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秘密
夜になるまでにこの記述をここまでまとめ、
姫との謁見の時間になる。
姫は威厳のある視線で、挨拶をした私を見た。
パラリーについての観察許可をいただき、
ヴェール越しにわずか見える人影は
おそらく玉座に座っている。
ここで、なぜ私がザーイフ城について
いきどおっていると少し前に書いたのか
記しておこう。
島ひとつの真中あたりにある城と、
謎の花園たち。
花園に隠された、いわく。
姫はその血の半分が、ひとではない。
また、王の血でもない。
そしてこの島が、
ひとつの国であり
姫が王代理であるかのように
"うそ"で彩られ育てられた。
病弱であり、この島から出たことがない。
島の外は「外国」だと聞かされ、
「国を護るため」だと言われて、
ひそかに父親の連れてくる"外交官"と
「外交」をし、
民を養っていることになる。
この場合外交官とは、客人。
外交を、売春という意味合いで記している。
姫の寿命はあと、わずか。
そして、先に父親が亡くなった。
だから叶った訪問である。
王が心配をして、私を派遣した。