15、竹林にて
「ほんで迷子て。信じられん。2人共私を置いていくなんて。」
まあでも1人で駅まで戻れるし、2人の方が土地勘ないだろうからざまあみろって感じ。
結局、和真君も大和も全然喋らないし、途中で皆居なくなるし、最悪の修学旅行だ。
そして竹林に1人。先程までいたたくさんの人は不思議と居なくなって静かに風が吹いて竹を揺らした。
「綺麗。」
なんだか心地がいい。と瞬きすると向こうに人がいるのに気が付いた。
さっきまで誰もいなかったのに。よく見るとあのショッピングモールのエレベーターの前に居た男の子だ!
使い捨てカメラで竹の写真を撮っている。あの子本当に見た事あるねんなぁ。ま、まさか、悠斗君?そ、そそそそそういえば面影があるような。
は、話しかけてみよう!
いや、でもなんて?
いや、当たって砕けろ!
「こ、こんにちは。写真好きなの?」
声が裏返ってしまった。少年は不思議そうにでもどこか嬉しそうに私を見た。急に話しかけたし、写真好きなのって、ナンパか!
「こんにちは。うん好きだよ。」
うわー!に、西澤さんだ!でたー!好き!本当に好き!この声が本当に好き!叫び出したいのを堪えて話す。
「そっか、ありがとう。」
「ん?なんでありがとうなの?」
不思議そうに首を傾げる。ぐ、か゛、か゛わ゛い゛い゛。全ての感情を押し殺して答える。
「ふふ、何となく。ここで何してるの?」
「ん?君は何してるの?」
あら言いたくなかったかな?ごめんね。
「私は修学旅行で来てるけど迷子になっちゃって1人ぼっちなの。」
「えっそれは大変だ!可哀想に一緒に探そうか?」
ふわー声もいいけど顔もええなぁ。声がもうこの時分で優しくて甘いのが本当にもう。
「うー好き。」
「え?」
あれ声に出てた?うわぁ恥ずかしい年甲斐も無く。悠斗君も顔を赤くしている。うわぁ恥ずかしい。
「あ、え、あーっとあの行くね!ありがとう!」
私はとにかく駅に向かって走り出した。おーいって声をかけてくれたけど無視して走った。
私は悠斗君とどうにかなりたいわけじゃないし!お、おばさんだし!
やっぱり駅には先生が居て大人しく隣で待っていた。1時間後、班の皆全員帰ってきたけど顔が赤いと皆に心配された。




