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霧島、木陰でモフる

お越しいただきありがとうございます。

だいぶ更新が遅れてしまいまして申し訳ないです。春は気鬱な時期で本当に困る……。薬付か!?ってなりますが、ぼちぼちがんばります。


ブックマーク・評価・ありがとうございます!

ブックマーク250・PV50000達成しました!

皆さんのおかげでがんばれます!本当にありがとうございます。

 「なぁ、最近リオンどうしちゃったの?」


 午後の訓練場の隅っこの木陰で私はラパンさんとくつろいでいた。


 最近どうしたことか、どこに行くにも私を抱き上げていた我らが隊長リオンさんは、とうとう訓練開始前の演説でも私を片腕に乗せたままだった。


 食堂で見慣れていた面々すらこの行動に目を白黒させていたし、なんなら他の部隊から見学者がやってきて遠慮なしに指まで刺される。


 どんな公開処刑だこれぇぇぇぇえ!!


 そんな私の羞恥はちょっとご機嫌斜めなお嬢さん。位で受け流されているのも納得いかない。


 更に奇行は続き、隊員さんと手合わせを申し込まれたときにはあっさり頷いたので「やっと開放か!」と喜んだのも束の間。


 きょろきょろと周囲を確認したかと思えばグラウンドみたいな広い敷地の端っこにあるロープを手に取り、私を背中にくくりつけ用とするではないか。


 と、いうかよくあんな端から端で見つけられましたねロープ。


 しかし、それを見た壮年の隊員さんがそれでは苦しいし痛いだろうと予備に持ってる柔らかい帯を介してくれた結果、赤ん坊のようにおんぶして固定された。


 ありがたいやら迷惑やら……。


 そんなわけで隊員さん相手にぶんぶんやってた結果、遠心力の犠牲者となった私は小さな体も相まって3割増しくらいで振り回された。


 どうにか胃袋バックギアは防げた。ものの、もう無理。と意識を手放す直前でラパンさんに救出されたのである。


 そんな奇行続きのリオンさんに呆れたラパンさんに身柄を確保され、木陰で休憩タイムである。


 「あーあ。あんなにこっち睨んじゃってまぁ。何があったんだかねぇ。」


 「さぁ?ねつだしちゃってからずっとこんなです。」


 「前は昼間はネージュのとこにいなかったっけ?そろそろ眠くならない?」


 「そうなんですけど……。はなれて?はなして?くれないのでおちおちねれないといいますか。あ、でもいどうじかんはねてます。うまのうえとか。」


 「まって、ねぇ、まって。まさか街の警備巡回にも君連れ回されてるの?」


 「そうですね。」


 「えぇぇぇ。」


 アニメ映画に出てくるキング・カ○マのごとき真っ白なうさぎのラパンさんは長い耳をこしこししながらジト目で隊員を薙ぎ払う男を睨む。


 「ちなみにおぼれるというりゆうからおふろもいっしょですし、さみしいだろうといってねるときもいっしょです。」


 まぁ、私は寝てないけど。


 「はぁ!?ちょっと、それ子供相手になに考えてんだよ。それじゃまるで……。」


 なにやらぶつぶつ言っていたが私の視線はその長いおみみに夢中である。


 「そんなことよりラパンさん。」


 「そんなことって……。」


 真っ赤な瞳でこちらを見るが私の意識はもう別のところである。


 「ところでじゅうじんのみなさんはじゅうかできないんですか?みたことないんですが……。」


 「あぁ、作戦のときはなったりもするよ?でも普段はあんまりしないかなぁ。」


 「そうなんですか?」


 「小型の獣人ほどそういうのは危機意識が強いから、特にね。ネコ科の連中はその辺でも獣化して昼寝したりするけど大体が屋根の上とか木の上だから見かけないかもね。」


 「ラパンさんでもあぶないんですか?」


 「え?おれ?……俺は獣化すると逆に幅取って邪魔になるんだよ。」


 「はば……。ということはジャイアントうさぎですか?」


 うさぎにもいろんな種類がいるが、大きいうさぎの代表はこれだろう。


 5歳児身長の私でジャイアントうさぎなんて抱き上げたらびろ〜んと伸びて私より大きいかもしれない。


 「お、よく知ってるな。」


 だが……。モフりたい私の欲求は止まらないのだ。


 「もふもふしたらだめですか……?」


 子供特有の小さなおててをもじもじさせ、視線は足元からゆっくりと上に移動させる。しかし顎は上げてはいけない。あくまでも伺うように自信がないように……。大きなお目々を一度横に流してからもう一度視線を合わせればあざとかわいい幼女の完成である。


 「お、おま、ちょっ!」


 「うさぎさん……なでなでしたらだめ……かなぁ?」


 「それ、ずる〜〜〜っぁあ!もう!」


 半ばやけのような声がした。


 勝った。にやり。


 兄弟が多くて面倒見のいいラパンさんならきっと有効だと思ったんだよねぇ。


 バフン!と大きな弾けた音と同時に視界っぱいに広がる真っ白な毛皮。


 え?え?


 「おかおどこ……?」


 「こっちだこっち。」


 いつもと変わらぬ声をたどると、私の頭くらいは大きい赤の瞳がじっとこちらを見つめている。


 「おっきいね……。」


 「ジャイアントだからな。」


 もはやキングでいいのでは?


 ずいっとよってきた鼻先に思わず飛びつく。これはあれだ!お隣の森に住むト○ロだ!


 色が白いけど!


 「こら、鼻塞いだら死んじゃうだろ。」


 「うざぎさんはせんさいだもんね。」


 さびしいと死んじゃうんだっけ?


 「や、どんな生き物も窒息したら死ぬからな?」


 「さわってもいい?」


 「……優しくしてね。」


 そぉっと顔の横に手を伸ばせば、もみじのようなそれは大して長くない毛に埋もれてしまう。


 「やわらかい。すべすべする。」


 「自慢の毛皮だからな。」


 聞けば毛皮の綺麗さはいい男の最低条件らしい。


 「しんぼうたまらん!」


 どこかのおっさんよろしく、ジャンピングダイブで横っ腹に飛びつくと顔面を擦り付ける。


 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすり


 「もふもふー。」


 「なんだぁ?そんなに俺が好きかぁ?」


 「すぅきぃ〜ずっとこうしてたい!」


 「はは!俺愛されてるぅ。」


 機嫌をよくしたラパンさんがコロンと体を動かして伏せの状態から顔を寄せて丸まってくれたことで全身もふもふに包んでくれる。


 最高だ。最高すぎる!


 このまま死にたい!モフ死!有りだ!


 「ないから……。」


 「あれ?」


 「全部声に出てるからね。」


 くっ!この素直なお口め!


 「弟妹たちだってこんなに喜んでくれたことはないからなぁ。そんなにいいかぁ。」


 「ラパンさんはおひさまの匂いがするね……。」


 胸いっぱいにその匂いを吸い込んでぎゅうっと抱込む。


 癒やされる。


 いいなこれ。ラパンさんセラピー。


 いい匂いに温かい毛皮。木陰とそよ風。


 縁側に干した布団を思い出してなんだか泣きたい気持ちになってくる。


 だんだんと瞼が重くなってきた。


 うとうとうとうとうとうとうとうとうと


 

 ご覧いただきありがとございます!


 早くこのシーン書きたかった!!

 更新日に更新間に合わなかったのでゲリラ更新です!ごめんなさい!!


見放さずにお付き合いいただけると嬉しいです。


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