美味しい食事
美味しいご飯て美味しいですよね
「ただいま~…」
玄関の扉を開けた瞬間、どっと人が押し寄せてきた。
「レイちゃ~ん!!」
「レイちゃぁぁぁぁぁん」
「ぐえっ…」
「お嬢!まったく、心配したんだぞ…」
ルカはのし掛かってくるし、コステロは足元で半泣きでしがみついている。落ち着いて出迎えてくれたのはラウルとリベリオ。そして、見たくなくても認識せざるを得ない最後列のウバルド。追記、とてつもない鬼の形相です。
「この質問をするのは初めてじゃないですよね、こんな緊急事態にどこで何をしていたんですか?自分がどれくらい狙われているか自覚しています?貴方、一応うちのボスの一人娘なんですよ。御三家の一人娘が狙われることくらいバカな貴方でもわかりますよね。誰か1人連れていくならまだしも、単独行動なんてもっての他です。まだ大して街のこともわかっていないのに、誰にも伝えずに出掛けるなんて有り得ません。貴方はもっと自分の…んぐ」
「まぁ良かったじゃないの、無事に帰ってきたんだからさ。キミも反省してるよね?」
ちょうど階段を降りてきたルチアによってウバルドのお説教は中断された。
「おっしゃる通りでございます、猛省しております。次回以降は気をつけます…」
ルチアに口を塞がれてもなお、こちらを見るウバルドの目は鬼だった。
「っ…はぁ、ルチアーノあとで覚えておきなさい」
「ひぃ~怖い怖い。それよりリベリオ、夕飯できてる?」
「あぁ、いつでも食べれるぜ」
ルチアを睨む顔も鬼だった。ウバルドは鬼だ。
リベリオについていきながら、みんなで食堂へ向かった。今さらだけどこういうみんなで集まるときに、パオロと呼ばれていた人はあんまり顔をださないことに気がついた。
このレオーネ邸にいる人たちとは一通り話ができたけど、唯一パオロだけは会議のときの一瞬の挨拶だけで終わっている。私も今後世話になる身としてはしっかり挨拶をしておきたいし、会って話がしてみたい。夕飯を食べ終わったら部屋を訪問してみようかな。
「うんま~~~」
「幸せ~♡」
やっぱリベリオの料理はどれも絶品だった。腹が減ってはなんとやらだ。彼らにとってもリベリオの食事は必要不可欠なものなんだなと改めて感じる。
「ねぇそういえばさ、今日の大通りのカフェであった襲撃事件ってやっぱブルーノの構成員がやったの?」
「いや、あれはモレッティだったらしいですよ」
「おいマジかよ、モレッティってそんな荒っぽいことしてたか?」
食事中の話題は今日カフェで起こった事件のことについてだった。帰ってきてからウバルドにはあれ以上問われてはいないが、別案件とはいえ渦中にいた人間にとっては少し触れて欲しくない話題だった。
あの場にいたことがバレてしまうと、もれなくエマといたことを話さないといけなくなる。
「最近イトロスは秩序が乱れていますからね、モレッティといってもおそらく下っ端が独断でやったことでしょう」
「え~でもさ、独断でやったとしてもただのカフェを襲っても意味ないじゃん。バカなのそいつら」
「さすがに何か理由があったんでしょ。彼らにとってメリットになる何かがさ」
そのうちテレビや新聞で報道されるだろうとして、この話題はお開きになった。そこからしばらくは私にもよくわからない雑談や業務連絡っぽいことをしていたが、次第に今後の私の行動についての話題へと切り替わった。
「まずレイさんは必ず誰かと行動するようにしてください。私が皆さんのスケジュールを管理して誰かしら空いてる人を作りますので」
自分の自由な時間が減ってしまうと考えると少し窮屈に感じるが、残念ながら生命の危機には変えられない。
「ねぇそれよりキミ、まだ誰とも初夜を過ごしてないの?今日俺が部屋にお邪魔してもいい?」
「あー!ずるいルチア!!」
「残念だけど俺はこの子に貸しがあるんだ、それを返してもらわなくちゃね♪」
急に話題をねじ曲げられたウバルドはまた鬼の形相をしていた。ウバルドも自由人ばかりで大変なんだろうな、と少しだけ(本当に少しだけ)同情した。
「丁重にお断りします」
「あれ、さっきもウバルドのお説教から助けてあげたのになぁ?」
うわ、ほんとやり方が汚い。
「…私ルチアに助けて欲しいなんてお願いしてないですもん」
「ふーんそっか、わかったよ。今回は我慢してあげる。じゃ、他の皆に譲るよ」
意外と大丈夫だった。ひとまず回避成功と捉えてよさそうだ。何かあったらリベリオやコステロに助けを求めようと決めた。
今日も危険な夜であることに変わりはないが、外部からも内部からも身を守らないといけないことになるとは思ってもいなかった。
転生したら目一杯楽しんでやろうとか思っていたけど、そんな余裕は一切なかったな…
しみじみと思いながら最後の1口を口に入れた。
「うまっ」
うまっ




