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悪役令嬢になれると思ったらマフィアの娘に転生しちゃった話【全年齢版】  作者: 咲縞ゆう


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湯浴み事故

閑話を挟む場所を見失った


今日のうちに目が覚めるのは三回目だ。二回も昼寝?夕寝?することなんて普段はないから、寝すぎて身体がだるくなってしまった。昼寝もそうだし夜の日頃の睡眠もそうだけど、やっぱり寝すぎはよくないなと思う。


のそのそと動きながら身体を起き上がらせる。さすがに数時間じゃ手足首らの赤みは消えなかった。

異世界に転生したくせに治癒魔法的なあれは使えないし、なんか普通の世界のままなところがあるから便利!とか一切ない。むしろ不便なのでは?とさえ思う。


着替えを持って風呂場へ向かった。男所帯だったレオーネ邸はもちろんお風呂は一個しかなく、私はいつもみんなが入り終わった後か入る前の1番風呂に入れさせてもらってた。今日はもうみんな入ってるだろうから最後の入浴。


大所帯のお風呂ということもあって、小さな旅館の浴場と同じくらいな大きさだ。洗い場も二つあるし湯船も人が三人くらいは縦に並ぶことができるサイズ感だった。

広い湯船に一人で贅沢に入ることができるのはとても嬉しい。


バスローブやバスタオル、着替えを籠に置いて棚にしまう。湯船の縁に顔をのせて思いっきり足を伸ばす。たまにバタ足をしてみる。


「~♪~♪」


鼻歌なんかも歌って。


「ふんふんふ~ん♪じゃん!」


一番盛り上がるところでバンッと浴室の扉が開いた。

えええ、こんな真夜中に風呂入る人いるの?!

咄嗟の出来事で何も臨戦態勢を取ることができず、入り口に立ってた人物と目が合う。


「あわわわわ…」

「わっ悪い…!あの、ごめん!お嬢えっと…」


パニックになっててすぐに気づくことができなかったが、ラウルをよく見てみるとシャツもズボンも着たままだった。ただ、白いシャツは赤い模様がついていた。


「え…?」


顔も少し赤くなっていて、袖を捲った腕からは血がポタポタと垂れていた。

ばっと湯船から飛び出し、彼の腕を触って傷の深さを確かめる。


「ちょっとラウルどうしたんですか?!早く傷を洗わないと菌が入っちゃう」

「…大丈夫、自分でできるから」

「大丈夫じゃないです!ちゃんとやらないと、シャツも脱いでください。血は時間が経つほど落ちにくく…」


その勢いのままシャツを脱がせようとすると、ラウルに肩を持って止められた。私を制止したくせにさっきから首を正反対に向けていて、全く目が合わない。


「…わかったお嬢、ちゃんと君にもお願いするから。あの、せめて何か羽織って…」

「あ、」


ラウルが血まみれで浴場に入ってきたことに驚きすぎて、ここが風呂場だということを忘れて全裸のまま飛び出してきてしまった。


「あっ…す、すみません!ちょ、っとバスローブ持ってきます…!」

「…いってらっしゃい」


バスローブをしっかりと羽織って改めて浴場に入ると、ラウルはシャツを脱いで上裸の状態だった。

初めてラウルの上半身を見たけど、思っていたよりも筋肉質な体格をしていた。特に腕の筋肉がついているなと思う。


「なにジロジロ見てんだよ、変態」

「いや、ちゃんと鍛えてるんだなぁと思ったので…ていうか変態って何ですか。なんならラウルの方が変態でしたよさっきの」

「あれは僕は悪くないもんね、全裸で突っ込んでくる君が悪い」


あのときはあんなに照れて顔を反らしてたのに今は悪態をついてくるぐらい余裕になっていた。それはそれでなんか気に食わないけど。


シャツを洗いながら彼の背中を見ていると左の脇腹に縫ったような跡があった。手を止めてつい凝視してしまった。


「どーこ見てんのさ。あ、この傷のこと?」


どうやら私の視線から悟ったらしい。


「…これは昔しくじったときにちょっとね、大した傷じゃないよ」


傷を触りながら話す彼の表情は湯気に紛れてよく見えなかった。


作者自身は200話以上先の話を書いてるので、基本的には今後の展開もわかってるんですけど、この話は定期的に読み返してたりします。


ブクマや感想等ありがとうございます!すべて目を通しています。直接感想いただくことはなかなかないので、みていて楽しいです。

好きなように書いてるめちゃくちゃのんびり屋ですが、気が向いたときにポチっとしてもらえると嬉しいです。

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