ネージュSide にっ!
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あれからもイズナは夜眠れていないようで、夜中に部屋で作業して昼に私の執務室で昼寝をすることでなんとかやっていました。
そのことを周囲に気づかれたくないと彼女は気丈にしていますが幼い体は睡眠を求めるものだがそれ以上に小さな体にかかる負担は大きいのでしょう。
可哀想に……あのヘビ共もう少しキツく尋問しておけばよかった。などと私情に走りたくなるのは仕方ないと思います。
そんな中、すっかり定位置になった執務室の応接テーブルでかきあげた用紙を数枚纏めてトントンと揃えたイズナはしばらくコチラの様子を伺ったあと私のそばにやってきました。
とてとて歩く姿に癒やされます。
「どうしましたか?」
「ていあんしょができました。おてすきのときに見ていただけませんか?」
両手で差し出されたので、その両脇にするりと手を入れてイズナごと抱き上げるとソファに移動して腰を落ち着けた。
もはや半ば日課になりつつある寝かしつけをするようにポンポンとイズナの背を一定のリズムで叩く。
一枚目は受け付けから観覧席まで区切るという提案書で、その有用性とそれに伴う必要なものが記載されていた。
二枚目からは配布する用紙の原案だという。
文字と絵が不規則な枠の中に収まっているものには衝撃を受けた。
「この記載方法はイズナの発案ですか?」
「わたしのはつあんというか、わたしのせかいでかかれていたしょもつのしるしかたのいっしゅです。マンガといいます。これならこどもからおとなまでよみやすいしきょうみをひかれますから……。」
「全てイズナがかいたんですか?」
「はい。こういうのはとくいというか。」
「これはいいですね。文章も簡潔なのに丁寧ですし絵があるから理解しやすい。ちなみに3枚目の推しとは……?」
「推しはおうえんしたいひとのことです。たとえばわたしがネージュさんをかげながらおうえんしたとします。」
「別に影に隠れる必要はありませんよ?」
「それでネージュさんせんようカラーのこものやいしょうをみにつけてことばにできなかったりはずかしくてちょくせつつげられなくてもあいてにいしがつたわります。」
「イズナならどんどん近づいてほしいですがね……。」
「おうえんされているひともじぶんをみとめてもらえるようでうれしいでしょうし、やりがいになります。それにみにきているほかのひととおなじおしになればどうしができるしごかぞくもうれしいとおもうんです。」
「相乗効果がすごいですね。」
やりがいなんて個人が自分で見つけるものだろうとしか思っていなかった。
「きしのみなさんがこれまでいじょうにがんばれるならこくみんはこれまでいじょうにまもられてきしのにんきもおうしつのにんきもたかまります。」
ゆらゆらと揺れる頭を支える。
どうやら眠気に襲われているらしく喋りが少したどたどしい。
「なぜそこまで?あなたにはどうでもいい話だったのではありませんか?」
「あそこはくらくてせまくてさむくてこわかったから、たすけてもらってうれしかったからなにかおかえしがしたかったし、ただでせいかつさせてもらうのはもうしわけないから……。」
長文を喋ってはいるがかなり力が抜けている。
「でも、よさんかかるからちゃんときょか、もらわないと、めいわくかけちゃう、し、だんちょうさんのかぞくにきょうりょくしてもらって、たいけんしてもらって、よさんもらって、でも、ぐっずつくるおかねないから……えっと……なんだっけ……?」
どうやら思考はそろそろ限界のようだ。
「お金の心配などいりませんよ。私が保証しますから。」
「ぽけっ、とまねーはだめ、なの……」
「ぽけ?」
「こうしこんどうは、おかね、だめ」
こてんと肩にかかった重みが心地良い。思わず小さな頭を撫でる。
どうやら寝入ってしまったらしい。
小さな寝息がかわいい。
「グッズ……?ああ、ここの項目のことですね。リボンと扇子とうちわ……うちわとはなんでしょうか?これがリボンの絵でこっちが扇子。ということはこの丸にぼうのついたのがうちわですね。メッセージを書くもののようですが……。」
とにかくこの提案書は面白い。そろそろ団長へイズナの定期報告をしなければならないから丁度いいだろう。
せっかく眠ったイズナを起こさないように気をつけてそっと立ち上がり散歩がてら団長執務室に向かった。
どうも団長は書類が溜まっていたようであちこちの隊に書類決済を迫られていたらしい。
「お忙しそうなので出直します。」
見なかったことにしよう。と、扉を閉めようとすると団長がこれ幸いと飛びついてきた。
片手にイズナを抱いていたのもあるのだろうが室内にいたほかの隊員の視線が集まる。
すでに隊長会議でイズナの存在は報告されていて王族に次ぐ護衛対象だと通達されていたのでなおさら気になるのだろう。
イズナの制作した提案書とマンガと呼ばれたものを広げて説明をするとかなり気に入っていた。
団長が好感触なのは予想できていたが、これらの書類にほかの隊の連中までもがおもしろいと喜んでいた。
早速奥方にグッズのお試しとやらを頼もう。と団長が立ち上がり、どこにいくのか問いかけたらそろそろ奥方様がお茶の時間だから突撃しようといたずらっ子のように言う。ついでにお前もついてこい!と意気揚々執務室を飛び出した。
サボりたかったんだな。とはあえて黙っていた。
団長の言ったとおり奥方様はお子様たちとお茶の時間で急に訪れたというのに嫌な顔一つせず迎えてくださった。
見せた書類に目を丸くしてキラキラかがやかせてはまぁまぁと声を上げて楽しそうだった。
「それは素敵ですわ。あなた達もそう思いません?」
奥方が侍女に話を振れば控えていた彼女らは一斉にいい笑顔となった。女性はこういうのが好きらしい。
大人の話につまらなくなったのか団長の二人の息子は私の腕で寝ているイズナに注がれていた。
「父上このこがお話にきいた異世界のかたですか?」
「しっぽがない……。」
ちょうど話がうちわにうつってこればかりはイズナに聞かねばわからなかった。
「に、してもよく寝てるな。いつからねてるんだ?」
「あら、子供はよく寝るものですわ。」
団長と奥方の言葉にため息を殺した。
「団長、その件ですが。イズナは救出されて気を失った後からは夜に寝れていないようです。」
「は?」
「ベッドに入っても眠れないと、夜中はずっと起きているようです。かわりにこうして昼に寝ていますがそれでも長くて一時間程度しかねません。」
「それは……。」
「環境の変化に心と体がついていけないようです。」
「まぁ、かわいそうに。」
奥方は口元を抑えて痛ましそうにイズナを見た。
「家族はいないと言っていたな。なら人ではなく環境か?」
「どうでしょう?本人もよくわかっていないようですし、しばらくは見守るしかないかと。できるだけ女性騎士についてもらうようにしてはいますが。」
「父上?家族がいないなら我が家に住んではいけないのですか?僕遊び相手になってあげます。」
「ぼくおやつわけてあげる。」
「あらあら。」
「そうしてやりたいが、それは本人に聞いてみなけりゃな。勝手に決めて住処を変えられたら可哀そうだろ?」
「だ、大事にします!寂しくないように絵本も呼んであげるし一緒に寝てあげます!」
ち。いっぱしにオスの顔しているとは生意気な。子供らの視線を遮るように抱きこむと奥方と団長がニヤニヤした。
「俺と本人の前に説得しなけりゃならんやつが多そうだな。」
「それは誰ですか?」
すると子供らの声に反応したのかイズナがもぞもぞと動き出した。
「おきましたね。」
「お、丁度いいな。」
「イズナ?」
「ん〜。はひ。」
ぐしぐしと目をこすろうとするのでその手を遮って口に紅茶のカップを当てるとこくこくと条件反射で飲んでくれる姿は可愛い
思わずにこにこと子どもたちを見ると絶句された。なんなら団長夫妻には呆れられた。
「おま、いくらなんでも大人気なくないか?」
「あれ?だんちょうさまのこえ?」
「よう、イズナ調子はどうだ?」
わざと明るく聞いたのだろう朝より顔色がマシになったがそれでもやはり気分が悪そうだ。
そんなイズナにあえて明るく尋ねる団長はさすがだろう。そんな意図を寝起きのイズナは気づかないようでだいじょうぶですとたどたどしく答えた。
思わずその唇っにクッキーを当てるとかじかじと食べる姿は小動物より愛らしい。
「あらあら。」
「こ、こちらも美味しいですよ!」
真っ赤になった長男がイズナに別の菓子を差し出す。困惑した表情でちらりとこっちを見たが目の前に出された菓子が下げられることも止められることもないので遠慮がちに食べ始めた。
なお次男の方は身長が届かず食べさせるのは断念したらしい。
「まぁ、まぁ。」
これ以上は可哀そうなので現状を説明する。それに対して我々がよくわからなかったグッズについて教えてくれた。
この説明に食いついたのは女性陣で扇子やリボンのほかにハンカチーフについて盛り上がった。
それから各隊と班で色の割当をしようとなった。隊は制服色にして班ごとに一班は赤系、二班は青系とか。なぜ系なのかといえば隊服によっては合わない色があることと……。
「あえていろをかえていればかかわるしょくにんのしごとがふえてけいざいがまわります。」
幼子のその言葉に大人たちは息を呑んだ。
その発言に何かを感じたのか、なんと侍女が色見本まで持ち出したときには残業の覚悟を決めたが、イズナが無邪気にはしゃぐ姿に安心した自分もいたのだった。
ご覧いただきありがとうございます。
よのなかがそわそわしているのに全く反映されてないストーリーで申し訳ないです。
季節無視で頑張りますww




