接触
2話でか書くような感じではないなと今更ながら思いました、2話です
「このあといつものしよ?」
結局"いつもの"の正体がわからないまま、金髪の男とどこかの部屋に向かっている。
彼は周りからルカと呼ばれていた。もしかしたら愛称なのかもしれないけど、とりあえず名前だけでもわかったのは収穫かもしれない。
肩につくくらいの髪をハーフアップでまとめて、一部を編み込んでいる。
「レイちゃん?聞いてる?」
「え?ご、ごめん」
「もう、ちゃんと俺の話聞いてよね。はい、俺の部屋着いたよ」
案内されたのはさっきまでいたところとあまり変わらないシンプルな部屋だった。どうやらご本人の部屋らしい。
普通のベッドと普通のソファーと普通のテーブル。もっとおしゃれな部屋に暮らしてそうな雰囲気なのに意外とこだわりがないのかな?
「俺の部屋に来てくれるの久々だね、うれし」
「たまにはいいかなって思って」
「…そう、ちょっと待ってて」
彼は入って正面にあったタンスを物色しながら、扉の近くで立ち尽くしたままの私に言った。
「あ、そこのベッド座って~」
とりあえず彼が戻ってこない以上、何もできないから言われた通りにベッドに腰かけることにした。しっかり座ると足がつかないくらいの高さだった。
改めて部屋を見渡してみても何か特徴的なものはない。外を見ることができれば建物や看板から大雑把な地域ぐらいは判断できそうだけど、そういえばこの部屋には窓がない。
色々思考を巡らせているとルカが、おっ、と小さく声をあげた。扉の方を観察していた私は彼の方を振り返ろうとしたのと同時に、おもいっきりベッドに押し倒された。
「いっ…」
痛いと抗議をあげようとした口内にはどういうわけか拳銃を突っ込まれていた。
目の前のものを認識した途端パニックになる。もう片方の手で肩を強く押し付けられているせいで身体を起こすこともできない。
まずい、落ち着け。転生して1日も経たずに死にたくない。
無駄な抵抗をやめて私の死命を制する男を見据えた。
「なぁ、あんた誰」
完全にバレている。
薔薇のような深紅の瞳は私を通して私じゃない誰かを見ようとしているように見えた。目の鋭さも力の強さもさっきまで手を繋いでいた男と同一人物とは思えない。
「どうやってレイちゃんの体内に入り込んだのか、はたまた洗脳でもしたのか知らねぇけど、俺らを騙して何が目的?」
捉えようによっては体内に入り込むが1番的を得ている気がするけど、生命の危機にあるときにそっくりそのまま伝えるほど私はアホじゃない。
「まぁいいや、どうせこのあと全部吐かせるからさ」
持っていた拳銃をぽいと投げ捨て、そのまま私の腰の上に馬乗りになった。成人男性が乗ったら重いに決まってるし、どかそうとも仰向けの状態から上にいる人を動かすなんて無理。
「…ちょっとどいて、重い」
私を見下したままポケットからだした手袋をゆっくり両手に嵌めている。
「へぇ、この状況で逆らうの?生かすも殺すも俺の気まぐれだけど」
「レイちゃんとやらが死んだら困るのはあなたの方でしょう」
生き延びる為には元のレイを人質にするしか道はない。実際、私の身体がレイである以上向こうが手出しできないのは事実だ。
示談で解決できるのが1番だと思ってできるだけ冷静を装っているけれど怖いもんは怖い。
「ふーん面白いねあんた。じゃあ痛いのと苦しいのだったらどっちがいーい?」
「そんなことしたらレイちゃんの身体に傷が残るわよ」
「別にいいよ~死なない程度に傷つけるし俺がつけた傷なら可愛い♡」
は?まってまってちょっとヤバすぎる。倫理とか理性とかが辞書にのってないタイプだ。しかも常習犯なやつだ絶対。とにかく早くこの部屋からでて誰かに助けを求めないと、この男から逃げなくちゃいけないと本能的に思った。
どうにかして目の前の男をどかそうとしてみてもやっぱり体勢が崩れるどころかぴくりともしない。
「あははっ、急に暴れちゃって。怖くなっちゃった?大丈夫、どっち選んでも俺は楽しいよ」
「誰か!!助けっ…ぅ"」
「黙れ」
でかい手のひらで口を塞がれる。両手で手首を掴むけど、上から押し付けられてると少しの抵抗にもならない。
「さーて、どうしようかな。大人しくしてたら可愛がってあげようかと思ってたけど、騒がれると困るからどっちも試してみよっか♪いいよね?」
ぱっと口元の手が離れる。
初めて会ったときと同じように笑いかけられているけど、その目は一切笑っていなかった。
懐かしい気分になってます




