不可侵領域
これから少しずつ登場人物が増えていきます。
朝。
目が覚めた。けたたましく鳴り響く機械音で起こされない朝は久しぶりだった。
枕元にあるスマホを取ろうとして近くにないことに気がついた。
そこでやっと自分が転生したのを思い出した。
見慣れない天井、少し高めの枕、広すぎる部屋、窓から見える西洋風の建物。全てが自分の知っているものとかけ離れていた。
元々一人暮らしだったしホームシックとかにはならないけど、多少不便には感じるかもしれない。貴族だったらスマホなんてないだろうけど、マフィアならさすがに携帯くらいは持ってそうだな。あとでウバルドに聞いてみよう。
ひとまずお腹がすいたから、何か食べ物を調達しに行きたい。昨日の談話室に行けば誰かいるかな?
「お、おはようございます」
「あ、おはよ!君が噂のレイちゃん?前のレイちゃんよりも礼儀正しいね」
朝イチからはじめましての方と遭遇してしまった。しかも何も考えてないまま部屋をでてきたから部屋着だ。第一印象最悪すぎる。
「す、すみません…こんな格好で」
「いーえ、気にしないで。自己紹介がまだだったね。俺はコステロ、居候みたいな感じかな?よろしくね」
てことはコステロはマフィアではないのかな?たしかに細すぎてあんまり戦いそうな見た目ではないけど。
「いや、俺もちゃんと戦闘員だよ。ただ前線というより暗殺とか盗みとか裏で動く方が多いかなぁ」
何も言ってないのにどうして返事が?え、もしかして今の声に出てた…?いやそんなはずはない。
「あ、驚かせちゃってごめんね。俺、昔心理学とかやってたせいで人の思うことを予想して次の会話しちゃう癖があって」
なんだその高度な癖。心でも読まれたかと思ってちょっと色々心配した。
まだこの世界についてほとんどわかってないから超能力や魔法みたいなものが存在しててもおかしくない。
あ、朝食のこと忘れてた。
「いえ、こちらこそよろしくお願いします。コステロ」
「俺には敬語じゃなくていいよ!たぶん同い年か俺の方が年下だろうし」
そういえばみんなの年齢を全く知らない。というか、年齢不詳すぎて年上か年下かすらもわからない。
あとで探ってみるなり、本人に聞いてみるなりしてみよう。
「それじゃあ、お言葉に甘えて。朝食ってどこかで食べれる?それかキッチンの場所を教えてくれれば」
「そっか、まだわからないんだもんね。じゃあキッチンと食事採るところに案内するよ!そろそろ朝食ができる頃だと思うし」
────
そうしてコステロが連れてきてくれたところは食堂のように広々としたリビングだった。まぁここも比較的普通な造りで、生活感のある部屋だ。
「コステロ!お前はコーヒーと紅茶どっちがいい?」
「俺は紅茶!」
「お、お前もいたのか。おはよう」
「あ、おはようございます」
キッチンにはリベリオがいた。何やら飲み物をいれているらしい。私も手伝おうかと思って席を立とうとするとコステロに止められた。
「あそこはリベリオのテリトリーだから浸入しない方がいいよ。木っ端微塵に切られる」
「え、リベリオが朝食を作ってくれてるの?」
「ああ、基本的にここでの食事は俺が作ってるよ」
昨日自己紹介してくれたときは無愛想な人だと思ってたけど、話してみると意外とそうでもないみたい。
キッチンに立ってる間は特徴的な長い赤髪はポニーテールではなくお団子にまとめるらしい。
「おまたせ、フレンチトーストだ」
「わ、美味しそう…」
「「いただきます!」」
朝ごはんにフレンチトーストがでてくるなんて優雅な朝食。とても爽やかな朝だ、転生した感ある。
フレンチトーストを一口頬張る。頬が溶けてしまいそうなくらい柔らかくて、奥まで染み込んだ牛乳と蜂蜜がたまらなく美味しかった。
「リベリオは料理が上手なんですね、とっても美味しいです」
「そうか、ありがとな」
そういえばウバルドに色々聞きたいことがあるんだけど、さっきから全然姿が見当たらない。誰か知ってたりしな…
「ウバルド探してるの?あいつなら早朝から仕事にでかけたよ」
「そうだな、たしかルカとルチアと一緒だったぜ」
またコステロに先読みされてしまった。ちょっと慣れるまでに時間がかかりそうだ。
「じゃあこれ食べ終わったら邸の中を案内してあげるね」
「ほんと?ありがとう、助かる!今朝も迷子になりそうで何回も行ったり来たりした」
「リベリオも一緒に来る?」
「片付けもあるし俺はいいよ」
こうして急遽、コステロ主催の邸案内ツアーが開かれることになった。
少しずつ加筆修正を加えながら連載しているのですが、当時の自分の癖というか、表現の仕方とかが変わってる部分もあり不思議な感覚です。
あとはタイトル分かりやすくしました。後世()の自分の為に。




