第一話 神々(マスター・パラグラフ)
かつて健全であった頃のクルミヤ
龍神の対応
神の使いとしての言葉
その主張はどうなったのか?
彼女の現在。
トロンとアマドヒの語り
幻想郷の中にある人里の中の隠れ里、幻想村。
かつて、クルミヤ・ハーン・スカーレットが健全であった頃。
幻想郷。幻想郷の賢者達がわらわらと龍神に意見申そうと、龍神の巣に飛んで群がっている。彼の龍神は面倒そうながらも、うまく対応して、龍神の案の中で納得させようとしている。
そんな中、神柱に立って対等以上の神の権威を振りかざすクルミヤの姿があった。
「龍神よ。あなたは八百万の神の一柱に過ぎないのだから、冷静になって話し合う必要がある。」
龍神が巣より降りて来るのを視て、クルミヤは神柱から降りて、龍神に威圧的に話し合おうとする。
「私は第三者の立場であるが、第二世界を任されてもいるのだから、やはり、私の案はあなた方にも受け入れてもらう必要がある。それはこの様である。」
一、幻想郷の中に幻想村を設ける事。
一、幻想郷を真事隠の里の中に造る事。
一、神主導で、あくまでも、幻想郷は自由宗教であるが、賢者も龍神も唯一神を受け入れる事。たとえ、神と名乗っていても、その神柱から降りて、拝しなくてはならない。私が神柱から降りて、龍神と賢者達と話し合いに応じる様に。あくまでも、我々の神は上方で、あなた方の神は下方でなくてはならない。
一、絶対神と相対神をすべからく受け入れる事。第二世界は第二世界の神を受け入れねばならないし、第一世界は第一世界の神を受け入れねばならない。
「なお、第一世界の神とはヤハウェ神の事である。第二世界の神とはコノへ神とヤクタ神の事である。」
堂々とした態度は人間の始祖にて、素晴らしく、歴史の分岐点を彩る様に、美しく、いと面白かった。
そしてその主張はすべて通ったのである。
彼女の威光はもはや過去のもの。
白痴と化したクルミヤをアマドヒ(アマドヒ・スカーレット)とデレッド(ア・ブラッ・デレッド)の作ったおはぎで釣ろうとするトロン(ディセン・トロン)。クルミヤは犯され、その知能を退化させ、白痴と化していた。
こわごわとトロンの手からおはぎをもらおうとするクルミヤ(クルミヤ・ハーン・スカーレット)。
おはぎのにおいに釣られておびき出されたのであろう。ちなみに、ここは幻想村、ここにはいないがイン(アト・イン)。
母と息子、かつての母は臆病なまでに小動物化し、ちょびちょびとおはぎを食べていた。
白痴に成っているクルミヤは完全に記憶が失われている訳ではなく、何となくトロンの事を覚えている。しかし、限りない第二世界の人類の過去はと言うと完全に忘却の渾沌に飲まれている。
トロンは一連のやり取り、おはぎの匂いでクルミヤを釣ってひとつずつ、確実にお菓子がなくなる様に、美幼女なるクルミヤにおはぎを食べさせつつ、神々の事に想いを巡らしていた。
彼が出会った事のある見知った神々はふたはしら。
RaラーとThothoトートであった。
トロンは神々について肯定もしないが、否定もしないとスタンスの慰めの天使であった。もちろん、地上の天使で、翼を持ち得なかったが。
美少年と美幼女の交わりの時は、いつまでも続く様に想えた。
しかし、蔑みの天使、アマドヒが迎えに来て、クルミヤは怯えて逃げてしまうのだった。
確かに、背も高く、美しいアマドヒの姿はある種のこわさをも持っていて、幼女にとっては近づき難く逃げやすい性格を持っているのだった。
「ねえさま、かあさまは怯えやすいのだから、いきなり登場しないでください。」
「ああ、まあ、母さまもいい加減慣れればいいのに。私は蔑みの天使なのだから、かあさまはやはり、敏感に反応してくれるわね。トロン、私がこわい?」
「ねえさまはひとによりけりなんじゃないでしょうか?」
「つまり、トロンにとっては許容範囲内だ、と。」
「私はサタンのふかみを目の当たりにしていますから。こわいもの知らずなんです。」
「母さまは一般人常識の範囲で動いているのかしら?能力を使ってない様だし、一般人の境界を超えると、神の様に完璧無比なこわいものにぶち当たる。過去の自分に対してすら、怯えるのかもね。」
「むしろ、過去のかあさまにねえさまが似ていたから、逃げたのでは?つまり、それが主な理由でしょう。」
「確かに私は母さま似だけれど、それはないと想いたいわね。過去の自分から逃げるのが、天使の姿なんて・・・・・・サタンじゃないのだから。」
「まあまあ。」