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23、自習


「ねえお母さん、今度のテストで結果が良かったらスマホ買ってくれない?」


「まあ、年頃だものね。いいわよ菖蒲ちゃんテスト頑張ってね!」


「うん。頑張る。」


1年生は学園に入った途端勉強合宿があって合宿が終わればテストを行いその結果で英語や数学、国語のクラスが分けられる。

勉強合宿と言ってもどこかに行くのではなく5日間だけは英語、数学、国語以外の授業をしないと言うだけで普通の学校と変わりはなく、何故合宿というのか謎だ。5日目の金曜日にテストがあり月曜日に結果が張り出されそれぞれの授業を受けるクラスが分けられる。


「スマホめちゃくちゃ欲しい!頑張ろ!」


明日から勉強合宿なので張り切って勉強を始めた。絶対に携帯を手に入れてみせる。




「菖蒲、お前なんでそこまで勉強してるんだ?」


勉強合宿1日目の発言とは思えない。大和はじろじろと朝から勉強している私を見ながら話す。


「え、だって勉強合宿じゃん。それに成績が良かったらお母さんが携帯買ってくれるから。」


「そうか、良かったな。頑張れよ。」


「お前もな。」


「うるせえよ。」


学園に入っても大和は隣で私の記憶と合わない。ゲームでは隣は名も無き女子の友達だった。そもそも女子ですら無いしまず大和は同じクラスではなかった気がする。和真君と悠斗君は一緒だったけど、大和は違うクラスのはず。まあ大和が一緒だと心強くて私はありがたいけど。

結局、1番仲のいい友達だもんね。親友だよ。和真君の時もずっと親身になってくれたし。感謝しかないねいや本当にいいやつ。


「じゃあ授業を始めます。今からは2時間数学なのでしっかりとついてきてくださーい。」


出た、宇野先生。あれから数日経って震えはしなくなったけど未だに視界に入るだけで恐怖の感情が蘇る。

白衣を着た知的な大人に見えるのか女子にはとても人気があるらしい。まだ若く26歳で、初めて担任を受け持つと話していた。

私はなるべく近寄らないようにしているが、れんちゃんはとても好きなようでとにかく暇があれば化学準備室に他の宇野先生が好きな子達と出向いているようだ。

だが声はいいし教え方も分かりやすい、宇野先生の授業は皆ちゃんと聞いているあたり生徒の殆どがそう思っているんだろう。


「というように、○○なので××になります。じゃあきりがいいのでここまでにして後は自習でいいですよ。他の科目でも構いません。分からないところや質問があればなんでも聞いてくださいね。」


先生が好きな子達は我先にと先生に質問しに行った。れんちゃんもその中にいる。私は数学が得意科目なので数学を片付け英語を始めた。皆ガヤガヤと話し始めている。


「菖蒲、ここ教えてくれ。」


「いいけど、ジュース奢ってよね。」


「ああ。」


「今のああ、絶対に心こもってないああだった。」


「はいはい。それで、ここは?」


大和はそのまま数学を勉強しているようだ。


「ああ、これはここで引っかかりやすいのよ。だからこっちの公式を使って解くのよ。」


「コラコラ石井君、国分さんだって勉強合宿中なんですからね。なんの為に私がいるんですか?ちゃんと先生に聞いてくださいね。」


びっくりしたぁ!

急に現れたなって大和睨むな!睨むな!やめろ!馬鹿!

私の口パクに気付いて大和は睨むのをやめた。先生はちょうど私と大和の間に入って私に背を向けている。私達の席は1番後ろだし一応周りに気遣って小さめな声で話していたのに。確かに正論だけど、他の私語よりここを注意しに来るとは個人的にはやっぱり少しだけ苦手。


「はい、すみません。次から気を付けます。」


「はい、お願いしますね。」


大和偉い!ちゃんと堪えて謝った!ていうかもうヤンキー要素がほぼない!後でお弁当のおかずあげるからね!


「国分さんもですよ、ちゃんと自分の勉強をしてください。人の為に順位を落とすかもしれませんよ。」


私が返事をする前に大和が入ってきた。


「いや、俺が先に話しかけたんで菖蒲は悪くありません。だから本当すみません。」


「ふむ石井君、君は…。」


「先生、質問があります。」


宇野先生が話を続けようとした時手をあげて先生を呼んでくれたのは悠斗君だった。こちらの事に気付いてくれたようだ。本当にかっこいい。宇野先生は、はいと返事をして悠斗君の方へ歩いていった。



帰りのホームルームが終わったので悠斗君の方へ行く。一応さっきのお礼をするべきだろう。大和はバイトがあるとかで瞬時に帰った。


「悠斗君さっきはありがとう。」


「気にしないで。あの先生陰険そうだから、それよりもうそろそろ呼び捨てにしてくれない?仲良くなりたいんだよ。」


はあ、まあいいか。


「えっと悠斗ありがとう。」


「うん、気にしないで。じゃあ帰ろうか寮に。」


「うん。」


「ねえ、お昼に石井君に卵焼きあげてたけど料理が得意なの?」


「うーん普通だよ。一通りはできるけど。」


「でも、美味しかったみたいだよ。とてもいい顔で食べてたから。いいなぁ羨ましいよ。」


「そんな事なら明日もし良かったらお弁当作ってきてあげるよ。さっきは本当に助かったから。」


あの先生怖いし。


「えっ!いいの!お願いするよ。」


悠斗はとても嬉しそうに笑顔で歩いている。寮は学園内なので3分程で着きエレベーターに乗り込む。


「明日楽しみだなぁ。」


悠斗は手馴れた様子で2階と3階のボタンを押した。


「あまり期待しないでね。」


「大丈夫!絶対に美味しいよ。」


「じゃあまた明日!」


「うん、また明日。」


エレベーターから降りて部屋着に着替えて明日のお弁当の用意をする。引越しの時お母さんが入れてくれてたのを知らずに買ってしまってお弁当箱が2つあるので少しでも大きい方を悠斗にあげる方にしよう。


「あれ?そういえば私が2階って言ったっけ?」


………。いや、いやいやいやいや。言ったなきっと。よしお弁当作ろう。


背中を冷や汗がつたう。やっぱりいや、でも、うんヤンデレゲームの中に入ったんだ。


「いや、でも、寮に入っている子は少ないし、知ってただけだよ!うん。」


お昼に悠斗を見ていないけども、きっとそれも気のせいだよね。ははっ。


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