表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柊様の秘密  作者: 咲紫きなこ
やっと会えた
4/12

4話

 まさか柊裕が、あのアニメのファンだとは思わなかった渚咲は、驚きを隠せなかった。が、気になってはいたアニメだったので、それを彼女が好きと言うのならば、教えてもらうのも良いかもしれないと思った。


「俺、あのアニメ興味あります! 今度、教えて下さい」


 柊の前で俺と言ってしまい、どうしようとあたふたする渚咲だったが、柊は特に気にする事もなく、だが少し悲しそうな顔をした。


「興味を持ってくれて嬉しいのですが、僕はあのアニメを一度しか見たことがないのです。もうしわけありません」

「えっ、あっ!? そうなのですね。全然! 全然大丈夫です」

「ですが、イエローさんの事は大好きなんです。責任感があり、とってもかっこいい人です」

「なるほど! 教えて下さりありがとうございます!」


 柊は渚咲の右手を握り、本館の方に体を向けた。


「優葵さん、教室まで送ります」

「えっ!? いや、柊様二号棟で授業ですよね? そんな、悪いです」

「僕のせいで、こんなに遅くなってしまったので。送らせてください」


 渚咲は再度携帯を取り出すと、時間を確認した。

 授業開始から十分(じっぷん)以上は経っていた。


「ね? 行きましょう」

「は……はい」


 渚咲は、柊の手を握り返せなかった。


              *


 それからその日のお昼休み、渚咲の組に柊が現れた。

 周りの女子生徒が次々と声をかけていくが、柊はそれを丁寧に断わっていく。そして、一番後ろの窓際の席に座る渚咲に手を振った。


「優葵さん、こんにちは」


 渚咲の名前を呼んだ瞬間に、女子生徒の悲鳴がどんどんと聞こえてくる。

「なんで渚咲なの」

 と言う強い口調の声等も聞こえたが、何も気にならないくらいに、目の前にいる柊に、渚咲はドキドキした。

 そんな中で、一人の派手な女子生徒が柊の肩に触れた。

 柊は何事かと後ろを振り返ると、その派手な女子生徒と目が合った。


「柊様ぁー、なんでそいつなんですかぁ? あたしの方が、かわいいですよね? あたしと楽しい話しましょうよー」


 そのまま柊の腕に抱きつく派手な女子生徒であったが、その手を柊が掴んだ。

 そして、笑顔を向けながら口を開いた


「邪魔なので離れてください」

「はぁ!? なんで」


 その言葉を皮切りに、周りが一斉に派手な女子生徒を柊から離そうとして来る。


「離れろよ。柊様の言葉は絶対だぞ」

「柊様を怒らせるなよ」

「あんた、退学になりたいの?」


 その言葉に、派手な女子生徒は声を荒らげ、また柊に近づいた。


「はぁ!? こんな事で退学になるわけないじゃん! ばっかじゃないの? てか、地味陰キャの、キモ咲選ぶとか柊様も趣味悪すぎー!」


 そのまま軽々しく柊の肩をポンポンと叩くと、柊は派手な女子生徒の手首をグッと掴み、笑顔で口を開いた。


「あなた、名前はなんと言いますか?」

「あたし? あたしは山田絵里香」

「そうですか。山田さん、不愉快な事を言いますね。――あなた、ここに必要ないです」


 柊はその場でニコニコと笑みを浮かべながら、手帳を取り出すと、その女子生徒の名前を書き、次の項目に【優葵さんとクラスを離す。それでも優葵さんに何か言ったり何かするのならば停学もあり】と書いた。

 柊は笑っているが、空気は殺伐としている事に、渚咲は恐れを感じた。

 必要ないと言われた派手な女子生徒は、クラスの皆に教室から追い出された。

 教室に静寂が広がると、柊が渚咲に話しかけた。


「うるさい方が居なくなって良かったです。――優葵さん、お昼ご飯、ご一緒してもよろしいでしょうか?」


 教室の中の皆の視線が、一斉に渚咲に向いた。

 渚咲の背中には嫌な汗が流れた。


「はい。――もちろんです」

「良かった。では、食べましょう」

読んで下さりありがとうございます。

よろしければブックマークや評価の方、よろしくお願いします。

次回更新は明日、7月4日の0時からです。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ