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夢の扉
夢を見た。
焦げ茶色の髪を結っている少女。
緑色の瞳の、美しい少女。
(服がやけに古めかしいな。映画にでも出てきた女優か?)
少女がこちらを向いた。
静かに微笑む。
(ああ、なんだか懐かしい、その姿。でも、一体誰だ?)
すると、少女は自分のいるこちらとは反対方向へと歩き始めた。
(待ってくれ)
追いかけようとするものの、足が思うように進まない。
(おい、聞こえないのか?そっちに行っちゃダメだ!戻ってこい!)
少女は遠くに見える大きな扉の方へと歩いて行き、距離がどんどんと離れていく。
(待ってくれ!こっちへ、俺のところへ!)
彼女の姿が小さくなり、扉を開けてから中へと消え行くのを見た。
(待て!姫さん!俺を置いていかないでくれ!)
ガバッとベッドから跳ね上がるように起きると、手を伸ばして、泣いている自分に驚き、大きく息をついた。汗をびっしょりかいている。
「なんだ、今の夢・・・」
マークは水を飲もうと、キッチンへと向かった。
番外編に入れようと思ったのですが、マーク(マルク)視点で一貫させるので、別の物語としました。