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 初恋の男の子シャル

リヨンは怒っていた。


我が家にディスタン公爵が、わざわざ、わざわざ(敢えて二度言いましょう)シャルマン王太子殿下のお使いで、それもお茶会の招待状を持ってきた。


もう

あのシャルマン(笑)、マジでウザいんですけど、公爵様をお使いに使うってどうなの。信じられないわ、断れないじゃないの。


あの時、ママに即されてしぶしぶ「出席します」と返事をしてしまった。(泣)


もう、王太子殿下とは関わりを持ちたくないのに。


あぁ、お妃とかマジで嫌なんですけど。


普通の暮らしがしたいだけなのに、どうも上手くいかない。


私は、気晴らしに部屋を抜け出し屋敷の外に出た。


リヨンちゃんの時は、かなりの方向音痴だったけど、今は梨世の前世の記憶のお陰で何ら問題がない。


私は、屋敷の使用人に見つからずに、外に出ることができた。


屋敷から続く小高い丘を下ると、草原が続いている、そこには金の穂がたわわになっていて、とても幻想的だ。


「うわぁ~キレイ、素敵だわ。」


私は嬉しくなって、草原を駆けた。


金の穂の中を歩き、私に穂が触れると、ふわふわと穂が舞いキラキラと輝いている。


「何てキレイなの、天使が飛んでるみたい。」


ふふふっ、笑いながら小走りで駆けていると、穂の隙間に人影が見えた。


私は思わず


「誰?」と不安に声をあげる。


その声に、その影は振り返った。


そこには、軽くウェーブした金髪を結わえ、エメラルドの様な深い碧眼の男の子がいた。


まだ少年的な感じで(日本で言う小五程度かしら)、とても整った顔をしていて、キレイと言って良い感じだ。


身なりもシンプルだが、とてもいい仕立ての洋服を着ていた。


その少年は、「君は?」と返してきた。


粗野そうな感じではなかったので、私は答えてしまった。


「私は、リヨンよ。」


男の子はびっくりしたように、目を開き近寄ってきた。


「リヨンなのか?」驚きに目を見開いている。


イケメン少年は、やはり声までイケボ。まるで(声優の神◯さんのよう) 


「そうよ、貴方は?」


少年は「シャル」と答えた


えー、シャルって王宮で迷子になった時助けてくれた子と同じ名だ~。


「シャル。シャルって昔王宮であったシャルだよね。リヨンだよ。」


シャルも

「うん、覚えてる。」と嬉しそうに私を見ている。


私も嬉しくなって、シャルに歩みより、手を握った。


シャルは困ったように

「淑女は、男性の手を簡単に触っては行けないんだよ」とやんわり言われたが、シャルも手を離す気配がない。


「シャルだって、私の手を離さないじゃない。」


お互いに「ぷっつ」と吹き出した。


「あはははーーー、可笑しい~。」


そうだねとシャルは笑った。


「私、シャルに会いたかったのよ。」


「俺もだよ。」


何と言う偶然でしょう、今日ここに来て本当によかった。


あの時助けてくれた男の子に、ちょっと恋心があったんだよね。


それもあり、お茶会やパーティーに参加しなかったのもあるのよね~。


それに、誰かに見初められて、「結婚」なんて絶対に嫌だも。


やっぱり好きな人と結婚してこそが、幸せだもんね。


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