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実在
小規模な島に城が在る。
湖の中に孤島があって、そこに彼らの言う「国」がある。
城がはえているような気がするくらい小さな島。
周りはみどりに囲まれ、
それはお互いを隠しあうかのように
全容を見るのはむずかしい。
とにかく謎の城が実在していることは分かった。
そして案内人のざっくりとした説明を聴くに、
顔に出さぬようにしてはいるが、
この島と城の事情に私は憤っている。
この事情を王に報告せねばなるまい。
紙とペンがあって、ついでに動く腕があるのだから。