書斎の会合
「あ、エマから連絡がきてる」
どうやらあと数分もしないうちに到着するらしい。あれ、そういえば何も考えないで食堂に居座ってたけど、私パジャマのままじゃない…?
「レイちゃん今気づいたの?」
「早く着替えてきたらどうです?」
ちょっとでも疑問に思ったなら言ってくれればよかったのに!!ひとまず年齢や所属年数は一旦置いといて、まずは着替え。
「この前買ったセットアップ着てみよ」
少し前にヴァレリオの働いているお店で買ったセットアップ。おしゃれなのは間違いないし、可愛くもありかっこよくもあるから着やすそうだ。
後ろに寝癖が少しついていたので、まとめ髪にして寝癖諸とも一括修正。
前髪を整えているところで携帯が鳴る。
「やっば、もうエマ来ちゃう…!」
部屋の中をバタバタと走り回る。意味通りの突貫工事で顔面をなんとか作り上げ、玄関へ走る。
「レイちゃん騒がしいね」
「まぁあいつのことだから…怪我しなきゃいいだろ」
なんとか連絡をもらった到着時間までには間に合った。いやほんとに間に合わないかと思って、いつでも連絡できるように携帯を握りしめてたことは秘密にしておきたい。
「あれ、エマ来なくないですか?」
後ろで一緒に待ち構えてたウバルドに声を掛ける。
「エマのことですから玄関からは入って来ないのでしょう。大方、後ろのガラス張りのどこかから入ってきますよ」
「残念。ウバルドは意外とツメが甘いところがあるからね」
と、声の聞こえた後ろを振り返ると手すりの部分に優雅に腰を掛けていた。
「やぁ、久しぶりだね。レイもウバルドも」
久しぶりというか、昨日会ったし。ウバルドは実際会うのは久しぶりみたいだけど、パッと見二人とも全くと言っていいほど久しぶり感はなかった。
「どこからどうやって入ったんですか?」
「魔法使って」
そんなセキュリティ面がばがばなレオーネに到着するや否や、数分もかかわらず本題の話をし始める。
「そんなことより。今日はさ書斎、案内してもらえる?」
「レイさん、あとはあなたに任せてもよろしいですか?」
「わかりました」
実は書斎に入るのはこれで二回目だ。時間のあるときに読めるような本を探してたんだけど、いかんせんそんな面白そう内容のものは見つからなかった。
ここの書斎はいわば図書館のような大きさをしていて、入るための鍵も生体認証じゃないと通ることができない。
どうやらエマがレオーネをでてからできたシステムらしく、エマの生体は登録されていないらしい。登録ができれいれば、今こうして私が生体認証に使われることはなくなるんだろうけど。
書斎の入り口で手をかざす。ピッと音がなって重厚な扉が開く。
「ありがとうレイ、助かるよ」
「いえ、昨日も助けていただいたので」
書斎の神聖そうな重たい空気感のせいか、エマの纏っている空気がいつもよりも分厚く感じた。私と彼との間に隔たりがあるような。
「エマ、一つ聞いてもいいですか」
「…なんだい?」
「昨日、どうしてあの場にいたんですか?」
先を歩いている私は振り返りもせずに問いかけた。エマの足音が止まる。
「ねぇ君はどうして僕がその問いに答えてくれると思ったの?」
「私が個人的に気になったので。それだけです」
「…そう」
彼から得られた回答としては、"今は何も答えることはできない"。だった。つまり言い方を変えると今でなければ、答えることができるかもしれないというこだ。
「いつ教えてもらえるようになりますか?」
「随分と積極的だね、誰の差し金?」
「さっきも言いましたけど、私の個人的な興味です」
少しだけ空気がピリついた。しつこくしすぎたかと思ったが、私は何か嘘をついているわけでもないのだから、堂々としていればいいんだと考えを改めた。
「ここにはいろいろな本が置いてありますよね」
「みんなあぁ見えてけっこう真面目だからね、それこそこれなんかは…」
そうやって少しだけ昔の任務の話に聞くことになった。




