは急いで邸内にへ戻っていった。エマが俳優をやっていると聞いて少し身構えてしまう。
「コステロも行っちゃったし、そろそろお開きにしようか」
「そうですね、けっこう長く話し込んでしまいましたし」
「では、部屋まで送ろう」
部屋に行くまでの間、エマはずっとコステロの話をしていた。コステロはとても愛されてるなと感じた。エマにとってはコステロは弟みたいなものなんだと思う。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
「こちらこそ、また遊びにくるからね」
手をひらひらと振る姿もとても様になっていた。けっこう人気な俳優さんなのかな?この世界に来てからというものの、メディアというものに触れていないから人気のあるものがさっぱりわからない。
どうしよう、めちゃくちゃ人気だったら。そしたらいつかサインでももらおう。
ソファに座ろうとすると部屋の扉がノックされた。
こんな時間に誰だろう?そういえば、はじめましての人だったらどうしよう。
「こんばんは、レイさん。今大丈夫ですか?」
え、ウバルド?今彼は仕事中では…?早めに帰ってきたのかな?まぁとにかく扉を開けてあげないと。
「は、はい!今開けますね!」
そこにいたのは紛れもなくウバルドだった。
「もう帰ってきてたんですね、何かあったんですか?」
「一時的に戻ったんです。それより少しついてきてほしいのですがよろしいですか?」
今朝リベリオから言われていた夕食の時間まではまだ余裕があるし、とりあえずついていくことにした。
言われたままウバルドについていくと、たどり着いたのは地下室の入り口だと教えてもらった扉の前だった。
「あの、ここって」
目的を聞こうとすると前を歩いていたウバルドが振り返り、私の顔のまえでしーっと人差し指を立てた。
少し屈んだ状態になりちょうど目線の高さが合う。
何かと思って黙ったままいると、突然口元に湿った布が当てられた。
「うっ…」
これは吸っちゃいけないやつだと思い、咄嗟に息を止めた。しかし、布を当てたまま残った唯一の呼吸器である鼻をつままれる。酸欠には抗えず息を吸ってしまった。
全身から力が抜けたように床に座り込む。壁に寄りかかりながら立とうとしてみるけど、全く力が入らない。意識は少し朦朧としているが、気絶するまではいかなかった。
「ちょっと失礼しますね」
膝の下に腕を入れられ横抱きの状態で持ち上げられる。いわゆるお姫様だっこの形だけど、この状況では少なくともお姫様のように大事にはされなさそうだ。
そのまま地下室の扉を開け、階段を降りていく。
薄暗い中で見た彼の口元はどこかで見たように微笑んでいた。
差がわかるように、と前書きに書いたのですが、大前提としてどいつもこいつも顔が良い、というのを覚えててもらえればもう何でもいいです(良くはない。)




