名も無き班長のつぶやき
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1月もも終わりますね!はっやー!この感じで一年すぎるんだろうなぁと思う今日この頃です。
今日は半年に一度の訓練公開日である。
隊の訓練公開は毎月あるがそこに参加するのは班ごとの持ち回りになので、6班ある3番隊は半年に一度その登板が回ってくるが、毎度観覧席で騒ぎが起こる。何なら騎士以上の白熱戦が勃発するから困ったものだ。
しかし今回は何か新しい試みがあるらしい。
先日隊で踏み込んだ神殿で保護された少女が発案してくれたらしい。騎士に配布する用紙を事前にチェックして驚いた。
まずは受付や観覧席を区切ること。毎度のことながら受付から揉めごとが起きるのでほかの班を動員し警備したりと余計な手がかかる。
はっきりって公開いらなくね?って思いもするが王いわく開かれた政治に安心できる国造りの一環なんだとか。
……難しいことはわからんが。
そんなわけでこの公開はなくなる予定はないらしい。
なので受付から観覧席まで区切ることでなにか利点があるのかと思ったがこれが良かった。
なんせ今日は観覧席が静かだった。混合席はだいぶ温度が低かったようだが目立ったトラブルにはなってないらしい。
おかげで仕事が減ったと6班が面食らっていた。
それに訓練後の更衣室で配られた……ふぁんれたー?にむさ苦しい男たちの頬が緩んでいた。
見知らぬ相手とはいえ『いつもありがとうございます。頑張ってください。』などと言われたら明日もがんばろうと思えるものだ。
中には家族の思わぬ本音を聞けて喜ぶものもいた。実家が鍛冶屋の親父から騎士を反対されていた者が「お前の仕事が誇らしい」と書かれた紙に字が汚いと文句を言いつつもその目に涙が滲んだのを周囲も微笑ましく見たものだ。
一様にみな足取り軽く仕事に戻っていった。
宿舎の入り口付近にある談話コーナーの一角に箱が並べてある。おそらく差し入れだろう。その横で雁首揃える3つの頭がヒソヒソ話しているのでそっと近づいてみる。
「何してるんだお前ら?」
「あ、班長……その、これ。」
そういって差し出されたのはファンレターと隊のシンボルカラーのハンカチーフだった。
「ファンレターとハンカチーフか。よかったじゃないか。」
けが人の対処で使うこともあるので清潔なハンカチーフを持ち歩けというのに聞かんやつがいるのでこの差し入れは素直にありがたかった。
で、何が問題なんだ?
「それが、自分たちは地方の出身で家族も来ませんし、街に知人もいませんので手紙も差し入れもないと思ってたんですが。」
言われてみれば確かに。この三人に限らず地方出身者は早々家族は見にこれない。若くて見習いに近いほど馴染みの商売女もいないから今日もらえる相手なんていないだろう。
「そういえば名前を呼ばれていないやつはいなかったな……。」
見せられたそれをみれば差出人は皆同じだ。
「助けていただきありがとうございました。これからのご活躍を楽しみにしております。イズナ……あの少女か。」
ハンカチにはそれぞれ猫のモチーフや肉球とそれぞれの名前が班の色で刺繍されていた。
「どうやらほかの地方出身者ももらっているようです。」
「は?」
「それに全員同じじゃなくて刺繍や文面に微妙に内容もさがあります。」
まてまてまて。うちの班、地方出身者何人いたっけ?
たしかにこれだけ盛り上がれば誰にももらえないものは寂しいというか切ないというか酸っぱいというか……まぁ、いろんな思いが去来するだろう。
そんなやつにまで気を配ったのだろうかまさかその人数すべて自分で刺したのか?
まじか。
ご覧いただきありがとうございます。
手紙もプレゼントも渡す側ももらう側も嬉しいものですよね。ってわけで牧野も喜びます!ぜひ感想をください(コラコラ)
もうすぐバレンタインですね!個人的にはもうお歳暮と同じかなとも思いつつ!




