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霧島、りんごを食べるって

いらっしゃいませっ!!


今週は間に合ったよぉぉ〜〜〜!

お待たせしました!(や、待ってくださる方がいたら嬉しいです!)

イズナは今日も絶好調です!……たぶん

 体が重い。


 ぼんやりとした頭に重たい瞼。


 何時だろう?そろそろ起きなきゃ。


 そんなことを思っていたら遠くで誰かが話す……怒鳴る?声が聞こえた。


 「だから連れて帰ると言っているだろう!」


 「熱があるのに動かしてどうする!?大体宿舎では世話をする者もままならないだろうが!」


 「世話なら俺とネージュやアルタがいる!見知らぬものに囲まれてこれ以上負担になったらどうするんだ!」


 「一月もともにいるのに子供に弱音すら吐かすことのできぬやつがそれをいうか!」


 ガゥガウと吠える声と重なって、ライオンってこんなふうに吠えるんだなぁって思ったら何故か悲しくもないのに涙が溢れた。


 「イズナ!?」


 思ったよりも近くで聞こえる高い声にまぶたを開こうとして……失敗した。息も苦しいのに喉の奥がぎゅっと締まる。


 温かなフワフワが頬に触れる。


 「苦しいの?さびしいの?だいじょうぶ、僕がいるよ。さびしくないよ。」


 思いの外グリグリとほっぺを擦られる。


 痛い、ふわふわだけと案外痛いよ!力加減忘れてますよっ!言葉だけ聞けばちびっこやるなって思うけどこの痛みで減点だよっ!


 意識は働いていても体が動かないし、大丈夫だよって声を掛けたいのに喉は動いてくれないし口の中は妙に乾いて言葉も出ない。


 抗議の証としてぐぐっと眉間にシワを寄せるのがせいいっぱいである。


 「レーヴェ、そんなに強くしたらイズナが痛そうだ。」


 大人の声がしてぐりぐり攻撃がやんだ。


 ありがとう!


 かわりにちょっと硬めのもふもふに両頬を包まれた。ただ添えられただけのそれが気持ちよくて体の力を抜いて身を任せる。


 目尻を優しく撫でられて追いかけるように首をひねると、もふもふのそれが離れていってしまう。


 「おいて……いか、ないで……。」


 ちゃんと声に出ていたかどうかもわからない。


 でも首の後ろに柔らかいものが当たって、布団がめくられたんだろう。触れる空気が冷たくて気持ちがいい。


 誰かに抱きあげられたことはわかったんだけど、そこからはどうなったかわからない。


 とにかくこの柔らかい手に置いていかれないように何かを掴むので精一杯で、耳元で誰かが置いていかない大丈夫って声がしたら安心してまたまどろみの中に身を預けた。


 どれくらい寝てたんだろうなぁ〜。なんか夢を見た気がするけど……なんだっけ?


 自分でもびっくりするくらい気持ちよく寝ちゃったよ。もう体スッキリ。今までの寝不足なんだったのって思わないとやってられない。


 なんでって。


 ここにね。


 今目の前にね。


 真っ黒な毛皮のライオンさんが寝てるんだよ。


 顔をよく見ようと思ってちょっと上を見上げると逆三角の鼻があって、その向こうで丸いお耳がぴくぴくクルって動いた。


 「おみみかわいい。」


 あ、素直なお口がだだ漏れじゃないか。


 寝てるからセーフか?


 って、思ったんだけど丸いお耳がピクピクからじぃっとこちらに向いてなにか音を拾うぞぉって気合を感じる。


 思わずこちらもうかつなことは言わないぞぉ〜って耳から視線を外さずに負けじと見つめてみる。


 すると、もふっとしたものに視界を塞がれた。


 「あれ?ん?」


 「イズナ、あまり見つめられると耳が3つに増えそうだ。」


 それは穴が開くって言いたいのかな?2つのお耳で可愛いんだから3つに増えたら可愛さマシマシでいいと思う!って、いきなり真ん中にもう一個耳生えたら怖いか。


 「おみみみっつあったらよくきこえて、かわいいのがふえてりょうとくだとおもうよ。」


 あ、素直なお口め。もう少し慎みをだな……。


 「はは、そうか。可愛いなんて子供の頃以来だな。……子どものときもない……か?」


 私に聞かれましても……。


 「顔色が落ち着いたな。熱も良さそうだ。気分はどうだ?痛いところはないか?」


 黒獅子のイケメン獣人は心遣いもイケメンか。今流行のなろう小説のヒーローか!日本人じゃ無理ですよ。


 「気分は大丈夫です。痛いところも……今のところないです。」


 ゆっくりと手が離されてふと気づく。


 「はこんでくれたのリオンさまだったんですね。ありがとうございます。」


 「小さな手が可愛くて、手放しそびれていまった。すまない。」


 なにがすまないなのかさっぱりわからないが……手?て、てぇぇぇ?!


 「ふぁぁ!おようふくにぎったままだ!ごめんなさい!」


 今日もお口は素直です。次いでに幼いお手ではもっと素直でガッチリ握ったまま離れません。


 おかしいな。


 「ねているあいだにちからのぬきかたわすれたのかな?てがはなれないや。」


 ポカンと言ってしまったあとに気づく。


 素直なお口ぃぃ!!何でもいいすぎじゃないですか?!


 おまけに私もいるぜって言わんばかりに主張するやつがいる。


 くぅ


 「くくっ、こどもはそれくらいで丁度いい。なにか食べるか?果物ならすぐ剥いてやれるぞ。」


 「じゃぁ、リンゴがいいです。」


 「林檎だな。」


 いうが早いか、リオンさまは私を抱えたまま上体を起こしてあぐらをかきその中にすっぽりと私を横向きに収めると膝でその背を支え、サイドボードに乗せてある果物籠から赤い果実を取る。


 見たところナイフは見当たらない。


 どうするんだろうって見てたら籠のそばに置かれた布巾で林檎と自身の手を拭いて付近を戻すと、両手でりんごを持つ。


 シャク


 「ふぁ?!」


 リオンさますごっ!獣人スゴっ!


 素手!素手でりんごが2つになりました!そして半分になったりんごの片方をさらに2つに!


 そんな力技最近は漫画でも見ませんよ!


 それから爪で小さく削いで人差し指?の横に乗せるとそっと唇に寄せてくれる。


 空腹のお腹を前に出されたら食べるよね。それはもう反射運動だよ!


 あー。と開けたお口にコロンと入ってきたりんごは瑞々しくて、シャクシャク食べる。


 思わずおいちーって口の代わりに体が表現したかったのか両手の指先でアゴのあたりをペチペチしてしまう。


 今お口は忙しいのですよ。


 ごくんと飲み込んでまたあー、と口を開けると次を口に入れてくれる。


 もぐもぐしながら見上げると金の瞳が柔らかく細められる。


 あ〜。イケもふがイケもふすぎて……!


 お口が忙しくてよかったよ〜〜〜!


 そう思いながら食べては放り込まれるりんごを食べ続けた。


ご覧いただきありがとうございます!


いつも素直なお口のイズナちゃんです。そろそろちゃんと寝れるようにしてあげたいなぁって思います。


次回お楽しみに!

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