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花道
薔薇のトンネルには、高貴な花の香り。
拓けたドーム状の場所があって、そこに卓。
テーブルクロスはシンプルに白だが、レース。
見上げても見下げても
葉の間から午後の光りが差していてとても綺麗だ。
皿は周りの薔薇の色の差し色を意識してある。
キャンドルは縦に螺旋を描き、
飲み物は甘めのフルーティーな酒。
サラダには食用花が入っている。
薬味を散らした二枚貝の酒蒸しに、舌つづみ。
塩で焼いた大ぶりのエビは、黄色く珍しい。
近くで獲れるメインの魚は蒸し焼きされていて
肉厚なその身をナイフとフォークで持ち上げてほおばると
噛みごたえがあるのにとろけそうな感覚。
添えられた蒸かしジャガイモはこぶりで、
彼女の言った通り素直に可愛らしいと思ったし、
触感がほくほくとしていて味も美味しい。
葡萄が二種類、皮は薄く実に種はなく、歯ざわりがいい。
デザートにミニケーキ、タルト、クッキー。
用意された薔薇色シェイクは太いストローで飲んだ。
姫は可愛らしい面立ちだ。
私の額の角に、おっかなびっくりしていた。