狡猾な手口
癖強ファミリーです
お風呂に入ってから自室でのんびりする時間はわりと好きだ。身体がぽかぽかしていて気持ちを落ち着けることができる気がする。
「レイちゃ~~~~ん」
扉の向こうからだらしない声が聞こえる。
あぁ私の貴重なリラックスタイムが…
「なーにー」
「遊ぼ」
「お断りします」
部屋の鍵はありがたく有効活用させてもらっている。コステロが3階から飛び降りることができるのを考えると、逆も然りで窓から登ることもできるのでは?とも思うが、とりあえず窓の鍵を閉めておくしか対策はない。
「わかった、じゃあ自分で開けるね」
ガチャガチャと鍵穴をいじる音がする。
ん、まてよ。よくよく考えたらピッキングなんてマフィアにはお手のものなんじゃない?!有効活用とか嘘すぎる。
今目の前で呆気抜く無効化されようとしている。
「ん~俺ピッキング苦手なんだよね」
あ、うん、なんとなくそれは解釈一致。
どうするどうする。残念ながら私1人では3階から飛び降りることは不可能だし、もう2度とあれはやりたくないと思った。
逃げ回る?そんなことできるか?
「あー、何やってんだよルカ」
「何って、レイちゃんのとこに夜這い」
おうおう、こいつめ堂々と言いやがった。
「レイちゃーん?こいつの夜這いは合法??」
だ、誰だ。超救世主なのに名前がわからない、ごめん。
「圧倒的違法です!!!!」
「違法だってよルカ、また今度にしな。せめて気づかれないようにやりな」
この人さらっとヤバいこと言ってるけど、自覚あるのかな。
「しょうがないな、じゃあまた明日来るね」
明日だろうと明後日だろうと、来ないでくれ!!
パタパタと足音が遠ざかっていく。無意識にため息をついた。これは先が思いやられるな…
さっきの救世主がいるかもと思って扉を少しだけが開けてみる。
「あれ?足音1人しか聞こえなかったんだけどな…」
いない。すぐいなくなっちゃったのかな?まぁルカが部屋に戻ったならいっか。
明日にでもお礼を言おう。
「ねぇ、キミ危機感ないね」
「うわっ」
部屋に戻ろうと扉に背を向けた瞬間にどっしりと肩にのし掛かってきた。
「あ、えっと…」
「ルチアーノ、ルチアとかルッチでいいよ」
右肩の方から声が聞こえるけど、顔はよく見えない。というか、近い。
「じゃあルチア、さっきはありがとうございました」
「貸し1」
へ?
「あの…貸しって」
「今度俺が困ってたときに貸し返して、それでチャラでしょ?」
あ、そういう。てっきりなんか金でも徴収されるのかと思って身構えてしまった。
「さっそくだけど、明日の夜は?暇?」
「何か手伝いですか?」
さっきから肩に置いている腕が胸を触ろうとプラプラしてるんだけど、やんわりとガードしている。どうしてこのファミリーは変わったやつしかいないんだ…
「そうだね、子作りの手伝いでもしてもらおうかと」
どうりで!!
「ちょ、だから胸触ろうとしてくるんですか」
「なんだ、わかってたの?ひどいなぁ弄ぶなんて」
純白な優しい人かと思ったら黒確定だった。こうなることを予想してたな、こいつ。
「まっ、俺はルカみたいに盛ってないからさ。安心してよ」
「で、できませんけど…」
「キミ、正直すぎるのもよくないよ」
そのまま顔を近づけて頬に触れるだけのキスをした。
「今日はこれだけで我慢してあげる。今度ちゃーんと貸し返してね♪」
そのまま逃げるように部屋を出ていく。
ルカよりは話が通じるやつ、ただしルカよりもたぶん厄介。ああいう輩は、契約書にこっちが不利になることをちっちゃく書いておいて、私に"自ら"サインさせるタイプ。
自分の手は絶対に汚さないタイプ。ずる賢いから1番厄介なんじゃ…
意味を成していない鍵を閉めてベッドに飛び込む。ここに転生して良かったことの1つは、ベッドだけは格別にふかふかなところ。それ以外は比較的元の世界にいたときも見ていたようなものばっかりだった。
実はあの変な形をした花瓶もお高いものなのかもしれない。
「おやすみ」
しばらくは新しい子やらいろんな情報が飛び交うと思います




