第一話 懐かしの故郷
不定期で頑張ります。
彼はにげていた。必死になって逃げていた。
あの姿を脳裏に思いだすと恐怖がよみがえる。だが、もう一つの感情が彼の中を渦巻いていた。
それは、喜び。あれほど、強い存在と戦えたことに対する喜び。
彼は戦いたいが勝てないことをしっている。
だから、彼は必死になって逃げた。
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懐かしいこの街の景色。あぁ、ついに帰った来たんだ!
心の中で村山健司はそう叫んだ。
というのも健司が中学二年生の時、両親が離婚した。健司は父とともにこの街から去っていったのだった。
しかし、大学入学を期にこの街に帰ってきた。
「けんじ?」
声のした方を向くとそこには見覚えのあるような男が立っていた。
「健司じゃないか⁉︎」
「えっと。誰?」
なんだ?こと男は。
「俺だよ!俺!」
いやオレオレ詐欺かよ。
「裕司だよ!」
「ゆうじ?あっ?!あの裕司か!」
「そ。あの裕司」
この男、道永裕司は、健司と少年時代を共にした友人である。
「いやぁ~、ひさしぶりだな!。それにしてもまだこの街の残っていたなんて驚いたよ」
「当たり前じゃないか。この街にはまだまだやることがあるんだよ」
裕司は一瞬暗い顔をしたがすぐな戻った。
「そうだ、健司。久々にあれあれいこうぜ!」
「あれ?」
大体想像はついてるが一応聞いてみた。
「のぞきだよ。のぞき」
裕司の言うのぞきとは、近くの高校の剣道部の女子更衣室に小さな穴が空いている。
その穴によくいっしょに見に行っていた。
変態コンビなんて呼ばれてたっけ?
「久々に再開してなんでのぞきなんだよ」
「だって好きだろ?のぞき」
「僕はもうそういうのやめたんだよ」
嘘である。ただ、昔とは変わったんだ。ということをアピールしたくてこう言ったのだ。
「まあいいや。ちょっとついてきてくれよ。あの約束を果たすために」
健司は一瞬動揺した表情を見せたが素直に応じた。
「あぁ。わかった。行こう」
裕司に向いていくと、銀のワゴン車が目に入った。
そして、健司は意識に失った。