41、謎
結局、夏休みは何処にも行けなかったし学校が始まるとまあ生徒会が忙しい。
10月の合唱コンクール、2年生の修学旅行、11月の文化祭での生徒会の出し物、12月の生徒会主催のクリスマス会。学校が始まるとする事も多い。結局先生は学校を辞めてしまった。
「次は急に居なくならない人を好きになるね。」
れんちゃんは悲しく微笑んで帰っていった。
夏休みが終わる2週間前位に泣きながられんちゃんから電話があってファミレスで少しだけ話をした。あの後先生はれんちゃんに電話で別れを告げ父親の会社を手伝うので学校を辞めるとれんちゃんに言ったらしい。担任の先生は一時的に教頭先生が持つ事になった。
れんちゃんが帰っていった先をぼーっと見ていると大和がいつの間にか顔をあげてこちらを見ていた。
「菖蒲お前は気にするな。」
さっきれんちゃんと少し話した後帰っていった時、隣で寝ていたと思っていたのに話を盗み聞きしていたようだ。
「大和、盗み聞きは良くないよ。」
「聞こえてきたんだ。盗み聞きではない。」
大和はあれから余計に表情の変化が少なくなった。
「大和は笑ったり怒ったりしてよ。顔怖いよ。」
「言葉を返すようだがお前は最近空元気に見えてるぞ。作り笑いばかりで見てて痛い。」
「痛い?痛いって何よ!じゃあこれから生徒会だから!」
何だか全てを見透かした言い草に苛立ち、八つ当たりをしてしまった。教室を出た瞬間から自己嫌悪に陥り生徒会室へ向かった。
「じゃあ始めようか。まず合唱コンの話ね。合唱コンの主体は1年2年の4人、場所は勿論先生が話をつけてくれるけど司会、審査員の5人の人選、その日の審査のオブザーバー位かな?毎年2年が司会、1年が雑用だけど今年もそれで行くから。これ去年の資料ね今日帰るまでに審査員を選んで話をつけてきて。私達3年は生徒総会の話し合いをしてるから。」
3年生は真剣な表情で話し合いをしている。私達4人は真面目に審査員の人選をしていた。音楽の先生は2人居るのでとりあえず2人、いつもは生徒指導の先生と教頭先生、校長先生なのだが、教頭先生がうちのクラスの担任になってしまったのでどうにかもう1人頼まなければならない。
「と言う事でもう1人どうしようか?」
佐原先輩が頭を抱えている。確かに殆どの先生は担任を持っているので頼む人がいない。
「保健医の鈴木先生か、もういっそ会長に頼むか?」
4人で会長を見る。さすがに気付いて会長が話しかけてきた。
「どうした?決まった?」
「会長にしていただくという事は?」
「いや私も自分のクラスが出るから駄目でしょ。」
「ですよねー。」
「やっぱり保健医の鈴木先生かな副会長行ってきてくれ。」
佐原先輩は行きたくないようだ。あら男子人気ナンバーワンの鈴木先生に会いに行きたくないとか珍しいな。
「はいはい行って来ますよ。」
新井先輩が軽い足取りで生徒会室を出て行く。残された者達で段取りと流れの話し合いと手元資料を作り始めた
去年の書類を元に流れを確認する。朝1番は1年生、その後2年生でお昼を食べた後3年生だ。曲の順番はくじ引き。という事はくじ引きの準備をしなくてはいけない。というか私達は当日参加できるのか?無理じゃない?
後は審査員の手元資料に順番とクラスが何を歌うか指揮者と伴奏者位は書いておいた方がいいかな。何を歌うかも集まってくじ引きかな?歌は毎年、決まっているから放送部にお願いしてお昼にでもかけてもらうようにしないと。
「先生おっけーだって。なんか教頭先生が話してくれてたみたい。もし来たらお願いって。」
「ありがとう、副会長じゃあ俺と国分さんで他の先生にお願いに行くから、2人はくじ引きを作っておいて。」
以外、絶対に悠斗と一緒に行くと思ったのに。副会長が名残惜しそうに私を見るのを無視し佐原先輩は歩き出した。
「来年は君が副会長だからね。ある程度仕事を覚えてもらおうかと思って。」
廊下を歩きながら説明してくれる。私よっぽど顔に出てたかな?
「さあ入ろうか、お先にどうぞ。」
「ありがとうございます。」
職員室にはまだ先生が残っていて審査員頼んだ後放送部顧問の先生に曲を流してもらうように頼んだ。
「はい、では今からくじ引きを開始します。まずは3年生からどうぞ。」
月曜の会議からホームルーム中に教室を回ったりと地味な活動を経て木曜日の放課後代表者にきてもらいくじ引きをする事になった。後で佐原先輩に教えてもらったが金賞のクラスには豪華な商品が配られるので皆結構本気で練習するらしい。そしてやはり生徒会は不参加のようだ。残念。
悠斗がくじを持ってくる。引く順番を決めるのも面倒なのでよくテレビでみる棒の先に番号がついているパターンのくじを作ってきた。1回目は順番、2回目に曲決めで、黒板に数字を縦にかき数字の横に1つずつ曲名を書いて、引いたくじの番号と同じ数字の箇所に書かれた曲で決定だ。
「やったー。最後だ!」
「曲は○○か商品はもらったな。」
「うわぁー1番とか最悪。」
3年生はいつも金賞をとる曲が分かるみたいでこの曲狙いというのがあるらしい。くじが終わると帰ってもらう。
「では次2年生どうぞ。」
佐原先輩が声をかけて、私は黒板の曲を書き換える。2年生の曲は比較的新しい曲が多い。
「じゃあ2番か。」
「この曲ね。」
「最初か皆に言われるかな。」
2年生は比較的冷静な人が多いのか静かに2回くじが終わり静かに帰っていった。
「じゃあ次は1年生どうぞ。」
佐原先輩は優しく1年生を呼んだ。1年生は未だに先輩と居ると緊張している子達が多いのでそれを察してさっきより優しい笑顔で話している。
1年生は校歌と課題曲なので順番決めだけだ。くじが終わり悠斗の前に並んでクラスと順番を伝えて帰った。私語が全くない。
「じゃあ1年生はこのまま生徒会室で資料とプログラム作って、俺等2年は職員室に行って先生方に順番と曲を教えて改めて資料を渡す事も伝えてくる。」
佐原先輩はテキパキと行動している。早く終わらせて帰りたいとみた。
「僕らも行こうか。」
「うん。」
そして気まずい沈黙。最近、悠斗の機嫌が悪い気がする。
「菖蒲さあ僕に隠してる事ない?」
生徒会室に行くまでの人気のない廊下で急に立ち止まるとこちらに向き直り言った。やはり怒っている。
「隠している事?ないよ。」
正直、私自身秘密がない。面白くない女かもしれーぬ。
「じゃあさ、今から聞く事に正直に答えて。」
「うん。」
「夏休み大和君を部屋に泊めた?」
ふむ、ふむふむふむ。これはどうしたものか。下手に嘘はつかない方がいい。それに何故それを?
「泊めた。」
「認めるんだ。浮気を。」
「浮気?」
「まあいいよ。嘘をつかなかった事は褒めてあげる。でも僕ずっと見てるから。」
そう言ってスタスタと歩いて行ってしまった。浮気?どういう意味だ?
「なんだったの?」
小声で呟き慌てて追いかけた。




