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17、姫野さん


中学生になって思った事は、私、制服嫌いだったのを思い出した!けどセーラー服は初めてだったのでちょっと嬉しい。

大和、和真君、圭ちゃんにれんちゃんも同じ中学になった。ていうかほとんどの人が同じ中学でそんなに緊張することなく通える気がする。

入学式を終えてクラスの皆を確認する。女子は圭ちゃんと姫野さんが一緒で、和真君と勿論大和は隣だった。というかクラスの半分弱が知り合いだったし。中学になってもしっかり勉強してホワイト企業を目指す!



「菖蒲!最近また酷いから言っておく!絶対に先生に迷惑をかけるな!後、俺に迷惑をかけるな!以上!」


あいつ彼女ができたからってちょっと調子こいてんな。ほーええですねぇ。モテる人は。はー。


「へぇへぇ、わーりました。」


お兄ちゃんは私を置いて先に学校に行った。まあ今日も変わらず平穏無事に行けると朝までは思っていました。



中学1年、冬初めて微妙にいじめられてる?


まず朝教室に入って女子から挨拶を返してもらえない。圭ちゃんは今日に限ってお休みで1人でポツンとしていると、大和が眠そうに教室に入ってきて挨拶をするその後和真君が大和の前に座って話すけど、他の男子達は目を合わせてこない。

そして体育は1人になって先生とまあこれは別にいいんだけど、何よりその後着ていた制服が無くなってしまった。うーむ仕方なく先生に言って体操服で受けた。


そして下校時間1人の時、階段で背中を押された。後ろに居たのはあの姫野さんだった。


「おい、大丈夫か?」


1番に保健室に顔を出したのはお兄ちゃんだった。


「うん、足捻挫しただけ。大丈夫!」


「そうかじゃあ帰るか。何があったんだ?」


「ありがとう、迎えに来てくれて。階段から滑っちゃって。」


ええやん物盗られて怪我させられてそんな事したらどうなるか教えたるわ。

私はいじめられるとやばいしなぁ、はははは、とゲームを思い出して冷や汗が出た。




「姫野さんちょっといい?」


私は冬服がないので夏服で上にカーディガンを着て登校した。先生は黙らせた。

私が出せる1番可愛い声で言ったけど姫野さんがビクビクしてついてきているさすがに罪悪感を感じているようだ。


まあでも私、好きな人の為ならなんでもする女嫌いじゃない!


そして体育館裏。ほう、腹を括ったのかしっかりきつい顔をしておる。昔父さんに言われたなー、いけずばっかりしとったらいけずする子の顔になるでって。


「昨日ね制服を盗られたの、それで警察に盗難届けを出す事にしたの。私決めてる事があって何か盗られたら先生に言いつけるんじゃなくて警察に通報しようって絶対に決めてて。」


「へーそう。でなんでそれを私に?」


「えっバレてないって思ってたの?階段の後ろから押してくれたでしょ、だから制服の盗難もあなただろうし先に言ってあげた方が良いかなって。」


「別に関係ないし。」


「あ、そう?大丈夫よ捕まったりはしないでしょう。多分和解の為にご家族から慰謝料と制服代とお金を払ってもらうだけで済むから。後あなたが後ろから押したの見てた人が居て警察に証言してくれるって言ってくれて。」


「えっ?嘘よ。」


「ううん本当にいたんだ。名前を言っていじめられたら可哀想だから言わないけど。」


これは本当で昨日見たって言ってくれた子が居て昨日は怖くて言えなかったと朝1番でわざわざ言いに来てくれた。


「だからね。先に言いにきてあげたの。だから盗難と怪我でだいぶご両親に慰謝料を払ってもらわないといけないね。」


ここで1番いい笑顔で言う。1番の落とし所だからね。これで落ちなければ本当に警察に相談する。


「ううっ、ご、ごめんなさい。」


泣き出してしまった。でもまあここで許すとこの子の為にならないかな?ここで1度へし折っておこうか。


「姉ちゃん、泣きたいのはこっちやし、謝って済むなら警察はいらんよなぁ。なあちゃうか?」


姫野さんは完全に怯えて小さくなりながら私を見ている。先程とは打って変わってきつい顔をしていない。


「う、ご、ごめんなさい。」


正座をしてこちらに謝る。


「だからぁ、謝っても意味ないやろ。誠意を見せてもらわんと。」


「な、何をすれば良いですか?」


姫野さんは浮かない顔で私を見ている。いや可哀想、だけどまあ他をいじめたりするのも困るし。


「もう一生、人をいじめない事。後もうひとつ。」


「分かりました。もうひとつは?」


「姫野さんは多分、和真君と仲がいいから私をいじめたんだよね?」


「う、違います。」


「素直に言わないとまじで警察に。」


「う、そうです。」


「よしじゃあさ、明日から和真君に積極的になって。」


「は?」


「ああ、勿論和真君が本気で嫌がったらやめてあげて欲しいけど。私は姫野さんを応援するから和真君をもっと知ってもっと好きになって。私をいじめる事に時間を使う位なら皆にバレるくらいあからさまに和真君の気を引くように生きてみなよ。素直な子は可愛いよ。」


「いや。何を言ってるの?偽善者?」


「いやなんていうか、どっちがいい人生だと思う?人をいじめて自分の株を下げて皆から後ろ指さされる生活と好きな人のそばに居れる生活と。」


「いやそりゃ後者だけどそれをなぜあなたが言うの?いじめられたのよ怪我までさせられて。」


「うーんまずいじめ1日目であんなに盛り込むのはちょっと面白かった。だから慣れてないのかなって、いじめ初めてならまだ許せるし、それに姫野さん結構好きだよ私。好きな人の為にそこまでできる子は嫌いじゃない。」


「菖蒲ちゃんって見た目清楚系で真面目って感じなのに、中身結構残念なんだね。」


「え、ひどい。1番傷付くやつやん。」


「後なんで関西弁なの?しかも流暢な。」


「面白いから。いつか一発ギャグをしようと思ってて。だから秘密にしといて。」


「ぷっ。はは、ははは。なんか馬鹿みたい。こんなに強い子に勝てる訳ない。じゃあ最後にこれだけ答えて。」


「うん、いいよ。答えられる質問なら。」


「和真君の事、男の子として好き?」


「いいえ、和真君はそうだなー弟って感じかな。人としては大好きだよ。」


「そっか、和真君…………に。分かった。じゃあ真っ直ぐに和真君にぶつかって行く。人の目も気にせずね。」


ん?今一部なんて言ったか分からなかったぞ。


「うん、ちなみに今の全部録音してるから。」


「意外と怖いね。制服明日持って来るから。」


「うんお願い。」


そして2人で教室に戻った。その後無視もなくなった。


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