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悪役令嬢になれると思ったらマフィアの娘に転生しちゃった話【全年齢版】  作者: 咲縞ゆう


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ひとときの夜更かし

寝るはなし書くと眠くなる現象


並んで座ってからだいたい十分くらい経ったあたりで、やっとパオロが口を開いた。


()()()()はなんで僕に敬語なの?」


初めて"お姉さん"と呼ばれ、きっと彼なりの最低限の礼儀なのだろうと思う。ほんとは喜びたいところだったけれど、そうするともう一生呼んでくれなくなりそうだからやめておいた。


「うーん、わからないけど敢えて言うなら、親しき仲にも礼儀ありってやつですかね…?」

「何それ、初めて聞いたけど」


そういえばここは日本ではなかった。ということはもちろん諺も伝わってないのが当たり前だ。というか、伝わったらそれはそれで怖い。


「どんなに仲が良くても礼儀はしっかりと守りましょう、って感じです」


あ、これはもしかしたら、あんたとそんなに仲良くなった記憶はないとか言われちゃうかな。


「へぇ」


思ってたより薄い反応だった。それ以降は特に何を話すわけでもなかった。

こちらから話しかけるとなんか怒られそうだし、嫌われても嫌なので特に何も話しかけずただ夜空の星を見上げていた。

こうしてゆっくり星を眺めていると、毎日何かが毎回が奇跡なんだと感じる。


いい感じにお風呂の後に火照っていた体も落ち着いてきたので、そろそろ部屋に戻ることにした。


「じゃ、私はそろそろ部屋に戻りますね。お邪魔しました、おやすみなさい」

「待って」


そう言われ、一旦立ち止まる。被っていた毛布はとりあえずざっと畳む。


「手だして。はい、これ」

「ありがとうございます…って何ですか?」


パッと手渡された小さな袋は細かく網状に穴が空いている。手にぽんとのせてもらったときにふんわり植物のいい香りがした。


「あ、いい匂い。これは…」

「ハーブとか薬草だよ。寝れないときはこれ嗅いで寝ると落ち着くんだ」

「ありがとうございます!さっそく今日使ってみますね」


袋には可愛らしく水色のリボンがついていて、そのままだったとしてもインテリアになれるようなデザインだった。


───


部屋に到着してすぐ、それを枕元において寝る準備に取りかかる。と、言ってももうほとんどこのまま寝られるような、それくらい寝る準備は万端だった。


パオロと少しだけ話をして、あそこにいてくれただけで穏やか…な時間を過ごすことができた。まだ未だに緊張してしまう部分はあるけれど、ウバルドのことを考えると可愛らしいもんだ。

年下だと聞いてつい可愛がってあげたくなってしまうが、もう大人の年齢だしそれ以上に本人がそういうことをされるのが恐らく地雷であろう件だと思う。


「おやすみなさい」


パオロがくれたハーブのおかげか、その日はすぐに眠ることができた。それと、長い長い夢を見た。


誰だかわからない顔をした人も、老若男女もみんないる。目の前にいる人に声をかけようとして肩を叩こうとするとそのまま私をすり抜ける。あぁ夢だ、と思った。


半分透明な人の顔を回り込んでみると、なんだか見たことのあるようなないような顔だった。ただ、レオーネじゃないことだけわかっている。

知らない人じゃないかと疑っていたが、もう一度よくしっかりと顔を見る。わからない。

言われてみれば見たことないような、まだ顔も見ていなかったけどその雰囲気なんとなく知ってるような気がした。


実際のところはどうだかわからないが、走ってる夢を見るとなんもなく自分も疲れた気になっちゃう。なんとなく精神的にも体力的にも疲れる。


その夢はずっと続いた。その知ってるようで知らない半透明人間はいろいろな顔をして、何度も私の前に現れる。話が聞きたくて追いかけると隠れられてしまう。どうしても追い付けない、そんな夢だった。



ねむいです

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