運命の乙女(ファム・ファタール)の伝承
現代日本の闇の闇
秘匿されし闇の世界に【運命の乙女】の伝承がある。
【運命の乙女】、それは無限の魔力とすべての魔術を内包する【妖精女王の瞳】を持つ乙女
その魔力ゆえに不老不死であり
その魔力ゆえに己の魔力を制御できず
その魔力ゆえに自由である彼女は、使い魔を従え、世界を旅していると伝えられてきた。
運命の乙女にまつわる伝承がいくつもあった。
「乙女の瞳をみたものは、その美しさに心を奪われ、破滅する」
「乙女の無限の魔力を浴びたものは、その魔力に溺れ、破滅する」
「乙女を欲し、彼女を束縛する者は、破滅する」
「乙女は世界を旅し、己の伴侶を探しているが、出会った男は破滅する」
そして……
「乙女の瞳を抉り、食らったものは、魔術の深淵を知り、すべての願いが叶い【王】となる」
と……
その伝承を裏付けるように、【妖精女王の瞳】はたびたび暴走し、周囲にいる者の精神を歪ませ、魔力を狂わせることがあった。
妄執により【運命の乙女】を欲し、【妖精女王の瞳】の魔力により狂(強)化された異能【狂乱の理力】を操る彼らを、人々は【災厄の騎士】と呼んだ。
【災厄の騎士】は【運命の乙女】を追う。
彼女の【妖精女王の瞳】を食らい、願いをかなえるために。
だが、もしも彼女が死に、【妖精女王の瞳】が奪われれば闇の世界のバランスは大きく崩れてしまうため、日本の術者を統べる退魔組織”桜花”は、彼女に一つの呪を与えた。
命の危険に晒された時、彼女を護る退魔士を召喚する呪を……
召喚されるのは、退魔士派遣業社トリスタンと契約されし派遣退魔士たち
派遣退魔士は会社から召喚された場合、ただちに彼女を一時的保護をし【災厄の王】から護ることをあらかじめ依頼されている。
災厄の王たちとの戦いは危険な任務だが、問題はなかった。
なぜならば、彼ら派遣退魔士は、主義主張・性格は異なれど、世界最強クラスの能力者【円卓の騎士】たちなのだ。
こうして、【災厄の王】に狙われる【運命の乙女】と【円卓の騎士】の物語が紡がれることになった。
彼女の旅の先にはいったい何が待ち構えているのだろうか……