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5、大和の悩み


「菖蒲は学校楽しそうだな。」


「え、急にどうしたの?」


2学期になってくじ引きで席替えをしても大和が隣なのは変わらず何となく仲良くなった。2時間目終わりの休み時間に話しかけられた。


「いやなんか、他の奴よりいきいきしてる風に見えるから。」


「うーんそう?」


「ああ、見えるな。」


「うーんでもそうかも、楽しいよ。そうだね今とても楽しいね。友達と遊ぶのも勉強するのも楽しいし、言われてみれば確かに全部楽しい!」


「何がそんなに楽しいんだ?ガキと一緒に遊んであの薄ら笑いの担任の話を延々聞いて何が楽しい?」


お前もガキだろ!と思ったけど、とっても真剣なようなのでちゃんと答えてあげよう。


「うーん。人の話を聞くことは結構楽しいし発見も多いよ。自分と違えば違う程勉強になる。小学生の6年間なんてあっという間に終わるよ。すぐに中学生になるからね。だから今小学生を全力で楽しんでる!小学生のうちにできる事は全てやっておかないと今度は後悔しないように!」


「今度は?」


あ、やっべぇぞ。笑って誤魔化す。


「あはははは。大和もとりあえず今のうちにしかできない事をやっておけばいいよ。」


「お前やっぱり変わってるよな。」


「なんだと。変わってないよめちゃくちゃ普通!じゃあ逆に、大和は何をしてる時が楽しいの?」


「楽しい事か。うーん釣り?」


「いいね!いいね!じゃあ釣りをたくさんすればいい!」


「釣りを?」


「うん!それから少しずつ知識をひろげればいいし、飽きたらやめちゃって他の事をすればいい、また時が経てば楽しい気持ちが戻ってくるかもしれないし。子供の時はとにかく色んな事に手を出せばいい!学校が世界の全てだと思わない方が絶対にいい。」


「ぷっはっはっは。なんだそれ全然意味分かんねぇ。けど、ありがとう。」


「知識はたくさんあればある程自分の力になるから。というか釣りに連れてってよ!私もやりたい!」


「ああ、いいぜ次の土曜に行くか?」


「うん!」


「はーい。皆さん席についてくださいね!授業を始めますよ!」


次の授業の国語が始まった。いつも真面目に授業なんて受けないのに教科書を開いてノートもとるようだ。大和はこんなに素直でいい奴なのにどうやってヤンデレヤンキーに成長するのかな?可愛すぎる。




「菖蒲ちゃん帰らない?」


あら珍しい和真君がわざわざ迎えにきてくれた。私は帰り支度をちんたらしていたのでもう殆どの子達が帰っていた。和真君のクラスは先生の話が長い事で有名なのでこの時間に終わったのだろう。


「うん、帰ろう。」


「待てよ。」


ぐっと腕を掴まれる。なっなんだ!って大和か。さっきまで半分寝こけてた人が急にどうしたんだ?


「大和どうしたの?」


「行くなよ。俺と駄菓子屋寄って帰ろうぜ。」


「じゃあ大和も一緒に帰ればいいよ。」


「嫌だ。」


「どうしてもって言うなら先に誘ってくれた和真君と帰るよ。じゃあまた明日ね!」


と帰ろうとしても離してくれない。うーん。どうしたものか。と思っていたら和真君が珍しく割り込んできた。


「離せよ。菖蒲ちゃんの腕が可哀想だろ。」


その言葉にギュンと胸をつかまれた。腕が可哀想って言葉可愛い過ぎない?

いやでも今はそんな事を言っている場合ではない。あれだ、喧嘩をやめてー2人を止めてーって言うやつか。古いか。


「いや、子供のくせにめんどくせぇ!」


急に叫んだので2人共びっくりしている。面倒臭い、誰と帰っても一緒やろう。どうやって決めるかなぁ。私がまた黙ったので2人は睨み合っている。和真君成長したね、いじめられてた時はあんな風に睨んだり人に突っかかったりしなかったのに偉い。大和は猫目な分やっぱりキリッとした顔立ちなので睨んでも様になってる。


「よしじゃあやろうか!喧嘩しよう3人で!私が勝ったら全員で帰る、和真君が勝ったら和真君と、大和が勝ったら大和と帰る。さあやろう!」


私は大真面目に言い放ちファイティングポーズをとった。もう面倒だから2人共急所を狙って終わらせてやる。


「ぷっ。なんだそれ。」


「ふ、ははは。菖蒲ちゃんなんでそうなるの?」


「へ?なんで?今からバチバチに行くんじゃないの?」


「行かないだろ。」

「行かないでしょう。」


あら急に仲良くなって声を揃えて否定しやがる。


「急に悪かったよ。俺石井大和。お前は?」


「僕は吉田和真。僕は君を許してないよ。菖蒲ちゃんから離れて。」


「ああんお前やんのか?」


2人は睨み合っている。


「やっぱりやるんじゃない!始めましょう!」


「だからなんでお前が1番ノリノリで参加するんだよ!」


「だって嫌なのよ。人が揉めるのを見るのが嫌なの。」


「揉めさせてるだろうが。とにかく吉田今はやめよう。大人しく3人で駄菓子屋に行こうぜ。」


「まあ、菖蒲ちゃんがそれを望むなら。」


「よーしじゃあ帰ろう!」


意外と家が近い事が分かり大和と和真君と3人で帰る事が多くなった。私が2人と帰らない時もたまに2人で帰っているので仲は良くなったみたいだ。


「まさか小学校に入ってほぼ1年経つのにあの2人他に友達がいない訳じゃないよね?」





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