崩れたジクソーパズル
ジョーカーが出た日の夢は、こうだった。
トランプが、またトランプをシャッフルして切っていく。
ジョーカーが出た。トレーナーが帰ってきた。
彼は明らかに怒っていた。
「何がルールだ。これがルール? これもルール? それもルール?」
トレーナーは大量の書類を机に叩きつけた。
机の上のスパム缶も羅針盤も床に落ちた。キティが、さっき瓶にいけたピンクのバラも、ごんと音をたてて、ころがった。
「僕たちは、どうなんだ。ルールと戦っているのか?」
「伸子、ちょっとは意見を言ってくれないか?」
「丹念に書類に落とせば、きっと誰だってわかってくれる。それが君の言う意見だったよな。」
「もう、日本語でしゃべるのも疲れた。眠い。」
「誰か、日本語で訳しておいてくれよ。」
バラ子は伸子の肩を抱いた。
「彼は疲れているのよ。」と彼女は言った。
無理もなかった。みんな徹夜続きだった。
そっちのシステムに問題があるのは分かっているのだから、私たちに見せてほしい。見れば、こんな私たちでも解決策を見いだせるかもしれない。それを伝えるために、何枚も何枚も現地語で書類を作った。だが、現地の人に突っぱねられた。
「介入しないでくれ。」
「そんなのは上の判断だ。」
その「上」だって、窓口の者は分かっていない。
どこの国でも井戸番は大事な役職だ。場合によっては、一族の存続すら託されるというのに。
伸子はすごく落ち込んだが、トレーナーは大人だった。
しばらくすると、何事もなかったかのようにテーブルにつき、
「ジグソーパズルをしないと眠れない。」
と言った。
「富士山、きれいな山だね、伸子。」
美しい発音の彼の言葉、それで十分だと思った。みんなも。
キティが、「この瓶、水が一滴もこぼれないなんて、奇跡じゃない。」といって、
バラをもとの場所にもどした。
でも、もう一波乱あった。
"But I’m not going to the general waterworks museum anymore. のぶこ buy a ticket for me and go in. It doesn’t have to be you, though."
「僕は、もう水道資料館には行かない。伸子、俺の分もチケット買って入ってきてくれ。別に伸子じゃなくてもいいんだけど。」
"I'll make the report. You don’t need to see it; I can just copy-paste for 30 minutes in the hotel, and it’ll be done. There's no need to go there if all you're going to see is the entrance."
「僕が報告書は作る。あんなの見なくたって、ホテルで30分コピペすればすぐにできるさ。わざわざ、入口だけしか見れないなら、足を運ぶ必要はない。」
「それは違う。それじゃズルじゃない?」
伸子はそう思った。
「ディファレント。違う。」
トレーナーがまたテーブルを叩いた。
「だったら、どうすればいいというんだ!」
そう叫ぶと、テーブルをひっくり返した。
せっかく、もうすぐ完成しそうだったジグソーパズルが崩れた。
バラ子さんが、ギータ―リストの肩をたたいた。ジェリーが、うなずいた。
ギターリストの音が静かにながれた。いつか聞いた、映画の音楽だった。
みんなは黙々と、ジグソパズルを組み直した。
もちろん、トムもいた。トレーナも今度はだまってもくもくと青いピースをあつめて、横にわたした。
それが救いだった。
それからトレーナーは視察に行かなくなり、
自室でマイクラばかりするようになった。




