11、修学旅行 初日
「このスカート可愛い!」
「うん、菖蒲ちゃん絶対似合うよ!」
「わーありがとう!買っちゃおう。圭ちゃんもそのシャツめちゃくちゃ似合う!」
「ありがとう!買う。」
修学旅行の2週間前になって服を買いに圭ちゃんと2人でショッピングモールへ、ちょうどセールをやっていて、これならお年玉とお小遣いで色々揃える事ができそうだ。
服とかを入れておくリュックと持ち歩き用の小さめのカバンに靴と靴下、後は勿論服!
結局、大人の感覚で選んだのが功を奏して圭ちゃんは私が選ぶ服を大人っぽいと褒めてくれる。
圭ちゃんは割とポップな服が好きみたいで明るい色の服が多くてとても可愛い。
と、ふと目に入ったエレベーターの前の男の子に既視感を覚えた。私達と同じ位の年齢で少し色素が薄く白い肌に焦げ茶の髪で白いシャツにチャコールグレーのジーンズ、見た事があるような…。うーん、どっかで見たような…。学校?いや違うな。図書館?釣りの時?うーん。
「じゃあ帰ろうか、菖蒲ちゃん!」
「え、ああ、うん。」
その後も帰りながらあの男の子の事を考えていた。
今の時間はしおりを見ながら、どこをどう回るか自由時間の行動をを決めて、先生に提出しないといけないのでその話し合いの最中である。
「うーん、どうする?」
圭ちゃんは周りを見渡して言った。拓馬君と佳奈美ちゃんは仲良しなようで2人でずっと話している。和真君はしおりのレクのページをじっと見ている。
大和はしおりを閉じたり開いたりしているだけで多分何も考えていない。
「河原町はお土産屋さんが多くて食べ歩きもできるよ。後は有名なあぶらとり紙のお店があるね。嵐山は神社やお寺が多くて竹藪も綺麗だよ。ああ、後お猿さんのって何?」
皆が私をじっと見ている。なんだか居心地が悪い。
「いや、よく知ってるな。」
「あー好きだから京都!」
「へー菖蒲ちゃんって渋いね!」
誰が渋いねん、しばいたろか!と思いつつ結局、ほとんど私が決めて提出した。
「ねえ大和、どうして新幹線まであんたが隣な訳?」
「知らねーよ。座席は班で座るってなったら結局、こうなるんだよ分かってただろ。島津は相田と、和真は佐久間とで残り者2人だよ俺達は。」
「くそが!」
でも大和の言う通り圭ちゃんは早々と佳奈美ちゃんとペアになって、拓馬君は和真君を離さなかった。
そして選ばれなかった2人。
修学旅行初日にそんな悲しい事件が起きたのであった。
「ん。」
大和が私の目の前にジュースを置く。ちなみに大和も同じジュースを持っている。
「ありがとう。」
「ああ。」
「はー京都早く着かないかな?早くとにかくお土産かいたい!後は食べ歩きもして。」
「まあ頑張れよ。」
「一緒に行くんだからね!」
「はいはい。」
そう言って大和は眠ってしまった。私は仕方なく窓の外を覗く楽しみだなー。
やっと着いた京都駅ここからバスに乗り換えて移動する。そしてまた座席は大和の隣だ。
「ここまでくると何か陰謀めいたものを感じる。」
「たんに嫌われてるんじゃねーか?お前が。」
「あー、あーそんな事言っていいんですか?あーそんなん言うんやったら泣いちゃうかも、わー。」
「あーうるせえな。前向いとけよ酔うぞ。」
「はい、大人しくします。」
確かに気持ち悪くなりそうだし、素直に前を向いた。そんな姿にまたバカにして笑っているようだ。くそが!
「京都だー。やったー!そういえばまだあの長いソフトクリームとロールケーキはあるのかな?」
「菖蒲ちゃん!早く行こう!」
「うん!皆キビキビ歩いて!迷子は置いて行くから。」
観光は提出した予定通りに進み、誰も迷子になること無く集合時間に間に合った。
夜ご飯を食べた後、皆は自由時間だけどレク係の私と大和は宴会場に残った。
旅館の方が片付けをしてくれている横で委員長達が作ったカンペを読む。
「え、これを言うの?」
底抜けに明るい感じでって書いてあるけど?
「頑張ってねお2人さん。応援してるよ。」
皆ニヤニヤしながらカンペを読んでいる。大和はもう腹を括ったのか何も言わないし不機嫌でもない。
「まあ良いんじゃないか。やってやるよ。」
不穏だ。
学年レクリエーションという戦が始まる。




