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20、転校生


3年生になっても和真君は姫野さんと付き合って楽しそうにしていて2人を見ると少しずつ人を好きになる事の怖さも和らいでいた。

大和は相変わらず同じクラスだった。そういえばすっかり忘れていたけど大和は姫野さんが好きだったと思うので和真君と一緒なのを見るのは辛いかもしれないな。

私また自分の事ばっかりで大和の気持ちも全然考えてあげなかった。しっかりしないと!


「大和、任せて!私は味方だから!」


「なんかまたろくでもない考えに至ってそうだけど。」


「大丈夫!私が一緒に居てあげるから。」


「はいはいどうもな。」




「はーい今日は転校生を紹介します。3年の3学期で転校してくるのは珍しいけど仲良くしてやるんだぞ!はーい入って!」


教室のドアから入ってきたのはまさかの悠斗君だった。


「初めまして、村瀬悠斗です。卒業まで短い間ですがよろしくお願いします。」


ふ、ふあー。いい声。中学3年生になってもうほとんど声が西澤さんに。あー!あ、ううん。叫び出しそうな衝動を堪える。

ああ、生きていて良かった。こんなに低く甘くて優しい声をこれから毎日聞けるなんて生きていて良かった。


クラスの女子達も背が高く見目麗しい悠斗君に目が釘付けになっている。


「じゃあとりあえず村瀬はそうだなー、委員長の隣に行って色々教えてもらえ。」


っていうかそうだ。小学校の修学旅行の時の記憶がありませんように。気付きませんように。好きって言ってしまった事を忘れてますように。


「先生できれば最初慣れるまで友達の国分さんの隣の方が安心なのですが。」


終わった。これは完全に終わった。覚えてやがるぜ。いやまだワンチャンあるな。


「国分そうなのか?じゃあ国分の右隣に移動しなさい。右隣の上田は1番後ろに行ってくれ。」


「ありがとうございます。」


「よろしくね国分菖蒲さん。」


これは覚えてますわ。


「はひ。」


周りからの視線が痛い。今まで見たことない位女子達に睨まれている。私はこれからどうなってしまうのだろうか。


あれから学校に慣れていないからと悠斗君は私にべったりだった。他の女子が案内を名乗り出ても頑なに私に教えてもらうからと断り続けているようだ。今のところいじめをうけていないがこのままだと本当にまずい。それに日に日に大和が不機嫌なのもまずい。うーん、勉強しよ。

とにかく現実逃避の為に勉強する事にした。



「菖蒲は賢いんだね。」


「いや、悠斗君には負けるよ。」


「だから悠斗って呼んで。」


「え、悠斗。」


「うん、いいねありがとう。それで今度の土曜日この辺りを案内してくれない?」


「えっと私?男の子の好きな場所は分からないし、男子に頼んだ方が良いかなって。」


「うーんでも僕は菖蒲がいいんだ。」


ぐ、ん。いい声すぎて死にそう。でも流されるな!


「うーん、いやでも。」


「お願いします。君しか居ないんだから。」


「そこまで言うなら分かったよ。」


そうやって結局、流されてしまう。うーむ。悠斗君は本当に好きだけど、めちゃくちゃ好きだけどそれは今の悠斗君じゃないし。でも見た目も声もあの悠斗君だし。でも好きだなぁ。


「でも、どういう好き?」


考えても考えても答えに辿り着かなかった。





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