とある女性騎士の徒然
お越しいただきありがとうございます!
誤字報告をいただきありがとうございます!!本当にありがたいです。なんせ本人あまり読み返さないのでミスに気づいてないだめっぷりなのです。
どうぞこれからもお助けくださいw
その方は突然現れました。
思えば、3番隊はかなり自由な部隊であるにも関わらず、その日だけはなぜか全員集合し移動用の荷馬車へきっちり乗り込んでいました。
その作戦が隊長たちによる極秘作戦だったにも関わらず。
かくいう私自身もなにかに急かされるように気がついたら集まっていた。としか言いようがなく。
何をするのかもわからないままついた神殿の封鎖作業にあたっておりました。
しばらくすると隊長がマントに包んだ何かを大事そうに抱えて出てこられました。
そのマントからは果物よりも瑞々しく、花よりも甘やかななんとも形容しがたい初めての香りがしました。
それは私だけに感じる匂いではなかったようで隊員全ての視線がその塊に集中していました。
後日の会議であれは違法儀式により異世界から200年ぶりに召喚された少女だと伝達されました。
同時にその身は王族に準ずる扱いとなること、3番隊が全面的に保護し警護することが伝えられ、少女・イズナ様を3人一組の持ち回りで警護することになりました。
そして、今日はまちに待ったわたしの警護当番がやってきました。組むのは気心しれた同期ですのでこれほどやりやすい仕事もないでしょう。
聞けば本日は王弟団長閣下の奥方さまとのお茶会とのことで昼食もそこそこに移動となり、何事も問題なく無事に離宮へ到着しました。
王弟妃さまとの和やかな茶会であったはずなのですが、なぜ私はこのような自体になっているのでしょう。
背格好のよく似た侍女殿と制服を交換し、普段なら身に纏うことのないひらりと裾の長い紫紺のお仕着せはひと目で上級侍女だとわかる代物です。
普段は男性と同じ制服でホコリまみれで訓練している身です。そんな格好だけでも十分恥ずかしいというのに、なんとイズナさまは制服を取り替えた私達にあるセリフを言うようにと支持されました。
それも、相手はこれまで苦楽をともにし、軽口を叩き合い、酒場で酔いつぶれれば互いに介抱し合うような同期に向かって。
「ご主人さま、御用はございませんでしょうか。」
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。誰か私を埋めてください。あまりの恥ずかしさに動悸がします。剣も外しているので不安でしょうかそわそわして行き場を失った手を前で組んでみましたがそれでもなかなか視線が上げれません。
しばらくして、ようやく満足したらしい皆さんの許可を得てもとの制服に着替えたものの。同僚の視線は私に向いたままです。
やめてください。仕事中です。集中してください。見る相手が違いますよ。や、本当に。
それからしばらくはぎくしゃくしていたのですが、後日イズナ様がカタログができたのでお詫びに一つあげるね。と、なんとも可愛らしい仕草で一冊の本をくださいました。
その本は王弟妃さまとその周辺侍女監修の空想制服カタログだそうで、もはや職業と関連ないようなものや聞き慣れない職業の制服までありました。隣国の騎士隊の制服に似てるものがあるなぁ、なんていうのは黙っておきましょう。
そんなカタログの中になぜか町娘セレクションなるページがありました。
普段は制服と訓練服ばかりでおしゃれなどとんと無知な私にはちょうどよいと試しに注文をしたものが届きましたので休日くらいは……と半ば言い訳がましく着てみたのですが。
女性らしい私服など久々過ぎて違和感があります。
これは封印でしょうかねぇ。などと思いながら息抜きにお茶を飲んでいたところ自室のドアがノックされました。あの歩き方とノックは同僚でしょう。
つい、いつもの調子で「開いている」と背中越しに返事をすると、これまたいつものように入ってきた男が何故か息を呑む気配がしました。
「ん?どうした……。」
「あ、や。その。」
「今日は非番だろう?わざわざこんなとこにどうした?」
「あー。や!この前の服も可愛かったが今日の服もとても可愛いと思って。んで、せっかくの可愛いついでにこれも着てもらえたら嬉しいんだが。」
「へ?」
聞き慣れない言葉の連続に頭がついていかず、言われた言葉を反芻してみました。
……どうかしてるのは私の方だったァァァァァ!!
慌てて身を隠そうとしたものの、簡素な備えしかない狭い量の個室にはそんなスペースもなく、わたわたしてる間に散歩で距離を詰められて、腕の中に包を渡されました。
あっけに取られている間に男は私の首に頭をこすりつけたかと思うと耳元で「せっかくだから今度着て見せて」と囁いていなくなりました。
「えっと……?」
呆然と開いた戸を見つめていると再び足音がしました。
「あー先越された。まぁ、いいか。ちょっと入るよ?」
「あ、うん。」
ほぼ条件反射で返事をすれば先程とは違う同期の男。
「お、今日はまたいつになくめかしこんでない?そういうのも似合っていいね!」
「あ、あり、がとう……どうしたの?」
「あー。あのね、どうもこの前から避けられてるような気がして何か悪いことしたかなって。それで、お詫びというか、なんというか。」
「そんなつもりはなかったんだけど……。」
嘘です。先日の制服事件のせいですっかり気まずくて避けまくってました。私のほうがごめんなさい。
「まぁお詫びってのは建前で、この前のもとても似合ってたから良かったらこれも着てほしいなって思って。」
言葉と同時に渡された包。さっき渡されたものと同じ店の包装です。偶然でしょうか。私が今日着ている服も同じ包で届いたのですよ。
「だから、お願いだから避けないで、これでも結構こたえてるんだ。」
さり気なく私の方に額を載せてつぶやかれました。近い。近いです。いつの間にこんな事覚えたんですか。ドサクサに紛れて二人ともなんで匂いつけのような事するんでしょうかね。
動けずにいると頭の上で小さなリップ音がして、いつの間にか気配ごといなくなってました。
「え?……モテ期?」
んな馬鹿な。
ちなみにもらったものは案の定例のカタログに記載のある制服で医務補佐官の白を貴重にしたフリルの可愛らしい制服と公共馬車の専属補助員なる紺色のマーメイドスカートが印象的な制服でした。
こんなのどこで着ろっちゅうねんっ!!
ご覧いただきありがとうございます。
名も無きこの女性騎士はカラカルの獣人さんです。くるんと巻いたお耳が特徴的で可愛いですよね。
ネコ科もイヌ科も猛禽類も大好きです。
ほかのシリーズもそうなのですが、毎回挿絵をつけたいなぁと思いつつも、別サイトさんの容量?の問題なのか追加表示ができませんので設定や関連イラストをツイッターにて公開しております。よろしければそちらにも遊びに来ていただければ嬉しいです。 @RISEmakino_iras https://twitter.com/RISEmakino_iras?s=09
ブックマーク・評価をいただけるとたいへん嬉しいです。よろしくお願いします。




