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柊様の秘密  作者: 咲紫きなこ
二年生
5/12

5話

 二年生の春、渚咲は登校し、下駄箱前に貼り出された組分け表を見に来ていた。

 自分の組は一組、そして柊の名前を探す。

 柊の名前がなかったので、柊は二組か三組だろう。

 離れてしまった。

 残念に思う矢先、周りの人だかりが一気に横並びとなると、その先から柊がやってきた。柊は渚咲に気がつくと、手を振りそのまま渚咲の元へ歩み寄った。


「おはようございます、優葵さん」

「柊様、おはようございます」

「僕と優葵さんは、一緒の組でしたでしょうか?」

「残念ですが、違う組です」


 そう言って渚咲は二組と三組の紙の方を指さしたが、柊は紙を見ずに渚咲の手を両手で握った。


「僕、優葵さんと同じ組が良いです。優葵さんは、どうでしょう?」


 周りからの視線、渚咲は下を向きながら答えた。


「それは……一緒の方が嬉しいです。――でも」

「わかりました。では、一緒にしましょう」


 そして、柊はカバンの中からマジックペンを取り出すと、一組の方に柊裕と書き加えた。


「はい。これで一緒です。行きましょうか」


 柊は優しく微笑みながら、渚咲の右手を握った。


「は、はい」


 そして二人は、一組の教室へと向かった。


 それから二年一組で最初のホームルームがはじまった。

 渚咲の隣の席には、平然と柊が座っている。

 先生は柊に話を聞くと、柊はニコニコしながら「僕は一組です。そう書いてあったでしょう?」と答えた。

 先生は組分けの紙を見てから「そうですね」と答え、それ以降何も言わなかった。


 放課後になり、柊は渚咲に教室に残る様お願いした。柊は違う組に用があるのでと一度出ていった。

 皆が教室を後にする中で、渚咲は窓の外を眺めていた。教室のドアが開いて、柊が誰かを連れて戻ってきた。


「優葵さん、紹介します。小夏美花(こなつみか)さんと武神暁(たけがみあかつき)くんです」


 一人は長身でポニーテールをした金髪の女子生徒と、一人は学ランを着た黒髪短髪には赤のメッシュが入っており、橙色のツリ目をした三白眼の男子生徒だと渚咲は思った。


「この人達は?」

「僕の友達です」

「どうもー。ゆうかがお世話になってるねーなぎさきちゃん」


 女子生徒の制服を着た方の人が渚咲を見てにっこりと笑った。


「あたし、小夏美花って言うよ。よろしくね」

「よ、よろしく、お願いします」

「なんで敬語なの? 同学年なんだし、気楽に呼んでいいからね」

「あ……ありがとう」

「いつもはテニス部で忙しいんだけど、今日は部活ないからね。顔出せてよかったよ」

「みかさん、ありがとうございます。たけがみくん、お願いします」


 男子生徒の制服を着た方が、渚咲を睨みつけるように見つめた。


「俺は武神暁。――ひいらぎに頼まれて、風紀委員してる」


 風紀とは何だったのか。と言いたくなる髪色の三人だが、柊が良いと言ったから良いのだろうと思い、渚咲はツッコミを入れるのをやめた。


「ひいらぎを困らせる奴には容赦しねぇ。覚えとけ」

「は、はい……」

「たけがみくんは一年の時途中から休学していました。久しぶりに学校で会いますね。登校してくれてありがとう」

「俺も、お前のおかげで休学できたからな。ありがとな」


 武神は柊に対して素直に感謝を述べると、その場で柊に向かって一礼した。


「二人とも、この人は渚咲優葵さんです。僕の恋人です」

「なんで?」

「そういってたね」


 冷静な小夏に対して、武神は何故かと疑問をぶつけた。


「たけがみくん、僕はね、僕にはね、優葵さんが必要なんです。分かってください」

「友達じゃダメだったのか?」

「優葵さんが……誰かのものになったらって思ったら……僕、とても嫌で」

「あっそ。――まぁ、お前の事困らせたり、ダメな奴だと思ったら、俺は反対するからな」

「じゃあ、今は認めてくれてるって事ですね。ふふっ、ありがとうございます」


 二人のやり取りに渚咲は「この二人が付き合った方が良いのでは? メッシュ赤青で揃えとるしもうできてるんじゃないん?」という思いを抱いたが、何とか口に出さずに抑えた。

 そんな渚咲の変な表情を見た柊は「ああ!」となにかに気付いた様で、武神の肩をポンポンと叩いた後、渚咲の方を見た。


「男子生徒は怖いですか? 安心してください。たけがみくんは女の方ですよ」

「別に言わなくてもいいだろうかよ!」

「友達ですから。教えてもいいでしょう?」

「えっ、えー!?」


 渚咲は武神が女と言うことに驚きを隠せなかった。

 武神の方をガン見してえーと声を漏らす。

 そんな渚咲に、武神は声を荒らげた。


「なっ、何ジロジロ見てんだ! ぶっとばすぞ!!」


 その後、四人で帰路に着いた。

読んで下さりありがとうございます。

よろしければブックマークや評価の方、よろしくお願いします。

次回更新は明日、7月4日の0時からです。お楽しみに。

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