リオンSide かくも甘やかな にっ!
お越しいただきありがとうございます。
別角度の話って結構楽しいなぁ。と思って書いてますが、サブタイトル欄に○○サイドが続くと読み返すときにめんどくさいな……。と思う自分の葛藤があります。読む人はどう思ってるんだろう???ぜひご意見貰えると嬉しいです。
「隊長が離さないらしいぞ。」
「自分のマントでぐるぐる巻きにしてる……。」
「ありゃ相当だな。だがわからんでもない。」
「確かにあの子供いいにおいするな。」
ち。忌々しい。
第三部隊は基本的にネコ科猛獣の集まりである。編成の偏っている理由として団体行動やチームワークという行動に向いていないからだ。
命令されたことに対してそれぞれが全く違う方向からアプローチをしてくる。結果だけを見ればきちんとなすべきは行われているので上から文句はでないが……。
いつもなら点でばらばらで動いて作戦行動日すら現地集合状態にもかかわらず、今日の作戦はなぜか部隊の各班が揃っていた。
わざわざ非番にして内密に進めていたにもかかわらず。
なぜだ。
思えば何故か班長達がそわそわしていた。
まさか何か予兆でもしていたというのか?我が身を振り返ってみればいつも通り普通の作戦として通達すればいいものをなぜか極秘に進めなければならないと普段使いもしない休暇まで取るほどだった。
獣としての何かが、本能として何かが働いたのか?
そう思いながらも手にした少女に自分の匂いを付けるように、自分のマントでぐるぐる巻きにして身動きできないのをいいことに抱きかかえたし、少女が何気に伸ばした手で頭を撫でられたときは極上の心地でこの手を独占したいとすら思った。
撫でられてるのをいいことにその手首に頭をこすりつけて匂いを付けた。
マントに包まれた少女が興味深そうにあたりを見回す。キラキラとした瞳にだれもが釘付けとなり隊員たちの中にはぽかんと口を開けていたものすらいた。後で訓練追加しようとひそかに心に誓った。
帰りの馬車の中でずっと少女を膝に乗せていた。周囲をけん制するように大事に抱き込んでいたが、少女は特に不快そうにしていない姿に安心した。もしかしたら慣れない環境に戸惑って動けないだけかもしれないがこれは好機である。
馬車が動き出すと同時に騎士団長に先ぶれを走らせていたので、騎士団に戻ればすぐに対応してくれるだろう。同い年のいとこであり上司であるあの男は頼りなる。
実際戻って隊員に通常業務に戻るよう指示を出し執務室へ入り、少女の話を聞こうとするとすぐに団長がやってきた。
突然の事態だというのに泣きも騒ぎもしないその少女は、年齢特有のたどたどしさがあった。そこがなんともかわいらしいと思ったが、その割には受け答えはしっかりしているし会話の理解度を考えても知性と教養を感じる。
熱いカップをフーフーと冷ます姿が可愛くて男たちが身もだえしていることを分かってるんだろうか。
それにしてもこれだけ幼ければ家族はさぞ心配だろうと思っていると、少女は何ともないというような仕草で両親は離婚していないという。親はそれぞれ既に別に家庭を持っていて入り込む隙間がないと。
爵位のある獣人ですら政略結婚でも一度夫婦になれば情がわき大事にする。子供となれば輪をかけて慈しむ。それなのに何たる仕打ちだろうと、我々は打ちひしがれ幼い姿に沈痛な面持ちだ。
だからだろう。帰りたいとは思っていないという。ならば自分が引き取って何が悪い。そう思ったのにまさかの団長が名乗りを上げた。
確かに育てる環境としては文句のつけようもない。だがここで取り上げられてしまうともう会えなくなる気がする。それは俺だけの思いではなかったらしく、部下たちと目で会話をし共闘してなんと彼女の身柄は騎士団預かりとしたのだった。
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次回!本編に続く!