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悪役令嬢になれると思ったらマフィアの娘に転生しちゃった話【全年齢版】  作者: 咲縞ゆう


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空振り

わちゃわちゃしててすきです個人的に


「それがさ、張り込みしてたとこの官僚の不倫現場押さえたと思ったら、愛人じゃなくて従姉妹だったんだ」

「「「は?」」」


思わずその場にいた全員の声が揃う。


「やけに若い女だなと思って撮った写真をパオロに解析してもらったら、空振りだったってわけ」

「はは、ほんと俺たち何の為に張り込みしてたんだか」


きっと張り込みなんて体力勝負でろくに眠れてもないだろうに、笑い事で済ますことができてしまうのか。


「そもそもなんで張り込みなんてしてたんですか?」

「あぁ、それは単純な話だよ」


ざっくり説明してもらったことはこうだ。

フロズにいるターゲットの官僚は、議会で常にイトロスとの関係を悪化させようと企んでいる過激派の一人で、イトロス側の私たちからすると今の均衡を崩されるのはとても厄介。その均衡を崩してフロズの独り勝ちを狙う官僚は何人かいるが、特に今回のターゲットはよりそれを目論んで実行に移そうとしている。それを阻止するために不倫現場を押さえ、週刊誌に売り捌き、社会的地位を剥奪しようという算段だった。しかし、不倫しているという噂は噂に過ぎず、空振りだったというわけだ。


「え、待って。ということは、まだその官僚は健在ってことですか?」

「まぁそうなるね」

「つまりはイトロスとフロズの今の状況がいつまで続くかわからないままだ、ということだね」


それってかなりまずいことなんじゃ…


「じゃあその実際に不倫させてしまうのはどうだい?」


突然エマが声をあげた。レオーネじゃないと言う割には話し合いに参加してるじゃん!とは言わないでおく。


「そんなん誰が…あ」


……みんなしてこっちを見るな!!!


「嫌です。死んでも嫌です」

「だよなぁ」

「あはは、お嬢には無理そうだな」


それもそれで失礼だぞ!私だって色目ぐらい…胸がなくたって…いや、これ以上墓穴を掘るのはやめておく。自分が悲しくなるだけだ。


「彼女はやらないというよりできないと思うよ。それより圧倒的に僕の方が適任だと思わないかい?」

「え、もしかしてエマ女装とかできたり…」

「勿論、女性役も引き受けているよ」


わぁお。たしかに完璧に化粧をしたら、それはそれは美しい女性が出来上がりそうだ。


「さ、冗談はここまでにしてリベリオの作ってくれた夕飯を食べよう」


楽しそうに乗り気に話していたのにも関わらず、ぱんと手を叩き目の前の料理に目を向ける。


「え、てっきり不倫相手を本当にやるのかと…」

「エマは面白くないことはやらない主義だからね。"仕事"としてやるんだったらやっていただろうけど」


直接言葉にせずとも、彼がもうレオーネではなく、それに従う義理はないということを改めて理解させられた。

私が思ってる以上に、エマヌエーレという人は厄介だ。


「え、じゃあフロズの官僚はどうするんですか?!」

「まぁそのうち何か対策たてるんじゃん?」

「まってこのビーフシチューパイめちゃくちゃ旨い!」


えぇ…国同士の対立の危機だというのに何故こんなにものんびりなのか。


「レイちゃん、俺らはお人好しの慈善団体じゃないんだよ。裏稼業の殺し屋だ。俺らからすると国がどうなろうと世界がどうなろうと知ったこっちゃないの」


久しぶりにコステロに言いたいことを読まれた。コステロらしくないこの世の全てを諦めたような返事だった。それでもビーフシチューを頬張る彼はとても幸せそうな表情をしていた。

私とたいして歳の変わらない人たちが1つ屋根の下に集まって日々暮らしている。そんな小さな幸せだけで生きていけたらいいのになと改めて思った。


「そういえばキミ、もう誰かと夜を過ごしたりしてないよね?」


突然の聞きたくもない話題にむせる。ルチアの野郎、ここぞとばかりに楽しもうとしている。


「まさか。私は私のタイミングで…」

「まってお嬢、それはつまりタイミングが合えばOKだしてくれるって解釈でいいの?」


ラウルが会話に混ざってくる。想定外の人物すぎてまたむせそうになる。せっかく美味しい食事をいただいてるんだから、料理に集中させてよ…!


「いや、あのそういうことではなくて…」

「じゃあどういうこと?」

「それはその…えっと~…」


どういうことってどういうこと?って私が聞きたい!


「おいおいお前ら、あんまいじめてやるな」


あぁ神様仏様リベリオ様…まともなやつはあんただけだよほんと…


「こいつの心の準備ができるまで待ってやれ。いつかは来るんだから」


まさかの私次第の肯定派だった。


騒がしそうな感じが伝わればなんでもいいです(なげやり)

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