本邸探検
1人増えました
「それでは邸探検へレッツゴー!」
「お、おー!」
とてもノリノリなコステロが案内してくれる邸探検ツアー。客は私1人。
「一旦庭にでて玄関入るところから始めようか」
そういってコステロは私の部屋の窓を開けた。私の部屋は3階にあるからそこそこな高さがあって、ときおりふわっと風が通り抜ける。
「よし、これくらいなら余裕かな」
腰についていたカラビナを近くの手すりに引っかけて、窓からロープをおろした。ま、まさか、これってここを降るとか言わ…
「それじゃあ降りよっか!」
フラグ回収乙。
いや、降りよっか!にこ!!じゃないんだよ。普通に怖いんですけど。
地上3階だよ?そんなん死ぬぞ!!
「大丈夫、俺がちゃんと守ってあげるから。ね、お手をどうぞ」
観念して彼の手をとる。
もっと違うシチュエーションで聞きたかったその台詞…
「ぎゃー!!!!」
─────
「ははは、怖がりすぎだよ」
腰を抜かして地面に座り込む。もう2度とこんな思いはしたくないです、切実に。
立ち上がれない私を見てずーっとけたけた笑ってる。許さない…転生して2日で地上3階から飛び降りる身にもなれ…
「む、笑いすぎ」
「ごめんごめん、あまりに女の子らしからぬ悲鳴だったから…ぷはっ」
こいつ…今日のこと一生思い出し笑いしそうで腹が立つな。
「そんなことより!」
「探検ね、わかったわかった」
先読みされた。
人の言うこと想像できるならこっちの反応も想像できなかったのか、と思ったけどたぶん想像できた上で飛び降りる選択をとったのだろう。まったく、可愛い顔して性格が悪い。
「ここが玄関ね、正面にある階段から2階と3階にいけるよ。基本的には1階が談話室とかキッチンとか水回りとか、生活スペースがある感じ。2階と3階は個人の部屋」
本邸は細長いアルファベットのHみたいな形をしている。
部屋割りは2階にはリベリオ、ウバルド、ラウルとあとまだ会ったことのない人が1人。3階にはルカ、コステロ、私、もう1人。ボスは近くの別邸にいるらしい。
3階には空き部屋が2つあって、1つはほぼルカに私物化されている。2階には書斎と客間がある。
「あとは地下室があるけどたぶんレイちゃんには関係ないと思うから」
「ふーん、地下室はどこから行けるの?」
「知ってどうするのさ、まぁいいけど。右の廊下の突き当たりの扉から行けるよ」
ひとまず邸の中はざっと回り終わった。思ってたより広かったけど、廊下も扉も似た造りばっかりでみんなの部屋がどこにあるかを覚えるのには時間がかかりそうだ。
「全部見終わったし中庭に出て休憩でもしよっか」
中庭はテーブルが置かれてたりハンモックが置かれてたりと、緑に囲まれていてとても快適そうな空間だった。たまに中庭でのんびりするのもいいな。
目の前ではコステロがテーブルに突っ伏していた。
「ちょっとこんなとこで寝ないでよ」
「夜に任務にでかけることが多いから昼寝が日課なんだよ、ふぁ…」
たしかに朝会ったとき暗殺とか盗みとかが得意って言ってたっけ。眠かっただろうに私に付き合って色々案内してくれて優しいんだなと思った。私とあんまり歳は違わないのに私よりもしっかりしてるなと思う。
あくびしてるところを見ると年相応っぽい感じがしてなんだか可愛かった。
「…レイちゃん、ちょっと動かないでね」
途端、さっきまであくびをしてふわふわしてた雰囲気を纏っていた彼が体勢を変えず身構えた。空気がピリッとする。
あまり動かないように少し目線で辺りを見渡してみても何も変化は感じない。
「コステロ、殺気が駄々漏れ。それで殺し屋が務まるのかい?」
遠くから声がして咄嗟に振り返ってみるが、どこにも人の姿が見当たらない。
というか、コステロの知り合い?
「…なんだエマか、驚かせんなよ」
コステロが返事をすると空から(…空から?)ロングコートを羽織った男が飛び降りてきた。
華麗に着地して私の方へ向かってきた。男の歩き方はまるでモデルのようにとても美しかった。そのまま優しく私の手をとりその場で跪く。
「はじめまして、お嬢さん。私はエマヌエーレと申します。以後、お見知りおきを」
と、手の甲にキスを落とした。
「お、おいエマ!何してんだよ急に!」
「急にも何もご挨拶をしたまでだよ。それにしてもコステロ、いつ彼女と出会ったんだい?彼女は恋人かい?」
「こ、恋人じゃねぇし…!」
なんだか2人は仲が良さそうだった。
「ごめんな、急に。こいつはエマ。えっと、俺の師匠みたいなもんかな」
「レイといいます、よろしくお願いしますエマ」
「よろしくね、レイ。頼りない男だけどコステロのこともよろしくね」
勘違いしてるのかコステロをからかってるのかわからないけど、少し変わった人というか不思議な人だなと感じた。
あれ、でもウバルドから話を聞いたときにはエマの話はでなかった気が…
「エマはもうレオーネの人間じゃないんだ」
「そう、1年前に結婚して足を洗ったんだ」
「なるほど…」
それでもときどきレオーネの邸に遊びにきているとのことだった。コステロは若いとき、というか小さい頃から色々教わったみたいで、きっとエマは彼にとって大切な人なんだろうなと見ていて感じた。
「今日ウバルドはいるかい?」
「朝から仕事にでてるよ、向こうで1泊してから帰ってくるって。ウバルドに用事?」
「いや、そういうわけではないんだ。ありがとう」
エマはふっと口元を綻ばせた。私は彼の微笑みに少し違和感を覚えた。
自分の為にもわかりやすいタイトルにすることと、話数が増えてきたら章を作ろうと思います




